妄想話でキュンキュン
高城 2人でごはんに行くと、私がメンタル面の話とかを相談することもあるじゃないですか。いつもすごくありがたいお言葉をくれて、助けられてます。
吉田 偉そうにアドバイスしちゃって(笑)。私はレスリングしかやってこなかったのに。でも、困ってる人がいたらアドバイスをしたくなるんです。それがどう響くか、本人がそのアドバイスを実行するかどうかはもちろんその人次第なんですけど、相談されて「どうなんだろうね。わかんない」って返すより、自分がレスリングで経験したことを話したほうがいいかなって。私の話によって、れにちゃんががんばろうと思ってくれればいいなという思いでただしゃべってるだけですね。そして、実際にれにちゃんが「元気になりました。がんばろうと思います」と言ってくれると、相談に乗れてよかったなと思います。
高城 助かってます……!
吉田 いやいや、人は支え合って生きてますから。
高城 最初に一緒にごはんに行ったときも「いつも緊張しちゃうんですけど、どうしたらいいですかね……?」って相談しましたよね。
吉田 客観的にれにちゃんを見ていると、まさか緊張してるとは思わないですよ。何万人の前で歌って踊ってしゃべってきた人が。でもさっき言ってたように、自分のフィールドだとステージに上がってしまえば緊張しなくなるんだよね。私も戦う前は緊張してたけど、マットに上がったら持ってるものを出し切るだけという感覚だった。たぶん、そこはアイドルの方も一緒だと思うんですよね。ファンの方に喜んでもらうために歌と踊りの練習をしっかりしていらっしゃるわけだから、そこはもう自信を持ってやるしかないんじゃないかなと。こんなふうに、いつも大したアドバイスはしてないんですけど(笑)。
高城 いやいや、すごく心強いです。自信を持てばいいと頭ではわかっていても、やっぱり緊張の気持ちが大きいと、当たり前に理解できるはずのことが理解できなくなっちゃうんですよ。そんな私に対して、沙保里さんはわかりやすくアドバイスしてくださるし、優しく言葉を投げかけてくれて。背中をグッと押してくれるので、本当に助かってます。あと、沙保里さんとはキュンキュンする話で盛り上がりますよね。お互いが妄想が好きで。
吉田 あははは! そうだね(笑)。妄想はタダだから。
高城 カラオケのほかに、そこも距離が縮まった1つのポイントだと思います(笑)。妄想でキュンキュンすることを周りの人と共有するって普通ないじゃないですか。だけど、沙保里さんとはそういう話ができるんですよね。
吉田 私が恋愛の話ばっかりするから。私からは恋愛の相談もしたりして。
高城 本当に楽しいんです。「こういう男の人いいよね!」って2人で盛り上がってキュンキュンするっていう(笑)。
吉田 決して現実に起こらない、妄想で終わる話なのがまた楽しい。共感し合える部分が多いんだと思います。
緊張は永遠の課題
──プライベートで遊びに行くことはあっても、2人そろって取材を受けるのは珍しいことだと思うので、ぜひこの機会にお互いに質問をぶつけ合ってもらえたら。
高城 さっきの話の続きになっちゃうんですけど、やっぱり私にとっては永遠の課題なんですよね。緊張が(笑)。質問というか、そのことについて改めてご相談したいです。
吉田 さっき写真を撮るときも「緊張しますね……!」って言ってて。でも私は全然緊張しないし、「えー、楽しい!」と思ってました(笑)。れにちゃんはなんで緊張するんだろう……?
