音楽ナタリー Power Push - 水樹奈々
15周年を飾る15のアンセム
さまざまな世代のディスコ感を取り入れた「SUPER☆MAN」
──「Never Let Go」で強いメッセージを放ったあとの3曲目「SUPER☆MAN」は……。
このギャップでドヒャーッ!と驚いてほしくて(笑)。でも「Never Let Go」とは対極のようでいて、伝えたい思いは変わらないんです。誰もがスーパーマンになれる要素を持っているから、自分を信じて一歩前に進もう!という力強い歌で、「☆」の部分にはそれぞれみんなの思う名前を入れていただけたらなって。MVでは女子なんですけど「SUPER NANA MAN」になっていまして(笑)、さらにさまざまな職業に七変化をしております。スーパーマンになる前の普段着スタイルを含めると、全部で9つの変身をしています。
──文字通りの“ANTHEMS”というか、どれがアルバムを代表する1曲になってもおかしくないアルバムだと思うんですけど、その中でこの「SUPER☆MAN」がリード曲になったのは何が決め手だったのでしょうか?
この一度聴いたら頭から離れないメロディですね。デモを聴いた日からサビが頭の中をループしていて、MVはこの曲で撮りたい!と早い段階で決まっていました。シングル曲のMVはシリアスな表情で歌い上げるものが多いので、アルバムだからこそできる遊び心というか、振り切った内容で笑顔の映像を撮りたいなって。あえてダサカッコいい、レトロなテイストの映像になっております。
──曲自体もちょっとレトロな要素を感じるディスコテイストですよね。
曲を書いてくださったKon-Kさんは、実はまだ22歳なんですよ。デモを聴いたときは「ディスコ世代のお兄さんが書いた曲かな?」と思っていたんですけど、私よりはるかに若い作家さんで(笑)。編曲の陶山(隼)さんは私と同世代で、やっぱりリアルタイムではディスコを体験していなくて、三嶋プロデューサーはザ・バブル世代(笑)。それぞれの世代からいろんなエッセンスを抽出した、新しくて面白いディスコソングになったと思います。
──たびたび登場する「Su×4 Superman!」の歌い回しのかわいらしさもこの曲のポイントかなと。
そうそう、そうなんです! ライブでは「CHU-LU CHU-LU CHU-LU PA-YA-PA」(人気曲「DISCOTHEQUE」の一節)のように、皆さんにもぜひ一緒に合唱していただきたいです!
「女性って怖いねー」
──「Angel Blossom」は今年の4月にリリースされたシングル曲で、テレビアニメ「魔法少女リリカルなのはViVid」のオープニングテーマでした。これはソフトロック好きな水樹さんの音楽趣味も垣間見える、疾走感のあるポップソングですね。
はい。ちょっとトリッキーなBメロから突き抜けるサビに行く感じはまさにソフトロックのイメージで。
──すごく印象的だったのが、間奏でストリングスに絡み付くピアノの音色です。アルバム全体を通してピアノもまた重要な1要素なのかなと感じたのですが。
そうなんです。今年の1月、アコースティックライブ(参照:水樹奈々、初のアコースティック公演は少女ナナの成長描く歌劇仕立て)の冒頭でピアノ1本をバックに「PHANTOM MINDS」を歌ったことが、私の中に深く残っていたんだと思うんです。「Angel Blossom」を作ったのもアコースティックライブの直後で、間奏の部分は最初ストリングスを中心としたバンドサウンドで構成していたんですけど、ピアノとストリングスの掛け合いにしたらどうですかってアイデアを出して。どちらも主役で、バンドバトルのように掛け合う形に変えてもらったんです。すごくこだわって何度もリテイクを重ねたところなので、そこをじっくり聴いていただけたのはうれしいです。
──次の「BRACELET」はシングルカットされてもおかしくない、キャッチーな曲ですよね。少し歌謡曲の要素も入っていて。
これも私の大好きな歌謡ロックテイストです。実はこの曲、前作の「SUPERNAL LIBERTY」を作っている頃すでに出会っていたんですよ。すごく気に入っていたのでベストな状態で出したい!と思っていて、今回ようやく形になりました。デモを聴いた瞬間に、この曲は恋愛ソングにしたいなと思って……愛情なのか情なのかわからない感情に依存している、ずるずると付き合っている男性と離れたいけど離れられない女性の気持ちを歌いたいと藤林(聖子)さんに歌詞をお願いしました。そんな私の思いから、藤林さんはブレスレットというキーワードを導き出してくださって。ブレスレット=手錠。この手錠は自分で自分にかけてしまっているもの、という深みのある歌詞を書いてくださいました。
