MIYAVI × SKY-HI|2人のサムライが語り合う、海外での戦い方

MIYAVIとのコラボは渡りに客船が来た感じ

──冒頭のお話の通り、SKY-HIは今まさに海外ツアーへと打って出たばかりです。海外での活動の先駆者でもあるMIYAVIとのコラボレーションがこうしたタイミングの直前となったことは外野からも見て非常に興味深いのですが。

SKY-HI まさにそうでしたね。何か渡りに客船が来た感じと言うか(笑)。自分の中ではコラボレーションにいくつか形があって、すでに相手側が用意した歌詞に自分の言葉を憑依させていくパターンや、俺だったらこういう言葉を書くかな?と自分のままで自分のことを歌うパターンがあるんですけど、今回ははちょうどその中間という感じでしたね。自分の引き出しの中に「MIYAVIさんとやるならこれを持ち込みたい」というプランがかなり明確にあった。そこにプラスして、MIYAVIさんの内面と自分の内面とが一番フィールする部分を見つけながら引き出しを開けていったので。自分でも「お、この引き出しを開けさせられた!」という驚きや楽しさがありましたね。

SKY-HI

──SKY-HIにとって海外ツアーはかねてからの念願だったのですか?

SKY-HI 念願と言えば念願でしたけど、今回はとにかく何もわからないから、まずはとりあえず行ってみたという感じでしたね。でもやっぱり行ったら楽しかったし、わかったこともいっぱいあった。例えば上海は満足にお客さんが入ったとは言い難い状況でしたし、まだまだ課題は山積みです。ただ、それでもどの都市のお客さんにも「また観たい」と思ってもらえるステージは残せたという実感があります。日本語がわからなくても、やたらとファストラップしたり、アカペラでバイブスの高いラップをすると沸いてくれて、ラップの持つ楽器的な側面も感じました。これまで、楽器の人は言葉がない分だけ、よりフィジカルで伝えられてうらやましいなあと思う瞬間もあったんですけど、ラップでも意外と行けるのかもしれないという手応えを感じて。

MIYAVI 言葉で超え難い壁がある一方で、ギターだと超えられる壁も確かにある。どちらも、それぞれの武器でどこまで追求していけるかだよね。

SKY-HI そうですね。次の作戦も考えているし、もっと爪痕を残したい。今はすごくポジティブな状態ですね。

海外と日本の方法論はそこまで大きな違いがない

──まさにMIYAVIはこれまで世界ツアーを行って、何百回ものトライ&エラーを繰り返してきたわけですが。

MIYAVI はい、マイルも存分に貯まりました(笑)。正直、うれしいですよ。特にSKYくんと大知くんに関しては、初めて会ったときからどんどん変わっていくのがわかるから。俺自身もまだ成長しているし、こっからまたステップアップして、まだまだ知らない世界をみんなに見せられるという自信がある。そうしたワクワクやドキドキを、俺は2人からも強く感じるんですよ。ちょうどこの取材の前に、それこそ大先輩の山本耀司(ヨウジヤマモトのファッションデザイナー)さんと会ってきたんだけど、彼は俺が生まれた年に初めてパリコレをやって、業界紙でボロクソに書かれて、それでも進出していった。

MIYAVI

SKY-HI すごいですね。

MIYAVI 前の世代が紡いできたものに対して、自分の世代がやらなければならないことを自覚して、それを次世代につないでいく。それこそが“未来”だと俺は思う。だからSKYくんみたいな日本人が増えることは本当に喜ばしいし、もっとそうなっていくべきだと思う。

SKY-HI ありがとうございます。俺はまだ一歩目ですけど、がんばりたいとは思います。海外でのステージでは、最初から気持ち9割でなんとか乗り切ろうと思っていたんだけど、日本での方法論とそこまで大きな違いがなかったことが発見でした。盛り上げたいところでは盛り上がってもらえたと言うか。

MIYAVI 作る曲はたぶんすぐに変わると思うよ。 あまり偉そうなことは言えないけど、SKYくんは敏感だから、創作や自分の心が震える基準が確実に変わっていくはず。語弊を恐れず言うと、日本のマーケットで刺さる作品だけがすべてじゃなくなるから。

SKY-HI あ、それはなんとなくわかります。

──SKY-HIの最新曲「Marble」はメロディと言い歌い出しの英語のリリックと言い、率直に海外でも伝わりやすいのかもしれないなと感じましたが。

左からMIYAVI、SKY-HI。

SKY-HI 確かに海外はなんとなく視野に入れていましたね。冒頭の英語のリリックは人種についてのメッセージだし。あとは「フックというよりサビっぽくしよう」とか。この手の話をするとチャンス・ザ・ラッパーやドニー・トランペットを引き合いに出しがちですけど、「Marble」では彼らのように少ない音数の中でマッチするような日本語のラップにもトライしています。

