Negicco|2020年、新潟にて。

connie&熊さんインタビュー

大ピンチの2020年……「今は期待感すらありますよ」

──この業界的にピンチな状況を、熊さんとconnieさんはどう見ていますか?

connie 僕は運営に関わっているわけではないから、詳しいことは熊さんに聞いてほしいんですけど、実はNegiccoはそこまで大きな打撃は受けていないんです。ライブ以外の地元に根付いた活動で支えられているので、ライブに軸を置いた活動をしている人たちよりはダメージが少ない。Negiccoはもともとそういう考え方で始まっていて、そうやって長く続けることを初めから考えているんですよ。

──確かに、昨今のアイドルだとライブやリリースイベントを数多く回して、それが主な収益になるという場合が多いと思うので、ライブが打てない今の状況は厳しいかもしれない。でも地域密着型の活動をしているNegiccoは少し事情が違うかもしれませんね。

熊倉維仁氏(以下「熊さん」) でもこんなのは生まれて初めての状況だし、ライブができないなんて言ったらさすがに「これはもう終わりかなあ」と思ってましたね。2月3月ぐらいは深刻にやべえなと思ってましたけど、ゆっきーが配信を勉強して自分からどんどんアイデアを考えてくれて。俺なんかはもう歳だから、この状況下ではどうしても人生を仕舞うことを考えちゃうんだけど、コロナの中ではこういう若い人(雪田)がやっていくべきなんだろうなと。俺は配信なんてマイナスにしか考えてなかったけど、配信だからできること、配信でなきゃできないことまで考えてやるのは今どきの考え方でいいなあと思いますよ。

左からconnie、熊倉維仁氏。

connie あと、ツアーが配信に切り替わっても、もともと予定していた会場を全部回って、PAや照明を入れてやるというのはすごいですよね。それで採算が取れているのかどうかは熊さんと雪田さんのみぞ知ることですけど(笑)。

──この状況はアーティストだけじゃなく、エンタメ業界すべての裏方にまで影響が出ていることですからね。配信だとライブ周りの裏方仕事が大幅に減ってしまうことも多いから、あえて予定通りの会場をライブクルーで回るのは、ちゃんとそのあたりを考えてるんだなと思いました。

connie それをファンの人たちもわかっていて、ちゃんと評価していると思うんですよ。観ているファンもうれしいだろうし、メンバーやスタッフ、裏方の業者さんまで、本来の姿ではないにせよちゃんと仕事になるのだとしたら、すごく前向きなやり方だなと思って。

熊さん やっぱりライブは心の支えになるんだなあと思いますよ。配信を観た人が「泣きました」と言っていて、こんなんで泣きますか……こんなんでって言っちゃメンバーに失礼だけど(笑)、そこまで思い入れがあったりするんだなあと思うと、続ける意義というのを考えちゃいますよね。

──全国のアーティストが悩んでいる中で、Negiccoはすぐに気持ちを切り替えて配信でいろんなことを試して、さらには熊さんが酒を飲んでめざしを燃やしているところを配信しているのは、爆笑しながらもちょっと感動しているんですよ。運営のおじさんすらコンテンツになる、このチーム力に。

熊さん それを楽しんでくれるファンの懐の深さってのはありがたいですね。2月ぐらいからあれよあれよと仕事がなくなって、ただただ日々生きているだけの生活になったときは、僕らの財政的に9月ぐらいには全部終わっちゃうだろうなと思ってたんですよ。でもそんなに悲壮感はなくて。あの子たち(Negicco)も悲壮感なかったもんね。メンバーにもちゃんと話したんですよ。このままだと9月ぐらいに終わるよって言ったら「あっそう」ぐらいの(笑)。不安が先行する2020年だったですけど、今は期待感すらありますよ。まあ以前のようにライブができるようになるのが一番ですけど。

曲を書く人を本気にさせるNegiccoの声の魅力

──そもそもNegiccoは今、メンバー2人が結婚しつつもそのままアイドルとして活動を継続するという異例の状態にあって、ここから先の新しいスタイルを模索するタイミングだったと思うんですよね。音楽的な見せ方の部分の変化は考えていますか?

