中島健人|“アイドル”を超えた存在へ──“Hyper Sexy”で見せる進化と革命 (2/2)

5万5000人に「LOVE KENTY!」って叫んでもらいたい

──シングルのカップリング曲についても話を聞かせてください。初回限定盤A、B、通常盤に共通で収録されている「Can't Stop」はしなやかなグルーヴが気持ちいい楽曲ですね。

候補曲の中から、スタッフの皆さんがレコメンドしてくれました。僕の曲でいうと「碧暦」(2025年5月発売の1stシングル「MONTAGE」収録曲)、もっと言えばSexy Zone時代からいろいろな曲を書いてくれているKanata Okajimaさんが作ってくれた楽曲です。自分をよく知ってくれている方だし、今回のシングルのカップリングにもぜひ岡嶋さんの曲を入れたかったんですよね。当初は作詞もすべて岡嶋さんにお任せする予定だったんですけど、ディレクターから「ケンティーの空気感、血も欲しい」と言われて。歌詞に空白になっていた部分があったので、そこを書かせていただきました。

──「いつだって人生 Can't Stop Runnin'」というフレーズは、先ほどの「アイドルは止まるとダメになる」という話ともつながってますね。

そうですね。特に2番の「終われないね 案外いつもタフさ」は今の自分を表しているなと。やっぱりまだまだ終われないんですよ。この前、ブルガリの展覧会のオープニングイベントでひさびさに山P(山下智久)に会って。そのときに聞いたんですよ(参照:IVEウォニョンや中島健人らブルガリまとって国立新美術館へ、目黒蓮は“友情”感じるスタイリング)。「山下くん、たくさんヒット曲も作ってるし、もう夢は満たされたんじゃないですか?」って。そしたら「全然。まだまだこれからだよ」と言っていて。この人が止まらないんだったら、もちろん俺も全然止まれないよなって改めて思ったし、「Can't Stop」の「終われないね」の歌詞がさらに沁みてきました。

──達成していないことがまだまだある、と。

はい。やっぱり1人で東京ドームに立たなきゃいけないと思ってるので。STARTO ENTERTAINMENTにソロでドームをやってる人はいないし、最初の1人になってやろうかなって。今はグループではなくて1人で戦ってる身なので、U:nity(中島ファンの呼称)をもっと増やしていきたいですね。2年前の東京ドーム公演「SEXY ZONE LIVE TOUR 2023 Chapter II in DOME」の記憶を心の中で大切にしているんですけど、あのときの自分を余裕で超えたいです。すでにライブのイメージもあるんですよ。特にオープニングとアンコールの演出は自分の中で決まっています。「CANDY ~Can U be my BABY~」をドームで歌って、5万5000人に「LOVE KENTY!」って叫んでもらいたいですね。

中島健人

中島健人の純度100%でお届けした、最初の曲

──初回限定盤Aには中島さんが2022年に初めて作詞作曲し、自身のブログ「KenTeaTime」で公開した楽曲「Celeste」が収録されています。新たにアレンジを加え、2025年バージョンとしてブラッシュアップしたそうですね。

「Celeste」をCDに収録できたことが感慨深いですね。この曲を作ったのは、2022年の5月くらい。トラックメイカーのSUNNY BOYさんに知人を通してお会いしたことをきっかけに作った曲でした。「どうしても自分で曲が作りたいから、作り方を教えてほしい」とSUNNYさんにお願いしたら、「もちろんいいんだけど、一緒に曲を作るというところからビジネスが始まっちゃうよ」と言われて。

──プロ同士のセッションになりますからね。

そう。曲の制作となると、友達としてではなくて、プロとしてのやりとりになると。しかもその場で「曲を作りたいという気持ちはわかったから、うちに来る?」と言ってくれたんです。ご自宅のスタジオなんですけど、海外のトラックメイカーやアーティストがどんどん来て、レコーディングしていくんですよ。僕はSUNNYさんの後ろにいて、Pro Toolsの画面をずっと見ていて。

