カナダのスタジオだからこそできた曲

──「Don't Look Back」も斬新ですよね。ダークさのあるお伽話のような世界観が印象的でした。

Maynard　ティム・バートン作品の世界観に近いものになったかなと。歌詞はサウンドの雰囲気と異なるものにしようと思っていたんですけど、結果的にはそのダークな世界観に寄り添うものになりました。

TAX　歌詞については大どんでん返し的な要素が欲しいと思っていて。この曲に登場する“紳士”は、“お嬢さん”のことを支配できていると思っているんだけど、実は自分がコントロールされて虜になってしまう。その裏切られるような展開を表現したかったんです。それにかわいらしさと、おどろおどろしさがある曲はこれまでやったことがないので、チャレンジとして面白いかなって。

DICK　確かに雰囲気的にはやったことのないタイプの楽曲なのかも。でも僕が好きな1970年代の楽曲にはダークでかっこいいがたくさんあるので、わりと自然に作ることができました。

──「Into The Night」もダークというか、メランコリックな印象の楽曲ですね。

Blaise　この曲はカナダでゼロから作りました。最初は向こうで制作するのだから、カナダの1960年代カントリー風なシンプルな構成を想定してたんだけど、どんどん遊び心が加わっていって、ドラムとベースも入れることにしました。結果、カナダのスタジオや空気だからこそ表現できた曲になったと思う。自分にとって特別な1曲になりました。

──そしてラストを飾る「Walk Alone」もダークなテイストの曲ですよね。MONKEY MAJIKのアルバムはいつも最後にポジティブで希望にあふれるメッセージを発信している印象なのに、ここでは不安や葛藤を吐き出して終えている感じがしました。

Maynard　悲劇的な映画のエンディングで流れているような、「どうしようか？」って感じを落とし込もうと思って（笑）。僕が30年くらい前から好きで弾いているギターフレーズがあって。それは1980年代のヘビーメタルバンドのバラード曲で、よく聴いていたものなんですけど。そのフレーズを使った曲を作りたかったんです。当初はもっと音数の多いアレンジだったけど、最終的にはアコースティックとパーカッションのシンプルな構成になりました。あとこの曲を聴いていると、アルバムのジャケット写真が思い浮かぶんですよ。映画のエンドロールであのアートワークが映し出されて、バックでは「Walk Alone」が流れている。まあジャケット写真はアローンではなく、4人で写ってるんだけどね（笑）。それもあってこの曲を最後に収録しようと思ったんです。

バンドが想像する、これからの“view”

──全編新曲でありながら、バンドの20年のこれまでを感じると共に、これからも道を切り開いていこうとする4人の強い歩みも感じるアルバムですね。今後どんな“view”が待っているのかも楽しみです。

TAX　先日、テレビ番組に倖田來未さんが出演されているのを拝見したんですよ。彼女と僕らはほぼ同期なんですけど、ずっと謙虚な姿勢で活動されていて感心しました。僕らも謙虚に、人とのつながりを大切にしながら活動していきたいですね。あと何かに縛られることなく、自分たちらしいジャンルレスな音楽を追求していければと思っています。

──7月には結成20周年記念ライブ「MONKEY MAJIK 20th Anniversary ～花鳥風月～」が開催されます。どんな1日にしたいですか？

DICK　集まってくれるファンとお祭り騒ぎしたいですね。会場の東京ガーデンシアターが5月にオープンする新しい箱ということもあって、具体的に何ができるのかわからないけど、皆さんと一緒に楽しめるステージにしたい。

──もう次回作の構想もあります？

Blaise　まだそこまでは考えられない（笑）。20周年記念ライブがあるし、今年はほかにもいろんなことを計画しているから、まずはそれを成功させてからかな。

Maynard　バンドを結成した頃は、20年も続けられるなんて想像すらしていなかった。次の20年後も何をしているかは想像できないけど、楽しんで音楽を続けられていたらいいですよね。今回で“view”シリーズが完結したから、次は“花鳥風月”シリーズでもやろうか？ あ、宇宙に行くのもアリだね（笑）。

Blaise　「mars view」？（笑）

DICK　なら出資してくれる人を探して、宇宙でレコーディングした最初のミュージシャンを目指そうか（笑）。