高城 スポーツの世界でも、沼に入っちゃうとなかなか抜け出せないみたいな話があるじゃないですか。野球で言うと、投手の方がイップスに陥ったり……。もしかして自分もそうなのかなと思ってるんですよ。そう感じるくらい、歳を重ねれば重ねるほど緊張する場面があって。逆に歳を重ねたからこそ肝が据わってくる部分もあるんですけど、仕事面だと、責任感を持たなきゃいけないという気持ちが年々強くなってくるんですよね。
吉田 慣れないことに挑戦するときは確かに緊張するよね。あと、お仕事する相手がはじめましての人だと、どういう感じの人かわからないから少し緊張するかも。今日は仲良しのれにちゃんが相手だから、私は楽しい気持ちしかないけど、れにちゃんとしては、ひさしぶりに私と会うから撮影のときに緊張したのかな? 照れ屋さんでシャイなのかもね。
高城 人見知りではありますね(笑)。
吉田 でもステージと一緒で、こうして話し始めるともう大丈夫でしょ?
高城 大丈夫です!
吉田 あと、「こうしたい!」「こうしないといけない!」という気持ちが固まってると緊張するんじゃないかな。責任感が強すぎる性格なのかも。私は責任感にとらわれたくないんですよ。楽しいという気持ちが最初にある。緊張してたら楽しい気持ちでいられないし、責任感とはまた違った、「ここを盛り上げるのは私だ!」という意識があるんだと思います。もともとそういう性格で、学校でも学級委員を決めるときに「はいはいはい! やります!」って手を挙げるタイプでした。困ってる人がいたら自分から声をかけるし、人としゃべるのも好き。れにちゃんみたいにシャイな人ほど私は話しかけてあげたい。人見知りの人って話しかけられたらしゃべれるけど、自分からは話せない人が多いんだと思います。そういうタイプの人は緊張しがちなんですよね。
高城 まさにです……!
吉田 そういう人、周りに多いんですよ。私がバーっとしゃべって、自分がどういう人なのか先にわかってもらえると、相手も話しやすくなる。「気さくで話しやすいですね」って言ってもらえると私はうれしいし、周りも楽しくなってくれたらそれが一番いいなって。
2人で一緒にやりたいこと
高城 沙保里さんって本当にいつもこんな感じで、“陰”の要素がまったくないんですよ。ただ一緒にいるだけで心強いし、なんでもできちゃうじゃないですか。今までやったことがないもので、今後挑戦してみたいお仕事ってあったりします?
吉田 えー、なんだろう! 最近「NHKのど自慢」にも出させてもらって。ちょっとずつ歌のお仕事も増えてるんですよ。上手下手関係なく、歌は本当に好きだからありがたいです。ほかにやってみたいことはなんだろうな……「これ!」って自分から思い浮かぶものが別になくて。オファーいただいたにお仕事に「面白そう!」と思って挑戦していくタイプなんです。
高城 実は私、沙保里さんと一緒にやりたいことがあって……。
吉田 何!? どんどん言ってください。
高城 さっき話した通り、お互いに妄想恋愛が好きじゃないですか(笑)。だから、それを映像化するというか、ラブコメみたいなドラマを一緒にやりたいんです。
吉田 ドラマね! でも私、大根で、セリフが棒読みになっちゃうのよ。
高城 沙保里さんがお芝居してる姿ってあまり見たことないじゃないですか。どんな感じになるのか見てみたいんです。
吉田 今まで婦警役とかはやったことあるよ。ほとんどセリフがなくて、犯人をねじ伏せたりするだけの役(笑)。セリフが長いと覚えられないから、セリフが少ない役だけ受けさせていただいてます。でも追い込まれて、「よし、やろう!」と決意したら長いセリフの役でもきると思うし、れにちゃんが一緒だったらやってみたい。
高城 妄想でキュンキュンしてるときの沙保里さんが本当にかわいいんですよ! その姿を多くの人に見てもらいたい。
吉田 恥ずかしいなあ。妄想するときも、自分で妄想しておいて恥ずかしくなるけど(笑)。
高城 あははは。ゴリゴリのラブストーリーだとお互い照れちゃうと思うんですよ。だから、面白要素を入れたラブコメのドラマで沙保里さんと共演してみたいです。
吉田 面白そう。私、自分からそういうアイデアが出てこないんですよ。「こういうのやりたい!」っていうものがなくて。受けさせていただいた仕事には全力で臨みますけど。
──最近は、吉田さんが出演する対戦格闘ゲーム「ストリートファイター6」のプロモーション動画が大きな話題になっていますね。
吉田 あれも楽しんでやらせていただいて。「こういうお仕事もやるんですね」「なんでもやるところが好きです」という声をいただくんですけど、私はそういう反応に逆にびっくりしました。なんでもやらせていただきますし、私の中では別に普通のことなんです。
高城 そうなんですね。沙保里さんは、私に何か質問ありますか?