──トップクリエイターの作業を間近で体験できたんですね。

全部目で覚えようとしてました(笑)。それまでも作詞作曲はしてたんですけど、全部自分の口でフレーズを作ってたんですよ。ボイスパーカッションでビートを入れて、シンセの音色とかも歌ったり。ずっと「機材を使って作れたらいいだろうな」と思ってたんだけど、誰も教えてくれる人がいなかったし、どうしたらいいかわからなくて。SUNNYさんとお会いして、制作の現場を見せていただいて、そのあと自分で機材を使って初めて作ったのが「Celeste」でした。それを「KenTeaTime」にアップして。中島健人の純度100%でお届けした、最初の曲ですよね。さらに今回のシングルに収録するにあたって、SUNNYさんのアシスタントだったSASくんの力を借りて、ブラッシュアップしました。

──歌詞やメロディはそのままですか?

はい。僕のメンバーカラーであり、以前から大切にしている色が青で。その色が日々を包んでいて、まるで空がほほえんでるように見える。それはどうしてかわかる? 君に会えるからだよ……そういう歌なんですよ、「Celeste」は。この曲でいつか会場中を青のペンライトで埋める光景を想像しています。“中島健人の主題歌”みたいなシングルにこの曲を収録できるのは本当に光栄です。この曲は2022年の時点でMVもあって。俳優の赤楚衛二に協力してもらい、ベネチアを模した商業施設で撮影しました。その数カ月後にドラマの撮影でイタリアに行った際に、ベネチアでもこの曲の素材映像も撮ってきたので、それを使っていつかMVもブラッシュアップさせたいですね。

これまでやってきたことの継承と、アイデンティティの越境

──初回限定盤Bに入っている「Symphony」は、高揚感にあふれたアッパーチューンです。

デモを聴いたときに、フェスで映える曲にしたいなと思って。コール&レスポンスできる曲はけっこうあるんですけど、みんなで一緒に歌える曲は少ないんですよ。みんなの声が重なり合うというイメージから、「Symphony」というタイトルを決めて、そこから歌詞を書いていきました。最後に「ただ愛しきあなたを永遠に奏でよう」という歌詞を入れたくて、メロディを増やしてもらったんですよ。このフレーズまでは“1対数万人”という感覚で歌ってるんですが、ラストは“1対1”で語りかけるような歌い方にしています。

──ファンの皆さんに対する思いですね。

はい。「愛していたこの“音”も抱きしめて」という歌詞についても、思いを馳せてほしいですね。「RUN」「夏のハイドレンジア」「BAD BOYS」もそうだけど、今まで僕が関わってきた曲も引き継いでいくというメッセージもあるので。

──まさに継承。

そうですね。これまでやってきたことの継承とアイデンティティの越境……今回のシングルのテーマはそれですね。

──通常盤に収録された「モノクロ」は、シックなテイストのミディアムチューンです。

「モノクロ」はこのシングルで唯一僕が作詞作曲に携わっていない曲ですが、最後のサビの声の重ね方にすごくこだわっていて。ラストだけ主旋律、オクターブ上、オクターブ下の三声になっていて、しかも下のパートをメインにしているんです。ベースラインみたいなメロディだけど、それを軸にすることで、倍音をしっかり生かしたいなと。ディレクターには「ちょっと難しい提案だね」と言われたけど、いろんなリファレンスを聴いてもらって、自分からもさらに説明して。自分としても満足のいくエンディングになったし、すごく好きな曲になりました。今年のホールツアーでは「迷夢」という曲で、アカペラで高音を歌ったり、グループのときにはなかったような1人で歌の表現を見せるシーンも増えて。ボーカルの地力が付いてきたなと実感してます。

中島健人

目標は“すごいやつになる”

──中島健人さんのアイデンティティを改めて示す、充実したシングルだと思います。来年1月には有明アリーナ3DAYS公演も開催されますが、この先の活動ビジョンをどう描いていますか?

