ナタリー×WOWOW ミュージックスタイルJAPAN PowerPush - 清水翔太
“Naturally”な初武道館ライブ WOWOW連動インタビュー
いつ見てもかっこいい、自然体な小田さん
──自然体と言えば、アンコールで登場したスペシャルゲスト・小田和正さんもすごく朗らかな方ですよね。
そうですね。小田さんに憧れているところはたくさんありますが、中でも常に自然体なところが憧れです。僕は、自分の中で“清水翔太”というイメージを作り出して、それを意識し過ぎてしまうことがあるんですね。でも、本当はもっと素直になりたいし、自然と生まれてくるものを表現していきたいので、小田さんの自然体な姿はいつ見ても本当にかっこいいです。
──小田さんとコラボすることになった経緯を改めて教えていただけますか。
2009年に、小田さんが年末に行っている「クリスマスの約束」に呼んでいただいたことがきっかけです。ありがたいことに、それから毎年番組に出演させていただいていて。そして僕が小田さんに「一緒に作品を作りたいです！」とお願いしたことから、制作が始まりました。
──翔太さんは小田さんに音楽的才能を認められているんですね。
先日、小田さんのファンクラブ会報誌を見せていただいたんですが、そこに僕とのコラボのことが書いてありました。細かくは覚えていないですが「年末の番組に翔太みたいな後輩に出演してもらうことで、僕はとても助けられている。だから今度は自分の番だ。自分が呼ばれたらいつでも助けに行きたい」というような内容が書いてありました。僕たちの世代からすると、小田さんと一緒に歌えるのは光栄なことで。その上、当のご本人もそのことをすごく感謝してくださっている。世代の違う僕らのためにも飛んできてくれる……。本当に素敵な人ですね。優しくて、自分に共感してくれる人、わかち合える人を大切にしている方なんだなと思いました。
──そして実際にステージで小田さんと共演して、いかがでしたか？
小田さんがライブに来てくれたことは僕自身もうれしかったのですが、何よりも会場のお客さんがとても盛り上がって喜んでくれたことがうれしかったです。
自分らしくいていいと教えてくれたバンドメンバー
──ところで翔太さんは、ライブのほとんどの要素を自分で決めているんですか？
全てではないです。どうしても時間や体力に限りがあるので、自分は自分の長所を見せることを一番に考えたいし、それに集中したいので、自分が得意じゃないことはスタッフの皆さんに任せています。自分でイメージすることもありますけど、果たしてそれが本当に正しいことなのかわからないので、プロの皆さんの力を借りています。だからこそ、信頼できるスタッフと一緒に仕事がしたいですね。
──確かにスタッフとの固い信頼関係を表すように、皆さんすごく仲が良いですよね。ダンサーの方々と翔太さんが楽屋で和気あいあいと過ごしている姿もツアー中よく見かけました。
そうですね。こんなに仲が良いクルーもなかなかいないんじゃないでしょうか。常に連絡を取り合っていて、みんなで家に集まってゲームをしたり、ライブの打ち上げをスタッフ全員でしたり……。普段は力が抜けていて楽しいけど、やるときはちゃんとやる。そして、お互い信頼しているからこその空気感が心地良い。そんな最高のチームです。
──デビュー5年にしてそんな大切な仲間と出会えたのは幸せなことですね。
このチームに安心感を抱き始めたのは、2年くらい前からですね。それまでは、若いうちにこの世界に入って周囲は大人ばかりで、「これはこうするべきだ」と言われたら、頑なに「それが正しいからそうしなくちゃいけない！」と思っていました。そんな自分に、もっと肩の力を抜いて自分らしく音楽を好きでいていいんだと教えてくれたのが今のバンドメンバーなんです。僕は彼らのおかげですごく明るくなれたし、オープンになれた。だから今、“Naturally”と言えるんでしょうね。僕にとって彼らはとても大事な存在で、彼らと一緒だからこそ、今のステージで素敵なライブができるんだと思います。それは観ている人にも伝わっているんじゃないかな。
──今回の武道館ライブでたくさんのものを得たと思いますが、改めて翔太さんにとって音楽とはどんなものですか？
仕事であり、趣味ですね。そのどちらかに寄り過ぎないで、均等なバランスでいるようにしています。好きなことを仕事にするのは、中途半端じゃダメだと思うんです。僕は音楽を心から愛していますが、だからこそすごく辛いことが何度もありました。でも、仕事とはまた違う部分で、音楽が好きで楽しいから、同じバランスでいることができるんだと思います。バランスをとることが辛いときもありますが、それがアーティストの宿命なんでしょうね。だからこのスタンスはずっと変えないでいたいです。
清水翔太（しみずしょうた）
1989年生まれ、大阪出身のR&Bシンガー。2007年に発売された「セリーヌ・ディオン・トリビュート」に参加したほか、さまざまな実力派アーティストと共演し着実にファンを獲得。2008年2月にシングル「HOME」でメジャーデビューを果たす。同年11月に発表した1stアルバム「Umbrella」がオリコンウィークリーチャート2位を記録する。さらに2009年5月には加藤ミリヤとコラボシングル「Love Forever」をリリースし同世代リスナーの反響を呼んだほか、2012年2月には小田和正をフィーチャーした「君さえいれば feat. 小田和正」を発表。ソングライティングや楽曲アレンジも手がけ、豊かな表現力と圧倒的な歌唱力で多くのファンを魅了している。2012年7月には、4thアルバム「Naturally」を携えたツアーで初の日本武道館ライブを敢行した。