──歌謡曲が持つ情念の世界ですね。歌謡ロックは水樹さんの得意路線だと思うのですが、これもやはり一段と、大人としての深みが加えられているように思います。
大人になった今だからこそ、こういうテーマをきちんと噛み砕いて歌えるようになったと思います。レコーディング中は「女性って怖いねー」って男性スタッフに言われてました(笑)。私と藤林さんは「素直なだけなのにねー」って(笑)。
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- ニューアルバム「SMASHING ANTHEMS」 / 2015年11月11日発売 / KING RECORDS
- 初回限定盤 [CD+Blu-ray] 3888円 / KICS-93297
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3888円 / KICS-93298
- 通常盤 [CD] 3024円 / KICS-3297
CD収録曲
- Glorious Break(テレビアニメ「戦姫絶唱シンフォギアGX」挿入歌)
[作詞:しほり / 作曲:上松範康(Elements Garden)/ 編曲:藤間仁(Elements Garden)]
- Never Let Go
[作詞:松井五郎 / 作・編曲:山﨑佳祐]
- SUPER☆MAN(TBS「東京EXTRA」2015年11月~2016年1月度テーマソング)
[作詞・作曲:Kon-K / 編曲:陶山隼]
- Angel Blossom(テレビアニメ「魔法少女リリカルなのはViVid」オープニングテーマ)
[作詞:水樹奈々 / 作曲:光増ハジメ / 編曲:EFFY]
- BRACELET
[作詞:藤林聖子 / 作曲:伊藤寛之 / 編曲:南田健吾]
- レイジーシンドローム
[作詞・作曲:ヨシダタクミ(phatmans after school)/ 編曲:藤間仁(Elements Garden)]
- コイウタ。(TOKYO FM「水樹奈々のMの世界」エンディングテーマ)
[作詞:しほり / 作曲:中野ゆう / 編曲:中西亮輔]
- 禁断のレジスタンス -Extended Mix-
(テレビアニメ「クロスアンジュ 天使と竜の輪舞(ロンド)」オープニングテーマ
[作詞:水樹奈々 / 作曲:加藤裕介 / 編曲:加藤裕介]
- The NEW STAR
[作詞:板橋カナオ / 作・編曲:木村篤史]
- Clutch!!
[作詞:平朋崇 / 作・編曲:光増ハジメ]
- 熱情のマリア
[作詞:水樹奈々 / 作・編曲:加藤裕介]
- エゴアイディール
[作詞・作曲:水樹奈々 / 編曲:藤間仁(Elements Garden)]
- エデン(「animelo mix」テレビCMソング)
[作詞:水樹奈々 / 作曲:藤森真一(藍坊主)/ 編曲:藤間仁(Elements Garden)]
- アンビバレンス
[作詞:中村僚 / 作曲:中村僚、中村友 / 編曲:中村友]
- Exterminate(テレビアニメ「戦姫絶唱シンフォギアGX」オープニングテーマ)
[作詞:水樹奈々 / 作曲:上松範康(Elements Garden)/ 編曲:藤間仁(Elements Garden)]
初回限定盤 Blu-ray / DVD収録内容
- 未公開ライブ映像集
LIVE ATTRACTION 2002 at 東京国際フォーラム ホールC
「アノネ~まみむめ☆もがちょ~」
「LOVE&HISTORY」LIVE SENSATION 2003 at 渋谷公会堂
「テルミドール」
「PROTECTION」 - オーディオコメンタリー
- 「SMASHING ANTHEMS」PHOTO SHOOTING
水樹奈々(ミズキナナ)
愛媛県出身の声優アーティスト。1997年に声優としてデビューし、「魔法少女リリカルなのは」「ハートキャッチプリキュア!」「NARUTO -ナルト-」といったアニメ作品で人気を集める。2000年にはシングル「想い」で歌手デビュー。2009年6月にリリースされたアルバム「ULTIMATE DIAMOND」で、声優アーティストとして初のオリコン週間ランキング1位を獲得した。同年12月には「NHK紅白歌合戦」に初出場。2011年12月には声優アーティスト初の東京ドームコンサートを2日間にわたって開催し、大成功に収めた。2013年には台湾にて初の海外公演を行い、2014年末には6年連続となる「NHK紅白歌合戦」への出場を果たした。2015年11月には通算11枚目となるオリジナルアルバム「SMASHING ANTHEMS」をリリース。