ももいろクローバーZ「MONONOFU NIPPON feat. 布袋寅泰」特集|MV撮影密着レポート+個別インタビュー (2/3)

百田夏菜子 インタビュー

──まずは「MONONOFU NIPPON feat. 布袋寅泰」の紹介からお願いします。

全体のテンション感だったり、“攻め方”みたいなものがすごく私たちらしい曲になっているんですけど、実はこういう曲はひさしぶりなんですよ。曲を前山田さんに作っていただき、さらにギターで布袋さんに参加していただいて。「“ザ・ももクロ”が来た!」と思ってもらえるサウンドや歌詞になっています。

百田夏菜子

百田夏菜子

──結成15周年記念ソングとして発表された「いちごいちえ」や「ヒカリミチ」が温かみのある穏やかな楽曲だった分、その反動を感じますよね。

そうですね。かなりキャラクターが強い曲だと思います。バラードチックな曲だった「いちごいちえ」や「ヒカリミチ」とは、音に対する向き合い方が全然違って。レコーディングで前山田さんに「歌い方が優しすぎる! 甘い!」って言われたんですよ。「音を取ろうとするな! 昔は音程を気にする人じゃなかったでしょ!」って(笑)。よくわからずにむしゃらに歌ってた昔の感覚、ガシガシ攻めていくモードを大事にしているんです。「多少音が外れててもそのまま使うから」と言われたのは嫌でしたけど(笑)、初心に帰るような感覚がありましたね。

──MVもその攻めのモードが表した内容になっています。先ほどは迫力満点の殺陣のシーンを撮影していました。

殺陣は舞台(2019年に東京・明治座で上演された「ももクロ一座特別公演」)で少し経験したくらいなので、ほとんどイチから教えていただく感じなんですけど、体を動かすことが好きなので楽しいです。もちろん殺陣は難しいし、最初はけっこう心配だったんですよ。MV撮影って1日がかりで、予定通り進んでも夜遅くに終わるスケジュールだから、殺陣のシーンで苦戦したらどうなっちゃうんだろうって(笑)。でも撮影が順調に進んでよかったです。今回、どんな曲にするのか、作曲を誰にお願いするのか、まったく何も決まってない段階から制作の打ち合わせに参加させてもらって。メンバーとレコード会社の方と話し合いながら、曲が完成するまでの段階を一緒に踏ませてもらってるので、ここまでたどり着いたのが感慨深いですね。作品が形になっていく達成感を1つずつ味わわせてもらってます。


──ところで、7月に音楽ナタリーに掲載した百田さんと松岡茉優さんの対談がとても好評で(参照:ももいろクローバーZ結成15周年特集 百田夏菜子×松岡茉優)。同じ7月に放送されたラジオ番組「東京03の好きにさせるかッ!」に出演したときに語っていたリーダー論をはじめ、このところ百田さんが語る言葉に説得力やすごみみたいなものが増しているように感じます。自分やグループのことを客観的に分析できるようになったなど、何か変化があったんでしょうか?

いや、ないですね(笑)。もともと思っていることを言葉にすること、人に伝えることが得意なほうではないと思いますし。でも、活動するうえで自分の気持ちに素直に向き合ってきたというか、自分が感じるものに素直でいたいと思いながら過ごしてはいます。自分が感じたことだけじゃなく、人からかけてもらった言葉も含め、私の中で大切にしてきたものを誰かに伝える機会をもらったときに、今度はそれが誰かの心に届いて、広がっていったらうれしいなって。

百田夏菜子

百田夏菜子

玉井詩織 インタビュー

──玉井さんからも「MONONOFU NIPPON feat. 布袋寅泰」の注目ポイントを聞かせてください。

前山田さんと打ち合わせをしたとき、K-POPのアイドルが世界的に人気の今、ジャパニーズアイドルをもっと世界中に知ってもらいたいという話が出たんです。もともとは和をモチーフにしたグループとして活動を始めた私たちだからこそ。日本から世界に向けて、というのが曲の1つのテーマになっています。前山田さんが海外受けするようなサウンドにこだわって。さらに日本を代表する世界的ギタリストの布袋さんに参加してもらったことで、力強い味方に加わっていただいた感覚です。実は打ち合わせのときに、英語の曲にしようかというアイデアもあったんですけど、結局は日本らしくいこうという話になったんです。でも、空耳に聞こえる英語のパートがあったら面白いよねという話が出て、「Shivering」が「しおりん」と聞こえたり、メンバーの名前に聞こえる英語の歌詞が盛り込まれました。

──MV衣装もこだわりがすごいですよね。鎧や兜まであって。

曲もMVも打ち合わせの段階からみんなでイメージを膨らませていきました。テーマが決まったらポンポンとアイデアが出てきて、メンバーもスタッフさんも含めていろんな意見を出し合いました。私たちは女性アイドルグループなので、女性の強さも伝えていきたいポイントだし、その要素をMVに落とし込んだら面白いんじゃないかって。ストーリー仕立ての作り込んだMVはひさしぶりなので、撮影していて楽しいですね。

玉井詩織

玉井詩織

──振付もひさしぶりな感じがあるというか、初期から続くももクロらしさが表れてますよね。

今は曲の広がり方にもいろんなパターンがあって、耳で聴いてもらって広がっていくだけじゃなく、SNSとかで視覚的に広がっていくことが多いじゃないですか。だからダンスも合わせて1つの作品だと思っていて。目に留まりやすく、思わず真似して踊ってみたくなるようなキャッチーな振付にしようという話になったんです。それで、前山田さんが書く曲との親和性も高そうだし、前にお仕事でご一緒したパワーパフボーイズさんにお願いしました。有酸素運動的なハードさはあるんですけど、覚えやすい振りになっていると思います。抜刀する動きだったり、ところどころに日本らしさもちりばめられていて。曲のコンセプトに合わせながらも、ももクロならではのコミカルなダンスに仕上がっています。

──「MONONOFU NIPPON feat. 布袋寅泰」は現在開催中のツアー「QUEEN OF STAGE」で初披露されましたが、モノノフの反応はいかがですか?

新曲を披露することを告知していなかったので、初日公演では「何が始まったんだ!?」というリアクションだったんですけど(笑)、この曲はコールが入ることで完成する構成になっていて。ライブでの声出しが解禁されてきた状況を受けて、コールができるパートをたくさん作ってもらったんです。モノノフさんは最初こそ戸惑っていたものの、途中からコールを入れてくれて盛り上がりを感じました。

玉井詩織

玉井詩織

──玉井さんのソロプロジェクト「SHIORI TAMAI 12 Colors」についても聞かせてください。12カ月連続でソロ曲を配信リリースするこの企画ですが、折り返しを過ぎて後半に突入しました。現在の手応えはいかがですか?

月に1回、ファンの方に楽しんでもらえるものを届けられているという実感はあって。ファンクラブサイトに載せていた写真を見て、「これを曲にしたら面白いかも」と思いついたのが始まりなんですけど、“私が歌う”ということにとらわれないというか。これならいろんな曲を歌えるなと思ったんですよ。本当にいろんなバリエーションの曲が増えてきて自分でもびっくりしてますし、モノノフさんにいろんな私の姿を見てもらえたらと思って続けてます。ファンの方はもちろん、いろんなところに私の曲が届いて、ももクロに出会う新たなきっかけになればいいですね。