吉田 えーと、こういうときに質問を考えるのが苦手で……(笑)。どうしようかな。れにちゃんは、歌はどれくらい練習してるの? 毎日ってわけではないでしょ?
高城 はい。ライブが近くなったりすると、ボイトレする感じです。
吉田 そっか。それと同時にダンスのレッスンもするんだよね。さらに歌とダンス以外の仕事もあって。
高城 はい。沙保里さんは、現役のときは毎日練習してたんですか?
吉田 そうですね。週1休みでした。
高城 その週1の休みは、どういうふうに過ごしてたんですか?
吉田 それこそカラオケに行ったり、買い物に行ったり、自分のやりたいことをやって過ごしてました。休みの前の夜は、居酒屋に行ってちょっと飲んだりして。
高城 居酒屋に行くんですね。沙保里さんが居酒屋にいる姿が想像つかない。
吉田 全然行くよ。どこにでも行く。
高城 最初にカラオケに行ったときもびっくりしました。それまでイベントや番組の共演者の方とカラオケに行ったことがなかったから、どういう感じで待ち合わせして、どういうカラオケボックスに行けばいいのかもわからなくて。そしたら、普通のチェーン店のカラオケに行くことになったから驚きました。
吉田 逆に私は、れにちゃんをそういうところに連れて行っていいのかなって思ってた(笑)。
高城 全然大丈夫なんですけど、待ち合わせしたお店に行ったら、普通にそのカラオケボックスの受付の前に沙保里さんが立っていてびっくりしました(笑)。
吉田 なんなら、その店舗のアプリもスマホに入ってます(笑)。だから普通なんですよ。みんなと同じ人間です。
高城 なんだか安心しますね。
吉田 私はすごいって思われたり、上に見られたりするのが苦手で。みんなそれぞれの分野ですごいことをしてるわけじゃないですか。例えば、パソコンを使って仕事してる人は私から見たらすごいなって思いますし。
高城 確かにそうですよね。沙保里さんとは、言ってもまだ何回かしか一緒に遊びに行ったり、ごはんに行ったりしたことがないので、これからもっとたくさん会いたいです。会ったときに「あー、沙保里!」って言えるくらいの仲になりたいです。やっぱり、まだ人見知りしちゃうんですよ。
吉田 遠慮なく素を出して! 私は「あー、れに!」って言えるよ。私から距離を詰めていこうか?(笑)
高城 あはははは。腕を組むくらい近付いたのも、今日の撮影が初めてで。もっと会う回数を増やして、もっと仲よくなりたいです。
吉田 もっと会いたくてもなかなかスケジュールが合わないんだよね。前に旅行に行きたいって話してたよね。温泉とか。
高城 行きたい! 金沢に行って温泉に入って、お寿司を食べたい。
吉田 絶対行こう。
──最後に、グループとして結成15周年を迎え、30歳という節目の年齢になる高城さんから今後の展望を聞かせてください。
高城 7月に始まる15周年記念ツアーでは今まで以上に成長した姿をグループとして見せたいですし、感謝の気持ちをいろんな方にいろんな形で届けられたらいいなと思っています。個人としても、沙保里さんの“なんでもやります根性”を胸に秘めて、いろんなお仕事に挑戦して、場数を踏んでいくことで緊張しいなところを克服したいです。何事も楽しめるようになったらいいなと思います。そして沙保里さんとのお芝居を実現させたいです。それが30代の目標です(笑)。
吉田 ぜひ! また緊張の話に戻っちゃうんだけど、その性格は昔からずっとなの?
