ももいろクローバーZ「MONONOFU NIPPON feat. 布袋寅泰」特集|MV撮影密着レポート+個別インタビュー

ももいろクローバーZの新曲「MONONOFU NIPPON feat. 布袋寅泰」のミュージックビデオがYouTubeで公開された。

「MONONOFU NIPPON feat. 布袋寅泰」は、「メイド・イン・ジャパンのももクロ流エンターテインメントを世界に!」をテーマに制作された“NIPPON応援ソング”。「行くぜっ!怪盗少女」「ニッポン笑顔百景」などももクロの代表曲を数多く手がけてきた前山田健一(ヒャダイン)が作詞作曲、辻村有記とNaoki Itaiが編曲を担当し、2012年リリースの「サラバ、愛しき悲しみたちよ」以来約11年ぶりに布袋寅泰がギター演奏で参加した。

この曲は現在開催中の結成15周年記念ツアー「QUEEN OF STAGE」で初披露されたのち、8月4日に配信リリースされ、原点回帰とも言える和のテイスト、観客のコールを誘う構成、4人のアグレッシブな歌声がモノノフ(ももクロファンの呼称)の間で話題に。近年は大人びたダンスナンバーや聴き手に優しく寄り添う曲が多かった中、誰もがイメージする“ももクロらしさ“をさらに進化させたような1曲になっている。音楽ナタリーでは「MONONOFU NIPPON feat. 布袋寅泰」の世界観を迫力いっぱいに視覚化したMVの撮影現場に密着。多数の写真を交えたレポートと、撮影の合間に行ったメンバーの個別インタビューをお届けする。

取材・文・撮影 / 近藤隼人

華麗な殺陣に大規模なダンスシーン!
ももクロが世界挑戦の狼煙を上げる最新MV密着レポート

武士という言葉本来の意味と、ももクロファンの呼称とのダブルミーニングである「MONONOFU」をはじめ、戦国時代をイメージさせるフレーズがちりばめられた「MONONOFU NIPPON feat. 布袋寅泰」。モノノフだけでなく、日本全体、いや世界中を奮い立たせんとするほどの勢いを持つこの曲をダイナミックに映像化すべく、MVでは荒廃した“NIPPON”に2度目の戦国時代が訪れているという壮大なスケールのストーリーが用意された。監督を務めたのは、さまざまなアーティストの作品に携わり、数えきれないほどのMVを手がけてきた映像作家のスミスだ。

撮影が行われたのは、まばゆい日差しが容赦なく降り注ぐ真夏日。朝早い時間、歴史を感じさせる荘厳なお寺を舞台に撮影がスタートした。4人は各メンバーカラーに染め上げられた女武士の衣装に身を包み、ソロシーンから撮影に臨んでいく。師匠から“伝説の武具”を継承する場面を真剣な表情で演じた玉井詩織は、昼食にソーキそばが用意されていると耳にしてにっこり。百田夏菜子が殺陣の先生から指導を受けつつ、廊下で次々に敵を切り伏せていくシーンに挑戦すると、その迫真の表情にモニタで映像をチェックしていたスタッフから感嘆の声が上がった。続いてのお寺の前でのダンスシーンは強烈な日差しにさらされながらの撮影となったが、さすがは15年のキャリアを持つももクロ。次々にOKテイクを出していった。

百田以外も殺陣シーンの撮影に挑み、用意された模造刀の重さに驚きつつも、曲中に登場する「成敗」「お覚悟」というセリフに合わせながら華麗な立ち回りと刀さばきを披露していく。ただ刀を構えるだけで絵になるほど、4人とも武士の格好が似合う。佐々木彩夏が「闘うとか正直めんどくない? でもなめられんのは もっとめんどいわ」という歌詞に呼応して蹴りを入れるシーンも、まるで映画のワンシーンのような迫力だ。炎天下の中で動き回るヘビーな撮影にもかかわらず、彼女たちは顔色を変えることなく積極的に殺陣の習得に臨み、撮影の合間にはかき氷を口にしながら相変わらずの無邪気な表情を覗かせていた。また、現場には楽曲の振付を担当したパワーパフボーイズも参加。MVだけでなく、パワーパフボーイズを迎えてのTikTok撮影も行ったももクロは、彼らと和気あいあいと談笑する。高城れには共演した子役とも積極的に交流し、持ち前の愛嬌を現場に振りまいた。

夕方頃までかけてお寺でのロケが終わると、MVのクライマックスとなる渋谷スクランブル交差点を舞台にしたシーンへ。撮影で使われたのは実際の渋谷ではなく、スクランブル交差点を忠実に再現した野外セットだ。交差点に転がる岩や破壊された看板、信号機、燃えさかる松明、戦国時代を想起させる砦がディストピア的な独特の世界観を作り上げる。そして渋谷そっくりのセットに感動の声を上げたももクロは、ダンサーをバックに交差点で踊る大規模なダンスシーンの撮影へ。朝早くからの長時間ロケであることに加え、交差点のシーンからは鎧を身に着けてカメラの前に立っているメンバーには相当な疲労が溜まっているはずだが、スミス監督から「がんばってー!」と声をかけられると、4人は「フー!」と元気いっぱいに返答。振りのキレを一切落とすことなく、“大合戦”のダンスシーンを見事に踊りきってみせた。

最後は鎧のほか、目元以外が完全に隠れる兜、4人それぞれ異なる“伝説の武具”も身に着けてフル装備に。この兜は楽曲のジャケットアートワークにも使用されているが、大袈裟に感じるほど徹底した衣装、世界観を作るこだわりは初期から変わらないももクロらしさの1つだろう。日本を象徴する交差点から世界に向けて挑戦の狼煙を上げるという、“攻め”の気持ちを壮大に表現した今回のMV。一度観た人も、細部のこだわりに注目しながらじっくり鑑賞してみよう。