ネクライトーキー「TORCH」インタビュー|リスナーに寄り添う音楽、広がる振り幅 (2/2)

できすぎた曲順~朝から夜に向かいまた朝へ~

──楽曲の個性がとても強いアルバムになりましたけど、振り幅が広いこともあって曲順を決めるのが大変だったんじゃないですか?

朝日 大変でした(笑)。メンバーにも「考えておいてね」って伝達はしてたんですけど、「これをどう並べるの?」という。

藤田 2週間くらい考える猶予はあったけど、ああでもないこうでもないといろいろ考えて、締め切りギリギリまで悩んで。

中村 1曲目だけでも3通りくらいあったから、「どうしよう、これ決まらないぞ」と(笑)。

朝日 その中で最終的に「ねぇ、今どんな気分?」か「ちょうぐにゃぐにゃ」のどっちかを1曲目にしようというところまでは進んで。俺は1人で悩んだ末に「ちょうぐにゃぐにゃ」を1曲目にしたいと思ったんです。実はメンバー5人中3人が「ねぇ、今どんな気分?」を1曲目にしようって言っていたんですけど、俺の一存でひっくり返してしまった(笑)。

中村 私はその選択に「ありがとう」と思っていた派(笑)。

中村郁香(Key)

中村郁香(Key)

藤田 逆に「石ころの気持ち」は最後に入れようってすぐ決まったよね。

──「ふざけてないぜ」のあとにインタールードとして「幕間」というトラックが入ってるので、収録曲の順番で何かが表現されているのかなと思ったんですが。

朝日 あれは後付けですね。情報量の多い曲だらけだったから、ふーっとひと息付ける間がほしいなって、全曲トラックダウンが終わったあとに思いついて。

──ギリギリまで練ってたんですね。

朝日 本当にすごくいいアルバムができたから、ちょっとのことで後悔したくなくて。曲調的にはアルバム後半の「紫」あたりから若干重ための曲が並ぶんです。

タケイ だんだんエモーショナルになっていくもんね。

藤田 その重たくなっていくアルバムの展開もいいし、だからこそ「石ころの気持ち」が最後に置かれてるのは必然性があるというか。

朝日 これは夜が明ける曲なんです。歌詞としても1曲目「ちょうぐにゃぐにゃ」に「朝が来る」ってワードがあって、最後の曲でまた夜が明ける。我ながらよくできている(笑)。

タケイ できすぎてる(笑)。

もっさの“素”を感じられる2曲

──「TORCH」の収録曲のタイトルは、言いにくいんですけど、これまでになく雑な感じがしたんですよ(笑)。

朝日 「わっしょいまっしょい」ですか?

藤田 「ちょうぐにゃぐにゃ」もでしょ(笑)。

藤田(B)

藤田(B)

タケイ 「新島工場探検隊」って、なんのことかわからないだろうし。

藤田 “にいじま”ってすぐ読める人も少なそう。

もっさ 新島は私の地元(兵庫)のほうにあるんですよ。この曲は私が作曲したんですけど、最も私らしい歌声を聴ける曲だと思います。

朝日 あと、もっさが作ったもう1曲の「だから、」っていう曲もいいんですよ。ギターソロはスケールアウト気味にしてるんです。もっさが「あまりバラードらしくない感じで、ちょっと汚したい」と言ってたので。「TORCH」の楽曲は丁寧に組み立てたギターフレーズが多いんですけど、この曲に関しては赴くままに弾いてみたという。だからこの曲のギターソロ、めちゃくちゃ楽しかったです。

もっさ この曲はバラードにしたくないって思いが強かったので、みんなとアレンジについて相談して完成させました。悲しい曲じゃないし、怒っている感じ、繊細じゃない要素が欲しくて、そういうオーダーをしたんです。

──朝日さんは今作で歌詞を書くにあたって、これまでと異なる点はありましたか?

