デビュー20周年を迎える中村一義が、5月24日にセルフカバーベストアルバム「最高築」とライブDVD「ERA最高築 ~エドガワQ 2017~」を同時リリースした。
音楽ナタリーではこれを記念して、中村と旧知の仲であり共にデビュー20周年の小谷美紗子との対談を実施した。場所は中村の要望により居酒屋を用意。飲みながら20年間を振り返った2人の、和やかかつ真剣なトークを楽しんでほしい。
取材・文 / 秦野邦彦 撮影 / SUSIE
小谷美紗子は2つ年下の姐さん
中村一義 サシで飲むのは初めてだよね。
小谷美紗子 中村くんちにみんなで集まったときに話すことはあるけど、2人だけっていうのは、ほとんどないですね。中村くん、今1日1食なんでしょ?
中村 そう。夜はつまみと酒で寝ちゃう。で、また朝5時ぐらいに起きて、うちの犬を散歩させて。
小谷 名前なんやったっけ?
中村 魂(ゴン)。今日みーちゃんに会わせたかったんだけど。
小谷 会いたかったなあ。
──改めまして、お二人共デビュー20周年おめでとうございます。
中村 ありがとうございます。お互い20周年だもんね。
小谷 うん。で、私がちょっとパイセン。
中村 みーちゃんのほうが半年ぐらい早くデビューしてるから頭が上がらないんです。「姐さん、姐さん」つって。
小谷 あはは! 私の方が2つも歳下なのに(笑)。
──デビュー当時のお互いの印象って覚えてらっしゃいますか?
中村 みーちゃんが「ミュージックステーション」に出て、弾き語りで「嘆きの雪」を歌ったんです。そのとき初めて小谷美紗子というアーティストを知ったんですけど、びっくりしました。
小谷 あのときは佐藤準さんとのピアノデュオで。
中村 しかもオーラスで、それがすごいインパクトでしたね。いきなり洋楽の番組になっちゃったみたいな。
小谷 異質やった? でも、知らなかった。それを観てくれてたって。
中村 言ったよ、俺。そしたら「そうなんやー」って。
小谷 あらら。汗が出てきた(笑)。
中村 こう見えてけっこうおちゃめな人なんです(笑)。
池ちゃんが2人をつないでくれた
小谷 私が中村くんを初めて知ったのは、自分が出てる雑誌の隣のページに載ってたときで。すごく目力がある人だなと思ったんです。
中村 またまた! 姐さん何を言い出すの(笑)。
小谷 それから2、3年後にライブで一緒になって。
中村 京都の高台寺だよね。レキシの池ちゃん(池田貴史)と観に行ったんです。「一緒に行く?」って、連れてってもらって。
小谷 それが「はじめまして」でした。ライブのあとは「よかったら国宝が並んでいるところでお茶を飲みながら話しましょう」って、高台寺の庭師の方がそういう機会を設けてくださって。
中村 みんなで正座してね。それまでどんな人かなとずっと思っていて。池ちゃんがつないでくれたみたいな感じだね。
小谷 池ちゃんとは佐野元春さん主催の「THIS!」というイベント(1996年から98年まで東京・赤坂BLITZで開催)でSUPER BUTTER DOGと共演したときに知り合いました。
中村 池ちゃんも、みーちゃんの音楽が大好きで。一緒に京都を旅行したときもずっとヘッドフォンで聴いてたもん。
小谷 一番古いミュージシャン友達ですね。ライブを観に来てくれたり、バンドを一緒に作ろうって「odani misako・ta-ta」を作ったり。その頃、中村くんの武道館ライブを観に行って。私は時代の端っこで一生懸命歌ってるような気持ちだったんですけど、みんなはど真ん中を狙っていくじゃないですか? そういう中、中村くんとか、bloodthirsty butchers、eastern youthのように自分と同じような志を持ったミュージシャン仲間がいることにうれしくなったんです。
中村 特に俺たちソロだったもんね。
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バンドがいないからやってた宅録とピアノ伴奏
- La.mama 35th anniversary
「正しさの価値観に共感する。中村一義×小谷美紗子」 -
2017年8月3日(木)東京都 渋谷La.mama
<出演者>
中村一義(Acoustic set) / 小谷美紗子(弾き語り)
- 中村一義「最高築」
- 2017年5月24日発売 / Victor Entertainment
-
初回限定プレミアム盤 [CD+ブックレット+缶バッジ]
5940円 / VIZL-1163 -
通常盤 [CD]
