ナタリー PowerPush - 中川翔子
11年目の大人ロック&壇蜜セクシー指南
ライブで歌っているイメージそのままで
──今までの流れだったら、カップリングにはじゃあ優しいバラードを、ということになりそうですけど……実際は真逆でしたね(笑)。「紅恋毒蝕(ラズベリーイクリプス)」はツーバスが鳴りまくるメタル曲で。
コンセプトとして1枚まるごとロックにしたかったんですよ。meg rockちゃんと黒須克彦さんの組み合わせは「空色デイズ」からずっと鉄板の、私のロックを作ってくれる2人で。全然お任せで曲を作ってもらったんですけど……黒須さんはすごくおだやかな人なのに、メタルかい!っていう(笑)、すごい曲を書いてくれて。
──同じコンビでも「happily ever after」や「calling location」ともまったく違った種類のロックですよね。
タイトルもなんと読んだらいいのかわからないですからね(笑)。「薫衣草(ラベンダー)」とか「朔月(三日月)の煌冠(ティアラ)」とか、歌詞に出てくる言葉もmeg rockさんが作ってくれたんですよ。
──これも中2イズムあふれる言葉使いというか(笑)。
なんて読むのかわからない当て字をする時期は、みんなもありますよね(笑)。私は今でもテンション上がります! 「薫衣草」は、夜明けの空をmegちゃんらしくかわいい言葉で表すとこうなるんです。中国語のラベンダーとかいろんな漢字を当てはめて、どれもかわいくなかったから「じゃあ作っちまえ」って。音だけ聴くと暴れてるけど、歌詞ではすごくノロケていて、ラブラブなんですよ。好きすぎてキーッとなっちゃってるみたいな。それでいて「蝕まれたいの」とかグサッと刺さる言葉もあって。megちゃんワールドですね。
──歌い方はかなり大胆にサウンドの世界に寄せられていて。
「叶える」を「きゃなえる」って歌ってます(笑)。今まではきれいな音程で録って、ライブで歌い込むうちにだんだん変わっていく感じでしたけど、CDですでにそうなっちゃってる。まだまだ歌っていくうちに変わっていくかもしれないですね。実はレコーディングはこっちのほうが「続 混沌」よりも先で、こんなにやっちゃっていいんですか?って思いながら作ってました。今回はコンセプトとして初めから、きれいに録ってあとで変えるんじゃなく、ライブで歌っているイメージそのままで歌っちゃおうということで。これが先にあったから「続 混沌」も同じ勢いで行けました。
悩める時代の“特効薬”アニソンがしっかり栄養に
──今回のシングルは、紆余曲折あった“ぼっち”の歴史を大っぴらにしている中川さんだからこそ、今こうやって堂々と混沌=カオスでいいんだと言える、説得力のある1枚になったなと思います。
こんなドス黒くカオスな世界がしっくりくるようになるとは思いませんでした(笑)。今までの積み重ねの結晶が形になった1枚になりましたけど、中川翔子の音楽活動を知らない人が初めてこのシングルを聴いたらビックリされちゃうかも。
──デビュー11年目で、もう“レベル28”なんですよね……。
早いですね。歳を取ると時間が立つのが早く感じるとは聞いてましたけど……DVDを1.5倍速で観てるような感覚で(笑)、ホントに日々あせります。あせんなくていいとも言われますけど、あせりますよ。今しかできないことだらけだし、時間は限られているので。でも、年上の皆さんが言ってた通り「今が一番楽しい」になってきましたね。大変なことも少し余裕をもって楽しめるようになりました。長く続けさせてもらっているものもあれば、新しく挑戦することも増えてきて。洋楽の番組で司会をやったり、アニソンラジオ番組のレギュラーが始まったり。アニソンラジオ番組は生放送だから瞬間的に言葉を選ばなきゃいけないんですけど、悩んでた時代に特効薬として聴いていたアニソンがしっかり栄養として入ってるから、すんなり言葉にできるんですよ。
──おお。
「ああ、ちゃんと役に立ってる。すごい!」ってびっくりしますね。今が一番、楽しく前のめりでお仕事できてます。実はまだ発表できないことで、いろいろ新しく決まってるお仕事もあるんですよ。「ギザ10」な10周年もすごかったけど、11年目の「ギガントイレブン」はもっとすごい。夢が叶いまくっちゃってます、今。
空想子育て「エア子供」
──このビジュアルイメージは「ミイラ」なんですか?