そうですね……シンプルな表現になりますが、“すごいやつになる”というのが目標です。そういう存在になりたいし、すごい場所を作って、みんなと一緒にそこに行きたい。具体的な目標もいくつかあるんですが、その1つはやっぱり東京ドームですね。そういえばこの前、Nissyさんと一緒にごはんをしたんです。Nissyさんはソロアーティストとして初めて、6大ドームツアーをやった人じゃないですか。「1つ分けてくださいよ」って言ったら、「ケンティー、今31歳でしょ? 全然大丈夫だよ。いけるいける。ここから楽しいね!」って。改めてすごい方だなと思いましたね。

──山下さんもそうですけど、カッコいい先輩がいてくれるのは刺激になりますね。

背中を追うべき方はたくさんいらっしゃいますね。ただ、「この人みたいになりたい」と思ったことはなくて。正直、僕は僕にしかなれないし、自分の夢を目指すことで、いろいろなことを後輩たちに伝えることもできるのかなと。今年に入って、後輩から「一緒に仕事したいです」「曲を作ってください」って言われることが増えましたけど、それもありがたいですね。

──中島さん、交友関係が広いですよね。会いたい人には自分から会いにいくというか。

そうかもしれないですね。藤井風くんとも「MUSIC AWARD JAPAN」で初めて会ったんですが、そのときに「セクシーサンキュー!」って急に言ってきたんですよ(笑)。そこから風くんとも話すようになって。僕は風くんの「Prema」がすごく好きで、それを伝えたら「恐縮セクシー」って返ってきた(笑)。風くんも「IDOLIC」を聴いてくれて、「ケンティーが自分を貫いている姿はすごくカッコいいし、これからもお互いに貫き通しましょう、この人生」とメッセージをくれたんですよ。すごくうれしくて「Hyper Sexy Thank you」ってお礼のLINEを送ったら、「光栄セクシー」って返事がきました(笑)。

──素敵です(笑)。ボーカリストとしての表現の幅も広がっていますが、この先、どんなスタイルの音楽をやっていきたいと思っていますか?

明確にやりたいことがあるんですよね。僕はファルセットが好きなんですけど、今の歌い方だとどうしても喉が疲れやすくて。もう少し、喉を落とすような歌い方をしてみたいんですよね。あとは海外のプロデューサーとも組んでみたくて。しっかりディレクションもしてもらいたいし、アイドルとしての歌い方も“ver2.0”に更新していきたいです。

公演情報

THIS IS KENTY -IDOL ver2.0-

  • 2026年1月23日(金)東京都 有明アリーナ
  • 2026年1月24日(土)東京都 有明アリーナ
  • 2026年1月25日(日)東京都 有明アリーナ

プロフィール

中島健人(ナカジマケント)

1994年3月13日生まれ、東京都出身。2011年11月にSexy Zoneのメンバーとしてデビュー。2024年3月にグループを卒業。キタニタツヤとのユニットGEMNを結成し、7月にテレビアニメ「【推しの子】」第2期のオープニング主題歌「ファタール」を配信リリースした。さらに音楽プロジェクト・HITOGOTOを始動し、自身が主演を務めるテレビ東京系ドラマ「しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~」の主題歌の歌唱と作詞を担当。10月に主題歌を収録したCDシングル「ヒトゴト feat. Kento Nakajima」をリリースした。12月に中島健人ソロデビューアルバム「N / bias(ノンバイアス)」をソニーミュージックから発表。2025年1月に東京・有明アリーナで単独コンサートを行った。4月よりホールツアーを開催し、5月にアニメ「謎解きはディナーのあとで」のオープニングテーマ「MONTAGE」をシングルとして発表。9月に台湾で初の海外公演を実施。10月に2ndシングル「IDOLIC」をリリースした。2026年1月に有明アリーナ公演を3日間にわたって行う。