1stライブで「ひとつ夢が叶う」

──3月16日の1stライブ「Remember your color.」の話もしましょうか。ナノさん自身、これまでライブらしいライブを一度もやったことがないと聞きましたが？

まったくないんです。オーディションみたいな場で審査員数人みたいな環境で歌ったことはあるけど、お客さんが観に来てくれるような場所で歌うのは初めてで。だからこれが本当に初ライブですね。

──しかもデビューライブにいきなり2千数百人も集まるし。冷静に考えると、これってすごいことですよ？

そうなんですよね。なので今はまだ冷静に考えないようにしてます（笑）。

──それが正解だと思います（笑）。現在ネットを拠点に音楽活動をしている人って、バンド活動からネットに移ってきた人か、ひたすら宅録でネット上に音楽を提供し続ける人が多いと思いますが、ナノさんは後者として活動してきましたよね。そういう人がいきなり大勢の人の前でライブをするのはどういう気持ちなのか、ちょっと想像がつかないんですが。

そうですよね。自分はもともと小さいときから演技とか合唱とか、人前で何かするのが大好きで。歌手になりたいって思い描き始めてからは一番の夢だったのがライブで、ステージでこういうことをするとか、ここのタイミングで水を飲むとか、そういうイメージトレーニングをずっとしてたんです。でも実際に音楽活動を始めて、宅録に集中するようになってからはライブのイメージがどんどん薄れていったんですけど、改めてその夢が目前に迫ってきて。そういう意味では「ここでひとつ夢が叶うんだ」っていう、うれしい気持ちがデカイですね。

──今までもネットを通じて音楽を発表してきた際には、ニコ動のコメントやTwitterで文字として反響を得ていたわけですが、今度はそれとは違った生のリアクションを得ることになるわけですよね。

自分が何か言ったらワーって反応が返ってくるとか、たぶんステージの上に立つだけでいろんなエネルギーをもらうと思うんです。ダイレクトに反響が届くっていう意味ではネットもライブも変わらないかもしれないけど、ライブで何が起こるかを経験したことがないから想像ができないんですね。

1つひとつ乗り越えれば可能性が膨らんでいく

──ライブで具体的にやってみたいことって、ほかに何かありますか？

実はすごくありまして。やっぱり音楽を一方的に発信するのではなくて、コールアンドレスポンスとかお客さんが歌ったりするのを聴いてみたいです。それがライブ独特のよさだと思いますし。

──しかも今までやったことがないからこそ、そこで何か新しい発見があるかもしれないし。

本当にそう思いますね。

──ライブはナノさんやバンドメンバー、スタッフだけじゃなくて、お客さんがいないと成り立たないし。お客さんの前で歌うことで、リハーサルでは存在しなかった特別なことが起こるかもしれませんしね。

どんなハプニングが起こるかわかんないですし。ライブってやり直しできないし、1回のライブはどんなにリハーサルをしてもその1回限りの経験ですしね。

──しかも初ライブはこの1回だけですから。

本当に1回限り。大事にしていきたいと思います。

──そこから2ndライブ、3rdライブ、さらにはツアーにもつながっていくわけで。

今後は1つひとつのことを乗り越えていけばどんどん可能性が膨らんでいくと思いますし、それが何かの新しいきっかけ作りになったらなと思ってます。もちろん今回のライブに来れない方もたくさんいると思うので、いずれはみんながちゃんと参加できるような形を取れるようにしたいな。そこは期待してほしいです。

ずっと安全な場所にいるよりいろいろ経験したい

──2ndアルバム発売、1stライブを経て、アーティスト・ナノとしてこれからどういった活動をしていきたいですか？

2012年は下準備というか自分を発掘していく1年だったと思うんですけど、今年はそこで見つけたものをうまく活用して、どんどん行動に移していきたいです。例えばいろんなジャンルをロックに混ぜて自分流に音を調理して、新しいものを作っていきたいと思います。

──なるほど。新しいサウンドということで言えば、今回のkzさんとのコラボのように、もっとエレクトロ寄りの楽曲も聴いてみたいなと思いました。例えば既発曲のリミックスとか、ナノさんの声を素材に何か新しい楽曲を作ったりとか。

それはいいですね。とにかく周りが想像つかないようなことをどんどんやっていきたいです。今回の「BE FREE（WITH MUSIC）」はまさしくそんな曲だったと思うし、実際に「意外とアリなんだ」ってこともわかったし。ずっと安全な場所にいるよりはいろいろ経験していきたい。今年はいろいろ期待していてください！