朝日 好きに書いたところかな。前作の「FREAK」に関してはわりと背伸びして大人になっている感じを意識したんですけど、今回はその流れを汲みつつ、よりわがままに歌詞を書いてみました。難しいことをあまり気にしてないので、歌詞でも口が悪いところもあるし、こぎれいな表現をあえてせずに汚いことも悲しいことも自分の好きなように書いてみようと。

もっさ そのおかげか、「TORCH」は窓が開いているというか、引きこもっていない感じのするアルバムになりました。聴いてくれる人に届けるためにどうするかをちゃんと考えて作ったので、ライブで目の前にいるお客さんを想像できる作品かなって。「FREAK」が部屋で1人聴いているイメージだとしたら、「TORCH」は周りに人がいる中で鳴っている音楽というイメージです。

ゴッホ、モネ、モッサ

──アルバムのアートワークには、もっささんのイラストが使われています。夕日の街並みですね。

もっさ これは私なりの“松明”。高い鉄塔と夕日が松明に見えたなっていうイメージです。人によっては火の点いたタバコを思い浮かべると思いますけど、私にはなじみがない。私の思う「TORCH」はこの絵のような風景だったっていう。

もっさが描いた「TORCH」ジャケット。

もっさが描いた「TORCH」ジャケット。

藤田 額縁に入れて壁に飾れるよ。

タケイ ホントに。めちゃめちゃいい。

もっさ 芸術か! いやいや、子供のラクガキで(笑)。

朝日 クレパスで描いてるの?

もっさ オイルパステルだよ。

藤田 夕日の光の表現がすごくいい。ゴッホ、モネ……モッサ。

一同 (笑)。

もっさ カタカナの字面はよさそうやな(笑)。教科書に載っちゃう!

初回盤には朝日が暴れまくって大人しくなるライブ映像も

──初回限定盤のBlu-rayには昨年11月に行われたZepp Shinjuku(TOKYO)公演の映像が収録されますが、振り返ってみてどんなライブでしたか?

藤田 ステージ後方に大きなLEDの画面がありまして、数曲でそれを大きく使ったのが印象的でした。ネクライトーキーで初の試みだったし、面白い画になってるんじゃないかなと。

もっさ 演奏してても楽しかった!

藤田 何を表示させるかの案を自分たちで出したうえで映像を作って。「ぽんぽこ節」で信楽焼のたぬきがだんだん近付いてきて、突然赤く光って回転し出すというシュールな映像もあります(笑)。

──そういえば、「今日はカレーの日」のテンポ感はどうだったんですか?

タケイ 前回のインタビューでテンポを変えるかもなんてお話してましたよね。実際にライブでやってみるとそんなに変化はなかったです(笑)。意外とスタジオ音源のテンポ感が気持ちいいという結論に達しました(参照:「踊れ!ランバダ」インタビュー)。

藤田 それが一番気持ちよかったよね。

タケイ 僕だけが気持ちいいみたいな独りよがりな曲にならなくてよかった(笑)。

──ちなみにこのライブ、トラブルなどは特になく?

藤田 鬼のようにチューニングが狂ってるのにそのまま歌ってるところはトラブルやな。

朝日 俺が暴れすぎて、思いっきりギターのペグ部分を殴っちゃったんですよ。

藤田 その結果、「オシャレ大作戦」と「ティーンエイジ・ネクラポップ」の一部がめちゃくちゃな演奏に(笑)。

もっさ トラブルは朝日さんのギターの音くらいかな?

朝日 いや、でもあのあと手が折れたのかと思うくらい痛すぎたのよ(笑)。ギターを弾くたびに手がビリビリして大変だった。

もっさ まあ……ギター折れんでよかったな。

藤田 手の心配はしないんかい(笑)。

タケイ そんな痛かったんだね。知らなかったからもう1回観たいわ。

朝日 痛がってるというより、めっちゃおとなしくなってるよ。

タケイ 見どころですね!