3240円 / VICL-64788
- 収録曲
-
- 犬と猫
- 永遠なるもの
- 魂の本
- 笑顔
- 1,2,3
- ロザリオ
- 素晴らしき世界
- キャノンボール
- いつだってそうさ
- Honeycom.ware
- ワンリルキス
- ビクターズ
-bonus track-
- 世界は変わる
- 初回限定プレミアム盤特典
-
- 写真集(撮影 佐内正史)約60ページ
- 全アルバムジャケットスペシャル缶バッジ(10個)
- 中村一義
「ERA最高築 ~エドガワQ 2017~」 - 2017年5月24日発売 / Victor Entertainment
-
[DVD]
5940円 / VIBL-852
- 収録内容
-
第一部
- イーラ
- 1,2,3
- ロザリオ
- メロウ
- スヌーズ・ラグ
- ピーナッツ
- ショートホープ
- 威風堂々(Part1)
- 威風堂々(Part2)
- 虹の戦士
- ジュビリー・ジャム
- ジュビリー
- ゲルニカ
- グレゴリオ
- 君ノ声
- ハレルヤ
- バイ・CDJ
- ロックンロール
- 21秒間の沈黙
- 素晴らしき世界
第二部
- 犬と猫
- ワンリルキス
- スカイライン
- 永遠なるもの
- キャノンボール
-bonus track-
- キャノンボール(Music Video)
- 小谷美紗子「MONSTER」
- 2017年4月15日発売 / Music For Life
-
特別「木の箱」仕様盤 [CD]
5400円 / MFLR-1001 - 2017年5月20日発売 / Music For Life
-
通常盤 [CD]
2700円 / MFLR-1002
- 小谷美紗子20周年記念弾き語りツアー2017「旱に雨」
-
- 2017年6月23日(金)東京都 Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
- 2017年6月29日(木)京都府 高台寺
- 2017年6月30日(金)京都府 高台寺
- 中村一義(ナカムラカズヨシ)
- 1975年、東京都江戸川区出身のシンガーソングライター。1997年1月にシングル「犬と猫 / ここにいる」でデビューし「金字塔」「太陽」「ERA」というオリジナルアルバム3枚をリリースする。2001年「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2001」に出演した際のバンドメンバーが集結し、2002年にアルバム「100s」を発表。2004年には同メンバーでバンド・100sとしての活動を開始し、3枚のフルアルバムをリリースした。2012年2月に約10年ぶりとなるソロ名義での新作CD「運命 / ウソを暴け!」を、7月にアルバム「対音楽」を発表。同年12月にはデビュー15周年記念ライブ「博愛博 2012」を東京・日本武道館で実施した。2014年には盟友・町田昌弘(100s)とのトーク&弾き語りライブツアー「まちなかオンリー!2014」、自身初となる地元・江戸川区での特別公演「エドガワQ」、約12年振りとなるソロ名義のバンドツアー「RockでなしRockn'Roll」を開催する。2016年3月にはビクターエンタテインメント移籍後初のアルバム「海賊盤」、ライブDVD「金字塔完成記念日~エドガワQ 2015~」を発売。2017年5月にはセルフカバーベストアルバム「最高築」と、2月に東京・江戸川区総合文化センターで行われたライブ「エドガワQ2017~ERA最構築~」の様子を完全収録したDVD「ERA最高築 ~エドガワQ 2017~」を同時リリースした。
- 小谷美紗子(オダニミサコ)
- 1976年京都生まれ。ピアノ弾き語りによる情感あふれる歌声が注目を集め、1996年リリースのデビューシングル「嘆きの雪」がスマッシュヒットを記録。以後コンスタントに作品を発表し、多彩な音楽性を見せつけながらその存在感を確立していく。2003年には彼女をリスペクトするミュージシャンが集まり「odani misako・ta-ta」名義でアルバムを発表するなど、他アーティストからの支持も厚い。近年は玉田豊夢(Dr)、山口寛雄(B)とともにトリオ編成のバンドでライブやレコーディングを実施。2013年12月に通算12枚目となるオリジナルアルバム「us」を発表。2016年4月にはデビュー20周年プロジェクトの第1弾として弾き語りベストアルバム「MONSTER」をリリースした。