ナタリー PowerPush - monobright

天の邪鬼バンドが放つド直球ポップチューン monobright流ライブアンセム完成

2007年7月にシングル「未完成ライオット」でメジャーシーンに登場して以降、順風満帆にキャリアを重ね今や夏フェスやイベントには欠かせない存在に成長したmonobright。彼らが1月14日に通算5枚目となるシングル「アナタMAGIC」をリリースする。

これまでひと癖もふた癖もあるサウンドで注目を集めてきたmonobrightだが、今回リリースされる新曲は驚くほどストレートなポップソングに仕上がっている。従来のイメージを覆す楽曲にはどんな意図が隠されているのか。フロントマンである桃野陽介(Vo,G)に、「アナタMAGIC」に込めた思いと今後の展望について訊いた。

取材・文/中野明子

とにかく「みんなの歌」を作りたかった

——今回のシングル「アナタMAGIC」は、今までのmonobrightとは随分雰囲気の違う曲ですね。

今までは自分の恋愛とか考えのことばかり歌ってたんですけど、それに違和感を感じて。たくさんの人がライブを観に来てるのに、自分のことしか歌ってないのはどうなんだと。目の前の人に向かって歌うような“みんなの歌”を作りたくなったんです。昔からニルヴァーナとかグリーン・デイ、日本のアーティストだとユニコーンとかブルーハーツみたいなメロディがシンプルな音楽に魅力を感じてて、そういう曲を自分でも作りたくなったんです。

——確かにシンプルでキャッチーですし、歌詞もストレートな言葉が並んでいるのが印象的でした。

1回で覚えられるメロディと歌詞を意識しました。2008年は好きなアーティストのライブをたくさん観に行ったんですけど、彼らには誰もが歌える曲があるんですよね。対バンとかしてても、ほかのバンドが盛り上がってると悔しい。なんで盛り上がるんだろうって観察してたら、やっぱり誰もが歌えるようなものすごくキャッチーな曲を持ってたり。その瞬間に僕らはほかのバンドが普通にできてることができてなかったことに気付いて。ひねったりこねったりした曲ばっかり作って、直球なものをやってなかった。そこで初めてアンセム的なものが欲しくなったんです。

——「アナタMAGIC」を他のメンバーに聴かせたときの反応はどうでしたか?

やっぱり抵抗あったと思いますよ(笑)。できるだけシンプルにして歌が残るものをやりたいって伝えたら「わかった!」と言いつつ、皆アレンジをひねりたがる体質なんで苦労してました。反対されたりはしなかったんですけど戸惑ってたみたい。しかも、シンプルな曲って実際に演奏すると難しくて。誰が聴いても上手い下手がわかってしまうので、すごくシビアなんです。 ライブ中はいろんな汁が出てるんじゃないですかね。イヤな汗、冷や汗、武者震い……でも、上手くいったときはすごく気持ちいい。ひねくれてるだけのmonobrightではない新しい一面が出せたと思ってるし、今までの曲の聴こえ方も変わってくるんじゃないかな。

——monobrightの特徴はそのひねくれ加減だったと思うので、このタイミングでイメージをひっくり返す曲を持ってくるのは戦略的だなと感じたんですが。

全国区なバンドになりたいし、皆に音を聴かせたいんで戦略はつねに思い描いてますね。それを踏まえてユニフォームは白ポロシャツに眼鏡なんですけど(笑)。ずっとキャッチーなものを出したいとは思いつつ音には出てなかったので、今回はそれをやってみた感じです。

monobrightは運に恵まれているバンド

——「アナタMAGIC」はアニメ「銀魂」のオープニングテーマに起用されていますけど、タイアップはいつ決まったんですか?

作った後ですね。話が来たときにちょうどいい曲があるし、せっかくだからやりたいなと。タイミングがいいんですよmonobrightって。自分たちでも運に恵まれてるバンドだと思います。

——まさに全国区への第一歩ですね。

僕の地元北海道は、テレビが音楽情報源のすべてと言っていいくらいの存在なので反応がすごくて。友達にはあえて知らせていなかったんですけど、自然に広がってしまったり。でも皆好意的に受け止めてくれて嬉しかったです。今までの活動が全国的な活動じゃなかったわけではないけど、反響の大きさに改めてテレビの力はすごいなと実感しました。

——今まで以上に注目を集めるようになると昔からのファンの中には寂しく思う人もいるかもしれませんが、その辺はいかがですか?

僕も好きなバンドが注目されたり、どんどん売れていったら寂しいと思うんです。でも、売れないとその人たちは新譜を作れないし……。本音はファンに「ついて来いよ!」って言いたいですけど、僕も音楽思春期を経てますから。これで離れていってしまう人がいたとしても、いつかまた僕らの音楽を聴いたときに魅力を感じてくれればいいなと考えてます。

——大型タイアップがついたキャッチーな曲ということで、「売れ線に走ったか?」といった意地悪な意見も出てきそうですが?

僕は自分たちの曲をたくさんの人に聴いてもらいたいんで、それは言われても仕方がないかなと。でも、信念に基づいてやりたい音楽を作ってるし、それを聴き手には好きなように聴いてほしいんです。例え好きでも嫌いでも僕らのことを知った上で判断してくれてるなら、それは嬉しい反応ですね。

ニューシングル『アナタMAGIC』2009年1月14日発売 / 1020円(税込) / DefSTAR RECORDS / DFCL-1422

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CD収録曲
  1. アナタMAGIC
  2. いとをかし
初回仕様限定
  • 『銀魂』描きおろしMAGICALアナザー・ジャケット
  • 『銀魂』MAGICALキャラクター・ステッカー
monobright(ものぶらいと)

桃野陽介(Vo,G)、松下省伍(G)、出口博之(B)、瀧谷翼(Dr)の4人からなるロックバンド。2004年11月に桃野の弾き語りプロジェクトとしてスタートし、2006年6月に現メンバーが加入。地元・北海道で精力的なライブ活動を行いながら、ファンを増やしていく。2007年1月に東京に拠点を移し、同年7月にシングル「未完成ライオット」でメジャーデビュー。その後も、2ndシングル「頭の中のSOS」、1stアルバム「monobright one」と順調にリリースを重ね、日本のロックシーンを担う新星として注目を集める。全員がメガネをかけ、白いポロシャツにスリムジーンズという格好でライブを行っている。