音楽ナタリー Power Push - 水樹奈々

15周年を飾る15のアンセム

水樹奈々が通算11枚目となるオリジナルアルバム「SMASHING ANTHEMS」を完成させた。2000年に音楽活動をスタートさせた彼女にとって、今年はデビュー15周年の節目の年。3枚のシングルを発表し、埼玉・さいたまスーパーアリーナを舞台にした大規模なアコースティックライブ「NANA MIZUKI LIVE THEATER 2015 -ACOUSTIC-」と全14公演のコンサートツアー「NANA MIZUKI LIVE ADVENTURE 2015」を完遂した水樹の2015年は、15曲を収めた濃密なアルバムで締めくくられる。インタビューではアルバム各曲に込められた思いをたっぷりと語ってもらった。

取材・文 / 臼杵成晃

 
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11月11日に11枚目のアルバムを

──今作は11枚目のオリジナルアルバムですが、発売日が11月11日という、常々数字の並びにこだわる水樹さんらしい発売日で。

三嶋プロデューサー(三嶋章夫。水樹をデビュー時から支えるプロデューサー)が「11月11日、11枚目のアルバムはここで出さずにいつ出すんだ!」って(笑)。ちょうど「禁断のレジスタンス」(2014年10月発売の30thシングル)を作っている頃だったんですけど、そのあとすでに3枚のシングル制作が決定していたので「そのスケジュールだと、2015年はレコーディングしっぱなしになるね……」とドキドキしながらも、「2015年11月11日に11枚目のアルバム」だと1が7つで「奈々」だから、もうこれは運命だ!と2人で盛り上がってしまいました(笑)。

──さすが。しかしよかったですね、ちゃんと予定通りに完成して。

水樹奈々

そうなんですよ!! 途中、発売延期も考えなくてはいけないスケジュールになってきたんですけど、絶対に遅れるわけにはいかない!と、ラストスパートは今まで以上にギリギリで猛ダッシュしました。

──タイトルの「SMASHING ANTHEMS」はどういう意味合いで?

タイトルは直球で行こうと最初から決めてたんです。含みを持たせず、ストレートに伝わるタイトルを……とアルバム制作中にずっと考えていて。あと今回のアルバムは10枚の作品を経ての新しいスタートになるので、頭文字は「S」にしたいと思ってたんです。1stアルバムは「supersonic girl」(2001年12月発売)、10枚目でも「SUPERNAL LIBERTY」(2014年4月発売。参照:水樹奈々「SUPERNAL LIBERTY」インタビュー)と「S」をあえて使ったので、次の始まりも「S」を使おうと。

──「S」の付く言葉から、ストレートに伝わるキーワードを導き出して。

はい。今作でも自分にとって素晴らしい出会いがたくさんあったので、「素晴らしい」という意味の「SMASHING」、そしてアンセムというものは1曲じゃなく複数あってもいいよねという思いから「ANTHEMS」に。まさに自分にとってのアンセムと呼べる素晴らしい曲がたくさんできた1枚になったので、このタイトルにしました。

「奈々ちゃん」から「奈々さん」へ

──ではそのたくさんの“ANTHEMS”について詳しく聞かせてください。1曲目はテレビアニメ「戦姫絶唱シンフォギアGX」の挿入歌だった「Glorious Break」ですが、オープニングにふさわしい壮大な幕開けですね。

アルバムの全曲がそろった段階で「1曲目はこれしかない!」と即決でした。2015年の水樹を象徴するアルバムにしたいという思いがある中で、今年は「シンフォギア」に大きく熱を注いだ1年でしたし、ツアーでは装者(「戦姫絶唱シンフォギア」シリーズにおける、歌で変身し戦うキャラクターの総称)のように歌いながら全国各地を冒険してきましたので、この曲はアルバムの幕開けにぴったりだなって。

──「シンフォギア」関連の楽曲はデジタルサウンドにシンフォニックな要素が融合した複雑な楽曲が多いですけど、この曲はとびきり複雑で歌うのも大変そうですよね。

トリプルSクラスの難易度を誇る曲になっております(笑)。実はこの曲、オープニングテーマの「Exterminate」と対になっていて、この2曲で交響曲第1楽章と第2楽章のようなイメージで作っていたんです。先に完成していた「Exterminate」がアンサーソングになるように、「Glorious Break」は問いかける形で歌詞を作っていったので、まるで虫食い算のようで(笑)。しほりさんはかなり苦戦したそうですけど、アニメの脚本と私が書いた「Exterminate」の歌詞を読み込んでくださって、一番いい形で呼応する歌詞を書いてくださいました。「Exterminate」だけじゃなく、これまでの「シンフォギア」シリーズが1つにつながるような仕掛けがたくさん入っているので、ぜひ歌詞に注目してほしいです。

──2曲目の「Never Let Go」はロックテイストだけど、水樹さんの今までのロック曲とは少しムードが違いますね。

デモを聴いた瞬間に「こういう曲が歌いたかった!」と本能的にチョイスした、心を鷲掴みにされた1曲です。これまでもロックテイストの曲はいくつも歌わせていただきましたけど、今まではハイテンポで情熱的に歌い上げるものが多くて。少しテンポを落として、ゆっくりと歩みを進めるような……一歩一歩地固めをしながら階段を進んでいく、そんなイメージがこのメロディから浮かんだんです。

──じっくり踏みしめるように歌っている分、メッセージが強く飛び込んできます。

今やらせていただいているラジオ番組には、若い世代の皆さんからお悩み相談のメールをたくさんいただくんですよ。将来に不安を抱えていたり、夢を叶えるためにどうすればいいのかわからず立ち止まってしまっている方へ、強いメッセージが届けたくて。背中を押すような、「行けー!」ってお尻を叩くような、心を奮い立たせるような応援ソングにしたかったんです。今までとは違う切り口の応援ソングをと松井五郎さんにお願いして、「周りに踊らされることなく、自分の意志をしっかり示すことが大切」「自分の道は自分しか決められない」という思いを言葉にしていただきました。

──これはアルバム全体に言えることですが、このアルバムには水樹さんの、さまざまな経験を重ねたからこそのメッセージを随所に感じました。若いリスナーに対して人生の先輩として語りかける大人感というか。そういう意識はありましたか?

