ナタリー PowerPush - MONOBRIGHT
桃野陽介&ヒダカトオル 直接対談で語る「2年間の蜜月」
周りに面白いことやってるって伝えることに気付いた2年間
──ヒダカさんとしては、MONOBRIGHTのメンバーとしての2年間で自分にどういう変化があったと思いますか?
ヒダカ (キッパリと)なかったです。
桃野 いやいや(笑)。
ヒダカ まあ、BEAT CRUSADERSが終わったときって、その後にどういうアクションを起こすんだろうというお客さん側の期待があるのもわかってたし、そこに対してプロのミュージシャンとして応えなきゃいけないなと思ってたんです。でも、すぐに自分のリーダーバンドをやりたくはなかったんですよ。というか、正直休みたかったんですよね。まあ1人の男として俺も疲れてたんで。とはいえ、生粋のワーキングドMなんで、何かはやりたい。「どうしたもんかな」と思っていたら、いいタイミングでMONOBRIGHTが声をかけてくれたんですよね。
──それが自分にとってもうれしかった。
ヒダカ そうですね。「プロデューサー的にどうですか? で、それだけじゃ面白くないからメンバーとして入ってみるのはどうですか?」って提示してくれたおかげで、まず俺がすごい救われましたね。全然違うことをやってリフレッシュできるし。だから自分のリーダーバンドが解散して、俺もショックだったんだよね。そこで、言い方は悪いけど、BEAT CRUSADERSのヒダカトオルだったものをいい意味で箸休めできた。それになかなかそういうことをできる人っていないじゃないですか? アイゴンとか、亀田(誠治)さんとか、そのレベルに並べたなって思えたし。
──この5人だと、そもそも友達から始まったバンドだけじゃないプレイヤー同士の関係性が生まれますよね。
桃野 それは大きいですね。やっぱり同級生でバンドをやってると見えないものがある。
ヒダカ それで、音にしても面白いポイントが外に伝わりにくくなっちゃうというか。そこを誰が見ても面白いものにする。そこは俺も留意しながらでしたね。
──ヒダカさんが加入したり脱退する経緯をどう見せるか?みたいな、そういうことも「面白いポイントをどう見せるか」ということにつながりますよね。
桃野 そうですね。僕ら自身、今までもずっと面白いことをやろうと思ってやってきたんですよ。でも、どうしても内輪ウケになる部分はあって。周りに面白いことやってるって伝えることの大切さに気付いた2年間だったかも。
ヒダカ それ、三十路っぽい発見だね。俺もそうだったし。
BEAT CRUSADERSの頃の生活にはもう戻れない
──ちなみに、桃野さんは今年30歳になるわけですけれど、ヒダカさんの29歳から30歳の頃ってどんな感じでした?
ヒダカ ちょうど、サラリーマンをやりながらBEAT CRUSADERSのCDを出す頃ですね。要領がわかってきたときというか。20代もアメリカに留学したり就職したり紆余曲折はありましたけど、バンドはずっとやっていて。でも、鳴かず飛ばずで。例えば同期の曽我部(恵一)くんとか、NOTHERN BRIGHTの新井(仁)くんとか、周りがどんどんメジャーになって飛び立っていく。そういう中で俺だけ全然人気ねえな、おかしいなと思い始めた時期で。で、こうすればリスナーにもちゃんと共感してもらえるって、ようやく客観的に把握し始めた年頃でしたね。そこからインディーズデビューするまであっという間だったし。俺がBEAT CRUSADERSを始めたのが27、28の頃で、最初2年くらいはアバンギャルドなことばっか言ってたんだけど、29から30ぐらいで、あっという間にCDの話がきたし、いいイベントに呼ばれるようになった。それって別に音楽を変えたんじゃなくて、ただ見せ方とかちょっとした心遣いを変えただけだったっていう。だから、多分MONOBRIGHTも今そういう岐路に立たされているし、まさにその渦中にいるんだなっていう。それは自分の青春を思い出してちょっと胸熱になったりもして(笑)。
──ヒダカさんにとってはビークルがメジャーでブレイクしていた6~7年くらい前と、MONOBRIGHTとしての今っていうのはどういう風に違います?
