Negicco|2020年、新潟にて。

2020年7月20日、Negiccoは結成17周年を迎えた。2019年4月にNao☆、今年6月にはMeguが結婚し、「結婚してもアイドルを続ける」というかつての目標を現実のものとした彼女たち。2020年も17周年公演や単独ツアー、恒例の主催イベント「NEGi FES」、新たな試みであるレコーディングを目的としたライブ「Negicco "LIVE RECORDING" @マイナビBLITZ赤坂」など盛りだくさんの予定が立てられていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により予定を大きく変更せざるを得なかった。地元新潟から出られない中、Negiccoは配信ライブやYouTube動画の公開などに積極的に取り組み、Negiccoならではのピースフルなムードを全国に発信している。

決してポジティブにはなれないコロナ禍の状況を、Negiccoの3人は、そしてNegiccoを支えるスタッフたちはどう考えているのか。メンバー3人とプロデューサーのconnie、Negiccoの生みの親である“熊さん”こと所属事務所・EHクリエイターズ代表・熊倉維仁氏に話を聞いた。

取材・文・撮影 / 臼杵成晃

Kaedeインタビュー

ソロ活動2年目の試練

──Kaedeさんの最近のTwitterでのつぶやきを見てると「大丈夫かな?」と思うことが多々あって……。

Kaede

あはは(笑)。急に仕事がなくなって、部屋から出ない生活が続いて……最初の頃はいつもと違う日常を楽しめてはいたんですけど、あまりにも人に会わないとこんなに気分が落ち込むんだなって。

──一方でソロアルバムのレコーディングも進めていたんですよね?

はい。それも3月頃に録る予定だったんですけど、しばらく延期になっていました。

──元日に1stフルアルバム「今の私は変わり続けてあの頃の私でいられてる。」を出して(参照:Negicco・Kaedeの1stフルアルバム発売、堀込泰行作リード曲MV公開)、すぐに次の作品とかなり精力的ですよね。ソロへのモチベーションはどんどん高まっている?

そうですね。せっかくいただいた機会だし「よし、やるぞ!」と思った2年目のタイミングでこんな状況になっちゃって……ソロをやりたいと思ったのは、ずっと3人で活動してきた中で「1人でもやれるようになりたい」と、修行のような気持ちがあったんです。小さい規模から経験を積んで、ソロとして成長したらNegiccoとしても強くなれるかもしれないって。去年は小さな会場を回りながら、まだこっそりやってる感じというか(笑)、そんなに広く見てもらおうという感じじゃなかったんですけど、無料で配信ライブとなると誰でも観られちゃう状況で、それはいいことなのかもしれないけど、当初やりたいと思っていたこととは違うんですよね。

──Negiccoがそもそも音楽的に面白いアプローチを見せてくれるグループですけど、Kaedeさんのソロはそこをさらにディープに掘り下げている印象で。ボーカリストとしての資質も発揮されているし、ソロではこれまでとはまた違った評価を受けていますよね。

うーん、自分の中ではあまり評価されているとは思ってなくて。アルバムを出したときも、私はすごく好みのアルバムができたと思っているけど、別に圧倒的にうまい歌でもないし、声量があるわけでもないし。好きな人は好きと言ってくれるだろうけど……みたいな不安がずっとあります(笑)。

Nao☆&Meguと一緒にいる安心感

──今年はNao☆さんに続いてMeguさんも結婚するというトピックがありました。活動も18年目に入って、グループ以外の活動も視野に入れつつ皆さん考えているかと思いますが、並行してそれぞれソロ活動があるというのはいいことですね。

プライベートに変化が出るのは長く続けていくうえで予測していたことなので、じゃあ誰かがお休みしましょうかという話になったとき、ほかのメンバーができることはちゃんと考えておかなきゃいけないのかなって。ソロを始めたきっかけはまた別ですけど、影響はありますね。

──音楽活動とは別ですけど、活動自粛期間にはメロンパンを作る動画をアップしたり。鬱々としたTwitterでの様子とはまた違う様子が見えました。

パン作りを始めたときはまだハイテンションだったんですよ(笑)。この時間を楽しもう!と思っていたので。

──メンバーと会う機会もしばらくなかったですよね。

3人はもう家族や親戚みたいな感じなのであまり変わらないですけど、やっぱりひさしぶりに会ったときは「おおっ」と思いましたね(笑)。でも特別な変化はないというか。ウイルスに対する考え方にバラつきがあったりしたら、けっこう厳しかったかもしれないですけど。相変わらずですね。

──Negiccoでのライブとソロでのライブ、心境的にはどのような違いがありますか?

ソロはやっぱりめちゃめちゃ緊張します。ソロでの配信ライブのあとにNegiccoで夏の配信ツアーをやると、2人がいるとこんなに安心するんだなって(笑)。ソロだとマイクを持ってられないくらい手が震えたりするので……大変ですね。

──大変だけど、続けたい?

そうですね。やりたいなという気持ちはありますけど、やるたびにちょっと凹みます(笑)。なんであんなことMCで言っちゃったんだろうとか。なんとなく傷付いてはいます(笑)。Negiccoと違って踊ったりするわけではなくて、しかもノレる曲が多いわけでもなくて……けっこう難しいことをやってるなと思うんですよね。ノリノリの曲だったら盛り上げよう!という気持ちになるけど、ソロはそういう感じじゃないので。「観てる人は面白いのかな……」と練習しながら考えてしまうので、そこはもうちょっと解決していけたらいいなと思っています。

Kaede

お任せで乗っかるほうが面白い

──音楽的にやりたいことはすごく絞れている感じがしますよね。これまでのソロ作品はNegiccoと同様に多彩な作家陣が参加していましたけど、新作「秋の惑星、ハートはナイトブルー。」は染谷大陽(Lamp)さんと角谷博栄(ウワノソラ)さんの2人が軸になって作り上げた7曲で構成されています。これはKaedeさんの提案で?

今回は雪田さん(Negiccoのディレクター・雪田容史氏)の提案で、話を聞いてすぐに「面白そうだな」と思いました。もともとLampさんとウワノソラさんの作品が好きでよく聴いていたんですけど、私から「この曲の感じで」とお願いすることはなく、曲についてはお二人に完全にお任せで作ってもらって。音源が届いたら歌の確認でボイスメモを送っての繰り返しで進めました。本当に、こちらからはただ「秋にリリースします」とだけしか伝えてなくて(笑)。

──完全にお任せなんですね。中域低域に寄ったくすんだトーンは「アイドルが出すソロアルバム」としてはかなり異色な感じがします。染谷さんプロデュース曲に至ってはボーカルが気持ち右に寄ったセンター定位でなかったり。そのあたりも染谷さんのアイデアで?

はい。昔の音楽にそういうものがよくあって、このアルバムでやってみたら面白いんじゃないかって。

Kaede

──The Beatlesなどの初期のステレオ録音で楽器やボーカルが極端に左右に振られているような、あの感じですよね。ビジュアルも含めて世界観がはっきりとしているので、Kaedeさん本人に明確なイメージがあって、それを具体化したのかと思っていました。

ジャケットもNegiccoの作品でもいつもやってくださっているガクさん(ITOH Gaku)にお任せです。

──いわゆるセルフプロデュースで自ら曲やビジュアルのイメージを提案したいという欲求はない?

あまりないかもしれない(笑)。今までの自分の趣味や好みをバッと出すというよりは、誰かにお任せしてそこに乗っかっていく……そのほうが面白い気がします。

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