「奈々ちゃん」よりも「奈々さん」と呼ばれることが増えてきて、ラジオのメールだけじゃなく、現場でも自分が先輩という立場でいろんなアドバイスをする機会が本当に多くなってきたんです。それが自然と、言葉をつむいだり曲を選んだりするときに出てきているのかなと思います。自分が感じたことや経験から一番いい答えを届けられたらと思いますし……ときに遠回りも必要ですけど、涙は流してほしくないから。もちろん人生においては悔しいことや悲しいこともすべて必要なことですけど、知っておくのと知らずに進むのとではだいぶ違うと思うんですよ。だから少しでも力になれたらいいなって。

ニューアルバム「SMASHING ANTHEMS」 / 2015年11月11日発売 / KING RECORDS
初回限定盤 [CD+Blu-ray] 3888円 / KICS-93297
初回限定盤 [CD+DVD] 3888円 / KICS-93298
通常盤 [CD] 3024円 / KICS-3297
CD収録曲
  1. Glorious Break(テレビアニメ「戦姫絶唱シンフォギアGX」挿入歌)

    [作詞:しほり / 作曲:上松範康(Elements Garden)/ 編曲:藤間仁(Elements Garden)]

  2. Never Let Go

    [作詞:松井五郎 / 作・編曲:山﨑佳祐]

  3. SUPER☆MAN(TBS「東京EXTRA」2015年11月~2016年1月度テーマソング)

    [作詞・作曲:Kon-K / 編曲:陶山隼]

  4. Angel Blossom(テレビアニメ「魔法少女リリカルなのはViVid」オープニングテーマ)

    [作詞:水樹奈々 / 作曲:光増ハジメ / 編曲:EFFY]

  5. BRACELET

    [作詞:藤林聖子 / 作曲:伊藤寛之 / 編曲:南田健吾]

  6. レイジーシンドローム

    [作詞・作曲:ヨシダタクミ(phatmans after school)/ 編曲:藤間仁(Elements Garden)]

  7. コイウタ。(TOKYO FM「水樹奈々のMの世界」エンディングテーマ)

    [作詞:しほり / 作曲:中野ゆう / 編曲:中西亮輔]

  8. 禁断のレジスタンス -Extended Mix-
    (テレビアニメ「クロスアンジュ 天使と竜の輪舞(ロンド)」オープニングテーマ

    [作詞:水樹奈々 / 作曲:加藤裕介 / 編曲:加藤裕介]

  9. The NEW STAR

    [作詞:板橋カナオ / 作・編曲:木村篤史]

  10. Clutch!!

    [作詞:平朋崇 / 作・編曲:光増ハジメ]

  11. 熱情のマリア

    [作詞:水樹奈々 / 作・編曲:加藤裕介]

  12. エゴアイディール

    [作詞・作曲:水樹奈々 / 編曲:藤間仁(Elements Garden)]

  13. エデン(「animelo mix」テレビCMソング)

    [作詞:水樹奈々 / 作曲:藤森真一(藍坊主)/ 編曲:藤間仁(Elements Garden)]

  14. アンビバレンス

    [作詞:中村僚 / 作曲:中村僚、中村友 / 編曲:中村友]

  15. Exterminate(テレビアニメ「戦姫絶唱シンフォギアGX」オープニングテーマ)

    [作詞:水樹奈々 / 作曲:上松範康(Elements Garden)/ 編曲:藤間仁(Elements Garden)]

初回限定盤 Blu-ray / DVD収録内容
  • 未公開ライブ映像集

    LIVE ATTRACTION 2002 at 東京国際フォーラム ホールC
    「アノネ~まみむめ☆もがちょ~」
    「LOVE&HISTORY」

    LIVE SENSATION 2003 at 渋谷公会堂
    「テルミドール」
    「PROTECTION」

  • オーディオコメンタリー
  • 「SMASHING ANTHEMS」PHOTO SHOOTING
水樹奈々(ミズキナナ)

愛媛県出身の声優アーティスト。1997年に声優としてデビューし、「魔法少女リリカルなのは」「ハートキャッチプリキュア!」「NARUTO -ナルト-」といったアニメ作品で人気を集める。2000年にはシングル「想い」で歌手デビュー。2009年6月にリリースされたアルバム「ULTIMATE DIAMOND」で、声優アーティストとして初のオリコン週間ランキング1位を獲得した。同年12月には「NHK紅白歌合戦」に初出場。2011年12月には声優アーティスト初の東京ドームコンサートを2日間にわたって開催し、大成功に収めた。2013年には台湾にて初の海外公演を行い、2014年末には6年連続となる「NHK紅白歌合戦」への出場を果たした。2015年11月には通算11枚目となるオリジナルアルバム「SMASHING ANTHEMS」をリリース。