モーモールルギャバン|常に今が最高の3人が送る自信作

10代、20代を通過して「ガラスの三十代」へ

──全11曲入りのアルバムとなっていますが、今作のために全曲書き下ろしたのですか?

ゲイリー このアルバムのために制作したデモが15曲くらいあって、これまでのストックも含めると全部で20曲くらいの候補がありました。その中から完成した楽曲を収録したという感じです。最初の段階で、収録曲を決め込んでスタジオに入ってしまうと、納得いく形で表現できなくなる恐れがあったので、そこは選択の余地があるように、多めに候補曲は用意しました。ってなんだかプロみたいなこと言っちゃってますね(笑)。

──今作は心の叫びと言うか、言葉がよりストレートに耳に入ってくるという印象です。

ゲイリー 歌詞が押し付けがましくなるのがあんまり好きじゃないんで、ひたすら好き勝手に言っているだけなんですよ。でも“なぜかカッコいい”と思える作品を追求しています。例えるならば、Queenのフレディ・マーキュリーとか、中島みゆきさんみたいな偉大な先輩たちの背中を見て、自分なりに表現してみようと。ただ中島さんの楽曲と比べると、自分はしょうもないこと歌っているなって絶望していますけど(笑)。

──「ガラスの三十代」はいろんな経験を重ねたからこそ表現できる言葉を、サラッとつづっている気がしましたが。

ゲイリー 2017年現在、30代であるからこその言葉を表現できたのかなって思います。10代や20代の頃はがむしゃらに走り続けることでしか消化できなかった心のモヤモヤをうまく表現できたというか。つまり若い頃は「パンティ!!」と叫ぶことだけでしか吐き出せなかった思いを、ちゃんと言葉にして紡ぐことができた。それも歴史の教科書に載せられるくらいの言葉をね。本当に、僕は教科書に載るような偉人になりたいんですよ! だからこの曲を含め、アルバムが売れてくれないと困るんです(笑)。

──(笑)。30代だからこそできる表現方法は確かにあるように感じましたよ。

ユコ 20代の頃は表現方法が乏しかったから、気持ちだけで突っ走っているところがありましたけど、30代になってからは表現の幅も増えて俯瞰的に音楽を捉えられるようになってきました。背伸びせず、今の自分ができることをしっかりやろうという余裕が生まれましたね。きっとそれは20代の頃に「背伸びしてでもなんとかやろう」と傷だらけになりながら挑戦してきた結果、たどり着けたものだと思います。

T-マルガリータ(B)

マルガリータ 活動休止明けの2015年頃からなんですけど、音楽への取り組み方が変わってきていますね。それまではわけもわからず流れのままに演奏していた感じでしたが、活動を再開してから目の前にあった霧が薄くなっていき、最近では視界がクリアになってきた感じがします。どうしてそうなったのか、その理由はわからないんですが、より楽しんでバンド活動できるようになっていますね。

──「GIKKURI」のイントロで響かせる超絶ヘビーなベースサウンドに、キャリアを蓄積させたゆえの表現力の高さを感じました。

マルガリータ ははは(笑)。これはデモの段階からあって、実はあんまり得意なフレーズではないんですよ。だからすごく練習しました。

──またユコさんがリードボーカルを務める「ミナロマンス」は、透明感のあるボーカルで、エグい表現もある歌詞の世界観を中和させているような気がしました。

ユコ そうですね、歌詞が濃い内容なのでバランスを気にしたというか。あんまり声に圧をかけずにフラットに歌うように心がけて、自然に気持ちよく歌うということを大切にしました。

モーモールルギャバンは常に今が最高

──アルバムの中で、もっともモーモールルギャバンの今や新しさを表現できた曲はどの曲ですか?

ゲイリー それは「OTOMI」でしょうね。フェスのメインステージで、何万人もの観客が、この曲のサビで大合唱したら楽しいなって。ライブで披露したら、面白い空間ができそうな1曲になったと思います。

ユコ 地鳴りのようなベースから始まるイントロもカッコいいし。

マルガリータ 今までのモーモールルギャバンにないタイプの楽曲に仕上がったと思います。

──7月にはこのアルバムを携えてのツアーが開催されますが、どんな内容になりそうですか?