一同 ははは。

ツアーファイナルは朝日の誕生日

──5月には「TORCH」のリリースツアーが始まります。今回は7月23日に、Zepp Shinjukuよりも広いZepp DiverCity(TOKYO)でファイナルを迎えます。

朝日 ツアーファイナルはギター朝日の誕生日でございます! ぜひぜひ皆さんお越しください。

藤田 そう誕生日なんですよ。

もっさ お祝いにみんなでケーキを食べましょう(笑)。

藤田 その1週間後くらいに私も誕生日なんで、一応伝えておこう(笑)。

中村 私もツアー前に誕生日があります!

朝日 言い出したらキリがない(笑)。

ネクライトーキー

ネクライトーキー

──今回はどんなツアーにしたいですか?

朝日 21カ所を回るということで、ネクライトーキーとしてはかなりの公演数になります。いろんな街でライブができるのはうれしいし、お客さんにとって、“地元で観られるライブ”っていいものですよね。だから、そういうライブがこのツアーでできると思うとすごくうれしいです。「TORCH」の楽曲たちはきっとライブハウスで映えるし、聴いてて気持ちいいはずなので、我々もそんな新曲たちを演奏できるこのツアー、楽しみにしてます。

中村 誕生日ソールドアウトを目指して、がんばりたいね。

もっさ 朝日さんの誕生日を祝うためにも! 7月23日はZepp DiverCityに全員集合してくれ!

ツアー情報

ネクライトーキー「TORCH」リリースツアー「ゴーゴートーキーズ! 2024」

  • 2024年5月11日(土)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
  • 2024年5月12日(日)群馬県 前橋DYVER
  • 2024年5月18日(土)岡山県 YEBISU YA PRO
  • 2024年5月19日(日)愛媛県 松山サロンキティ
  • 2024年5月25日(土)石川県 Kanazawa AZ
  • 2024年5月26日(日)長野県 ALECX
  • 2024年6月1日(土)奈良県 奈良NEVER LAND
  • 2024年6月2日(日)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
  • 2024年6月8日(土)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
  • 2024年6月9日(日)茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2024年6月15日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2024年6月20日(木)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
  • 2024年6月29日(土)鹿児島県 SR HALL
  • 2024年6月30日(日)福岡県 DRUM Be-1
  • 2024年7月6日(土)香川県 DIME
  • 2024年7月7日(日)広島県 SIX ONE Live STAR
  • 2024年7月13日(土)宮城県 darwin
  • 2024年7月14日(日)福島県 LIVE STAGE PEAK ACTION
  • 2024年7月20日(土)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2024年7月21日(日)大阪府 GORILLA HALL OSAKA
  • 2024年7月23日(火)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)

プロフィール

ネクライトーキー

2017年に朝日(G)が中心となり、もっさ(Vo, G)、カズマ・タケイ(Dr)、藤田(B)により結成されたバンド。初回ライブよりすべてのライブサポートを行っていた中村郁香(Key)が2019年3月に正式加入し、5人編成となる。邦楽、洋楽、ゲームミュージックなどを取り込んだ遊び心のあるポップなメロディや、コミカル、ネガティブ、毒気、切なさを内包した歌詞、もっさのあどけなさの残る歌声が特徴の楽曲で人気を集める。全国ツアーや各地の音楽フェスなどで精力的なライブ活動を行っている。2022年6月にセルフカバーアルバム「MEMORIES2」を発表。2023年4月にファン投票の上位曲のみを演奏するリクエストツアー「ゴーゴートーキーズ!番外編 ~泣いても笑ってもアンケート順に演奏ツアー~」を東名阪で行い、初期ナンバー「オシャレ大作戦」が1位に選ばれた。8月に1st EP「踊れ!ランバダ」をリリース。2024年2月にNetflixアニメ「スコット・ピルグリム テイクス・オフ」のオープニングテーマ「bloom」などを収めたニューアルバム「TORCH」を発表した。5月からはアルバムを携えて全国21カ所を回るワンマンツアーを行う。