ヒダカ やっぱり前は気持ちとして余裕はなかったですね。だから振り返って聴けば音としては好きだけど、あの生活にもう1回戻れって言われたら「はい!」とは言えないかな。やっぱり余裕があって何かをやるって大事だし、今のほうが余裕は全然ありますよね。それは別にMONOBRIGHTがイージーだからって意味じゃなくて、客観的にも関われるし、中に入って思いっきり胸熱なこともやれるし、その両方を使い分けることができるっていう。まあ、余裕がなかった5年前の自分を振り返ると「バカだったんだな」って思いますけどね。でも今だって5年後に振り返ったらそう思うかもしれないし。きっとMONOBRIGHTもそうでしょ。5年前のデビュー時、上京時って。
桃野 そうですね。「なんであんなことしてたんだろ?」っていう記憶しかない(笑)。今やってることだって、そう思うかもしれないし。でもそうやって思えるというのは、それだけ印象的なことを残せてるっていうことだと思うんで。
──そこには謎の熱狂があるわけですからね。
ヒダカ そうそう。だからそういうことでいいのかなって。
- ニューシングル「ムーンウォーク」/ 2012年11月7日発売 / DefSTAR Records
- 銀さん盤(DVD付き初回限定盤) [CD+DVD] / 1500円 / DFCL-1948~1949 / Amazon.co.jpへ
- 金さん盤(フルヴォリューム盤)[CD] / 1100円 / DFCL-1950 /※写真は初回仕様ジャケット / Amazon.co.jpへ
銀さん盤(DVD付き初回限定盤)CD収録曲
- ムーンウォーク
- 旅立ちと少年3(スタジオREC ver.)
- アンチ・ヴァイオレント・セクシー
- FUNKTOPIA(instrumental)
- ムーンウォーク(less vocal)
銀さん盤(DVD付き初回限定盤)DVD収録内容
- 「ムーンウォーク」ライブ映像(8/14@新代田FEVER)
- 「旅立ちと少年3」ライブ映像(8/14@新代田FEVER)
- 「ハートビート」ビデオクリップ
金さん盤(フルヴォリューム盤)CD収録曲
- ムーンウォーク
- 旅立ちと少年3(スタジオREC ver.)
- LET IT RIDE
- ムーンウォーク(LIVE ver.@新代田FEVER)
- ムーンウォーク(less vocal)
LIVE TOUR 2012
「新造ライヴレーションズ・ツアー」
2012年11月8日(木)
愛知県 池下UP SET
OPEN 18:30 / START 19:00
2012年11月10日(土)
福岡県 福岡DRUM SON
OPEN 17:30 / START 18:00
2012年11月11日(日)
熊本県 熊本DRUM Be-9 V3
OPEN 17:30 / START 18:00
2012年11月13日(火)
香川県 高松DIME
OPEN 18:30 / START 19:00
2012年11月14日(水)
岡山県 岡山IMAGE
OPEN 18:30 / START 19:00
2012年11月16日(金)
大阪府 心斎橋Music Club JANUS
OPEN 18:15 / START 19:00
2012年11月18日(日)
新潟県 新潟CLUB RIVERST
OPEN 17:30 / START 18:00
2012年11月21日(水)
宮城県 仙台enn 2nd
OPEN 18:30 / START 19:00
2012年11月23日(金・祝)
北海道 Sound Lab mole
OPEN 17:30 / START 18:00
2012年11月25日(日)
岩手県 盛岡club change
OPEN 17:30 / START 18:00
2012年11月28日(水)
東京都 新代田FEVER
OPEN 18:30 / START 19:00
2012年11月29日(木)
東京都 新代田FEVER
OPEN 18:30 / START 19:00
MONOBRIGHT(ものぶらいと)
2006年、桃野陽介(Vo, G)、松下省伍(G)、出口博之(B)、瀧谷翼(Dr)の4人で結成し、2007年7月にシングル「未完成ライオット」でメジャーデビュー。2010年2月に「DO10!!攻約宣言!」と題し、10項目に及ぶライブ&リリースプランを公約として発表。同年11月には新メンバーとしてヒダカトオル(Vo, G, Key / ex. BEAT CRUSADERS)が加入した。2011年5月に、5人体制で初のフルアルバム「ACME」をリリース。2012年10月にはライブレコーディングで制作したニューアルバム「新造ライヴレーションズ」をリリースするが、その直後にヒダカの脱退を発表。同年11月、5人体制で最後の音源となるニューシングル「ムーンウォーク」を発売。