ゲイリー これまで名曲を作りすぎてしまい、どれを演奏するかの取捨選択が非常に難しくて。我々のライブに来る、おそらく世界でもっとも耳の肥えたリスナーたちが聴きたい曲もいっぱいあると思うんです。でも体力、そして会場の時間の限界もあって、すべてに応えることができない。そこは申し訳ないと思いつつ、練りに練った最高のセットリストで“愛しかない時間”を過ごしていただきたいと思っております!

マルガリータ まだ具体的なことは決まっていませんが、衣装が変わるはずなので、そこにも注目してほしいですね。最近はライブでのドラムとの絡みがいい方向にいっている気がするので、これまで以上に踊れる内容になっていると思いますよ。

ゲイリー 今の言葉を通訳すると「俺が観客を踊らせるぞ! 覚悟しとけよ!!」ってことですね。

マルガリータ はい(笑)。今まで以上に気持ちいいライブになると思います。

──また「ヤンキーとKISS」を完成させたことで、モーモールルギャバンのこれからがますます楽しみになってきました。

ユコ 「バンドはどこに向かっているの?」ってよく聞かれるんですけど、私たちはどこにも向かっていなくて。そのときどきを楽しんでいる意識が強いんです。つまり、常にその場で見た景色が次の作品へのガソリンになっているから、私たちも今後どうなるかなんてわからないですね。

ゲイリー ファンたちはわかっているとは思うけど、モーモールルギャバンは常に今が最高で、カッコいいんです! だから「つべこべ言わずにライブに来やがれ! CD買いやがれ! バカヤロー!!」という感じなんですよ。さっきも言ったけど「昔のほうがよかった」は、今後一切禁句でお願いします!(笑)

モーモールルギャバン
モーモールルギャバン
「ヤンキーとKISS」
2017年5月31日発売 / KING RECORDS
モーモールルギャバン「ヤンキーとKISS」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
3456円 / KICS-93492

Amazon.co.jp

モーモールルギャバン「ヤンキーとKISS」通常盤

通常盤 [CD]
3024円 / KICS-3492

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CD収録曲
  1. AKABANEの屍
  2. ガラスの三十代
  3. 亜熱帯心中
  4. GIKKURI
  5. ミナロマンス
  6. ロックミュージック
  7. 異邦人
  8. 贖罪
  9. 夢ならば覚めてくれ
  10. OTOMI
  11. 彷徨う馬鹿者の全て
初回限定盤DVD収録内容
  • 「さらば人類」「Dr.PANTY」「ガラスの三十代」 Music Video
  • 特典映像「ガラスの三十代」Music Video Making

ツアー情報

モーモールルギャバン NEWアルバム「ヤンキーとKISS」発売ツアー
「KISSだけじゃ済まないリリースパーティー2017」
  • 2017年7月14日(金)愛知県 池下CLUB UPSET
    出演者
    モーモールルギャバン / KING BROTHERS
  • 2017年7月16日(日)東京都 WWW X
    出演者
    モーモールルギャバン / 打首獄門同好会
  • 2017年7月23日(日)京都府 磔磔(※ワンマンライブ)
    出演者
    モーモールルギャバン
モーモールルギャバン
モーモールルギャバン
ゲイリー・ビッチェ(Dr, Vo)、ユコ=カティ(Key, Vo)、T-マルガリータ(B)からなる3ピースバンド。2005年4月に5人編成で活動を開始し、紆余曲折を経て現在の体制となる。関西地区を中心に活動を展開し、インパクトたっぷりのサウンドと破壊力抜群のライブパフォーマンスでリスナーを獲得。2014年5月より制作に集中するためライブ活動を休止するが、2015年3月からのツアー「蘇る無茶と野獣ツアー2015」でライブ活動を再開させた。2015年6月にレーベル移籍後第1弾作品にして3年3カ月ぶりとなるフルアルバム「シャンゼリゼ」を、2016年6月にミニアルバム「PIRATES of Dr. PANTY」を発売。2017年3月にクラウドファンディングでミュージックビデオ制作プロジェクトを展開し、支援金をもとに新曲「ガラスの三十代」のMVを制作した。5月に新作フルアルバム「ヤンキーとKISS」を発表し、7月にはライブツアー「KISSだけじゃ済まないリリースパーティー2017」を行う。