はい。私、ミイラかゾンビか化石になりたいんですよ。日本は火葬だけど、生きた証を簡単に灰にしてしまうのはイヤなんです。同じアジアでも香港は土葬で、風水でいい時期を待って土葬するんですって。それを聞いたときにすごくうらやましくて(笑)。
──土葬がうらやましい(笑)。
あとこの前ドキュメンタリーで観た「アイスマン」ですね。5000年前の冷凍ミイラが今の時代にやっと解凍されたら、胃の中のものまで残ってたんですよ。「生きた証まるごと!? 最高すぎる!」と思って。死ぬときはミイラかゾンビか化石になるのが夢ですね。
──もう少し現実的なところで(笑)、やってみたいことや夢などはありますか?
うーん、なんだろう。最近だと……大先輩の杏子さんを見ていて、バンドをやりたいなと思いました。何年か前にそういう話もあったんですけど、立ち消えになっちゃって。ほかに音楽だと、タイトルを叫ぶドアニソンですね。「聖闘士星矢Ω」で叶いましたけど、今度はオリジナルで。
──最後にまったくの余談ですが、先ほどお話されていた「エア子供」について、もうちょっと詳しく教えてもらえますか?
何種類かのオタクを育てたくて。長女は今3歳半ぐらいになって、ポケモンにハマッてますね。次に生まれたのが男の子で今は2歳。戦隊モノを教えてます。最近もう1人生まれたんですけど(笑)、まだ8カ月ぐらいで。
──理想としては、女の子と男の子、どっちがいいですか?
最初は女の子1人でいいと思っていて。私が父がいなくてもさびしくなかったのは、母が父親代わりでもあったし、姉妹や友達みたいな関係だったからだと思うんです。今もそうだし。1人のほうが趣味に没頭できるだろうし……と思ってずっと女の子1人で考えてたんですけど、去年ポケモン映画でケルディオの役を演じさせてもらったときに、ケルディオの男の子らしいキャラクターに「いいなー男の子」って思っちゃって。
──自分が体験していない男の子としての生き方を、我が子に託して。
特撮の見方も違うと思うし、私にはできない格闘技もさせたいんですよね。ブルース・リーやジャッキー・チェンみたいに。親が好きなものの影響は少なからず受けると思うんで、自分は何を伝えるべきなんだろう……って妄想するのが楽しいんです(笑)。
CD収録曲
- 続 混沌
- 紅恋毒蝕
- 続 混沌(instrumental)
- 紅恋毒蝕(instrumental)
- 歌舞伎町の女王 -2011.12.20.中野サンプラザver.-
DVD収録内容
- 続 混沌 Music Video
- 続 混沌 Music Video(メイキング)
中川翔子(なかがわしょうこ)
「しょこたん」の愛称で知られる、1985年生まれの女性アイドル。2002年に芸能界デビューして以来、数々のテレビ番組に出演し人気を高めていく。2004年11月からスタートさせた公式ブログ「しょこたん☆ぶろぐ」でも人気を博し、2006年にはシングル「Brilliant Dream」で歌手デビュー。このほかにも声優やイラスト、マンガ家、ドラマ出演など、多方面で活躍するマルチタレントぶりを発揮している。デビュー10周年を迎えた2012年には念願だった初のアジアツアーを大成功に収めた。2013年6月5日に通算16枚目となるシングル「続 混沌」をリリース。