connie Negiccoの音楽的な方向性を決めるのは雪田さんのビジョンが大きいんですよ。雪田さんから「こういう路線でいきたい」という提案があって、私は「いいと思う」と言って、そこから今回だと一十三十一さんに声をかけてみたり。私はアルバムの3枚目4枚目を作っているときに「もうどんな曲が来てもNegiccoになるな」と思ったので、全然心配はしていないんです。

Negicco

──もはやNegiccoにどんな曲が来ても驚かないというか、逆にどんな曲だと驚くんだろうみたいなところにいるのは、改めてすごいことだなと思います。

connie また来る曲来る曲、どれも素晴らしいんですよね。引き寄せる力というか、曲を書く人を本気にさせる魅力が、3人のボーカルにも個々のキャラクターにもあるんだなあって。

──評価が安定することはいいことだけでもないですよね。最近だとフィロソフィーのダンスやNegiccoと同じ新潟在住のRYUTist、新しいところだとサンダルテレフォンなど、楽曲のよさで勝負する新しいグループが次々と出てきていて、その中ではどうしても「追われる立場」になってしまいますし。

connie 私自身の意見で言うと……いろんな新しい人たちが出てきているけど、自分で聴きたいなと思うのはやっぱりNegiccoなんですよ。それはボーカルの好みで。歌がうまい人はいっぱいいますけど、声に個性があってグッとくるボーカルというのはまた別で。今挙げてもらったグループの中だと、サンダルテレフォンさんは単純に曲が好みだし、ボーカルも少しいなたい感じがあって好きです。昔のSweetSとかPriereとか、デビューしたばかりの頃の東京女子流さんに近い感じ。そういう意味で言うと、Negiccoはどんな曲が来てもNegiccoになる個性的な声を持っているし、私はNegiccoの声が一番いいと思っているので、新しいグループが出てくることに恐れはないですね。

目標の「20周年で野音ワンマン」、そして未来のNegicco

──メンバーに今後のことを聞くと、3人共「20周年で野音ワンマン」というのを大きな目標の軸として考えているみたいですね。

熊さん その頃コロナがどうなってるかわからないけど、20周年というのはあの子らも目指すところとして口にしているし、20周年だけは無事迎えたいという気持ちはありますね。

connie Negicco自体は20周年を過ぎても続けていくと思うし、続けていく中で1人が長期的にお休みすることは現実的にあると思うけど、それでいいと思うんです。3人でのライブがしばらくできなくなれば寂しいでしょうけどね。まあ、全員が幸せならいいんじゃないかなと(笑)。

Negicco

──本当に子供をおぶってライブをやるNegiccoが見られたら絶対に面白いと思うので、ぜひ実現させてもらいたいですね。熊さんはその姿を見たら泣いちゃうんじゃないかと思いますけど。

熊さん こんなに長く一緒にいるとは思いもしなかったですからねえ。まあ、見たいっちゃ見たいですよね。いやもうね、涙もろいんだよ60過ぎたらさあ。昔、嶺脇社長が「君たちは40歳50歳になってもNegiccoを続ける気はあるかい?」と聞いて、そのときはノリだったのかどうかわかんないけど「やります」って言ってましたからね。ほら、結婚式で親が泣くっつうじゃないですか。俺、実の子の結婚式でも「こんなハッピーな席なのにどこで泣くんだよ」と思ってたけど、あいつらが子供抱いて歌ってたら泣くのかなって思いますね。

──connieさんは変わらずNegiccoに曲を書き続ける?

connie そうですね。Negiccoをどう見せるかという打ち出し方に懸命になる時期はもう過ぎていて、今はいかに楽しみながら続けていけるかというところに来ているんですよね。これからの3人の人生を考えたうえで、3人ができるやり方を見つけられたら。私のソロについても、事務所が許すなら続けていきたいし、それが事務所の支えになるんだったらやります。お役に立てるならやりたいし、ついでに自分の夢も叶えちゃいたいです(笑)。

公演情報

NEGi FES 2020 ONLINE
  • 配信日時:2020年10月3日(土)14:00~17:00 <出演者> Negicco / RYUTist / RINGOMUSUME

※公演終了約1時間後から10月6日23:59までアーカイブ配信あり。