高城 ほぼずっとですね。私、ももクロで活動する前からダンスを習ってたんですけど、それまでは今とは逆であまり緊張したことがなくて。でも、ダンスの大会のときに、舞台に出る寸前に頭が真っ白になって踊りをど忘れしちゃったんです。たぶんそれがトラウマになってるんだと思います。「また頭が真っ白になっちゃったらどうしよう」という不安がずっと自分の中にあるのと、ももクロの結成当時よりも、失敗したらどうしようと考える心の余裕ができたことも大きいですね。昔はとにかくがむしゃらだったから、逆にいろいろ考える余裕がなくて、その分今よりは緊張してなかったと思います。今はいろんな方向から客観視できるようになったことで、最悪な事態を想像してしまう。なんだか変な心の余裕ができてしまったんです。なので、今後も沙保里さんには悩み相談をさせていただけたらと思います。それと同時に、一緒に旅行に行く仲になれたらなって。
吉田 そういう関係を長く築いていきたいね。私はれにちゃんのことを常に応援しているし、れにちゃんの幸せを願っています。人生一度きりですから、楽しんだもん勝ちですよ。
高城 はい! 楽しみたいと思います。今日は沙保里さんからパワーをもらいました。
吉田 よかった! これからもどんどんパワーを吸い取ってください。
ツアー情報
ももいろクローバーZ 結成15周年ツアー
- 2023年7月16日(日)兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
- 2023年7月17日(月・祝)愛知県 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
- 2023年8月5日(土)東京都 武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
- 2023年8月6日(日)東京都 武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
- 2023年9月9日(土)福岡県 北九州ソレイユホール
- 2023年9月10日(日)広島県 ふくやま芸術文化ホール・リーデンローズ
- 2023年9月14日(木)大阪府 大阪国際会議場(グランキューブ大阪)メインホール
- 2023年9月15日(金)大阪府 大阪国際会議場(グランキューブ大阪)メインホール
- 2023年9月18日(月・祝)宮城県 名取市文化会館 大ホール
- 2023年9月23日(土・祝)新潟県 新潟テルサ
- 2023年10月14日(土)東京都 武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
- 2023年10月15日(日)東京都 武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
プロフィール
高城れに(タカギレニ)
1993年6月21日生まれ、神奈川県出身。2008年結成のアイドルグループ・ももいろクローバーZのオリジナルメンバーで、グループ内最年長。担当カラーは紫、キャッチフレーズは「ももクロの鋼少女」。2015年にももクロメンバー初となるソロコンサートを行った。以降1年に1回のペースでソロコンサートを実施しているほか、2017年からはお笑い芸人・永野とのお笑いツーマンライブ「永野と高城。」を不定期で開催。2021年8月には初のソロアルバム「れにちゃんWORLD」をリリースした。ももクロとしては4月に結成15周年記念ソング「いちごいちえ」を配信リリースし、5月に東京・国立代々木競技場第一体育館で結成15周年ライブ「代々木無限大記念日 ももいろクローバーZ 15th Anniversary」を開催。7月から15周年記念ツアーを行う。
高城れに ももいろクローバーZ (@takagireni_official) | Instagram
ももいろクローバーZ / Momoiro Clover Z (@mcz517_official) | Twitter
吉田沙保里(ヨシダサオリ)
1982年10月5日生まれ、三重県津市出身。女子レスリング世界大会16連覇、個人戦206連勝という記録を持ち、「霊長類最強女子」の異名で知られている。2012年には13大会連続世界一を記録し、国民栄誉賞を受賞。2004年、2008年、2012年には紫綬褒章を受賞した。2019年に現役引退したあとはCMやテレビ番組に多数出演し、お茶の間の人気を集めている。