──MIYAVIの曲にも英語と日本語のミックスで歌う曲があります。「Gemstone」には日本語と英語の融解によって生まれるポップスの気持ちよさがあって、それは近年のMIYAVIの作風の1つとも言えますね。

MIYAVI 時間も道のりもかかったけど、ようやく理想形が見えてきたという手応えがあります。海外で刺さる曲を作るということは、言葉も曲調も日本で通じない可能性を持つ楽曲になる。でもそのミッションをクリアすると、極論を言えば日本のシーンを変えるという地点まで行くと信じています。もちろん、失敗もする。俺も失敗し続けてきたから。でも、俺はそれが間違いだとは決して思っていない。その道のりがあるからこそ、そのうえで日本で応援してくれる人たちも一緒にどう引っ張っていけるかも考えるようになるし。容易ではないけど、たくさん感じることがあると思うよ。あとは継続性だと思います。今はアジアを回るのも欧米に行くのも沖縄に行くのと大して変わらない。じゃあ、どうミニマムで回れるように準備しておくべきか、とか考えるようになりましたね。

MIYAVI「SAMURAI SESSIONS vol.2」
2017年11月8日発売 / Virgin Music
MIYAVI「SAMURAI SESSIONS vol.2」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
5400円 / TYCT-69120

Amazon.co.jp

MIYAVI「SAMURAI SESSIONS vol.2」通常盤

通常盤 [CD]
3240円 / TYCT-60108

Amazon.co.jp

iTunes

CD収録曲
  1. Dancing With My Fingers / MIYAVI vs 三浦大知
  2. Gemstone / MIYAVI vs SKY-HI
  3. Fight Club / MIYAVI vs EXILE SHOKICHI
  4. Banzai Song / MIYAVI vs VERBAL(m-flo、PKCZ)
  5. Bumps In The Night / MIYAVI vs Masato(coldrain)
  6. No Thanks Ya / MIYAVI vs ちゃんみな
  7. Flashback / MIYAVI vs KenKen(LIFE IS GROOVE、RIZE、Dragon Ash)
  8. All My Life / MIYAVI vs HYDE
  9. Forget You / MIYAVI vs シェネル
  10. Slap It / MIYAVI vs 雅-MIYAVI-
初回限定盤DVD収録内容
  • 「Dancing With My Fingers」MIYAVI vs 三浦大知 Music Video
  • 「MIYAVI 15th Anniversary Live"NEO TOKYO 15"」ライブ映像5曲
  • 「MIYAVI 15th Anniversary Live"NEO TOKYO 15"」ドキュメント映像
SAMURAI SESSIONS vol.2 発売記念ツアー"Day 2 Begins"
  • 2017年11月30日(木)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2017年12月2日(土)大阪府 なんばHatch
  • 2017年12月7日(木)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
MIYAVI(ミヤヴィ)
MIYAVI
1981年大阪府出身のソロアーティスト / ギタリスト。2002年10月にアルバム「雅楽 -gagaku」を発表し、ソロ活動を開始する。2010年10月リリースのアルバム「WHAT'S MY NAME?」では、ギターとドラムのみの編成でオリジナルのサウンドを確立。2012年11月にさまざまなジャンルの“サムライアーティスト”とのコラボレーションアルバム「SAMURAI SESSIONS vol.1」を発表し話題を呼んだ。ほかにも布袋寅泰、野宮真貴、Good Charlotteらの作品への参加など精力的な活動を続け、2013年6月には自身の名を冠した海外デビューアルバム「MIYAVI」をリリース。さらに2014年にはSMAPのシングル「Top Of The World」を作曲し話題を集めた。また同年の12月には俳優として出演したアンジェリーナ・ジョリー監督によるハリウッド映画「UNBROKEN」が全米で公開された。2016年8月にはニューアルバム「Fire Bird」を発表。2017年4月にデビュー15周年を飾るベストアルバム「ALL TIME BEST "DAY 2"」をリリースし、収録曲「Live to Die Another Day -存在証明-」を木村拓哉主演、三池崇史監督の映画「無限の住人」主題歌として提供した。11月にはニューアルバム「SAMURAI SESSIONS vol.2」を発表し、東名阪ツアーを開催する。
SKY-HI(スカイハイ)
SKY-HI
ラッパー、ソングライター、歌手など幅広く活動を行うアーティスト。2005年にAAAのメンバーとしてデビューし、同時期からSKY-HIとして都内クラブで活動をスタートさせる。さまざまなラッパーとのコラボレーション企画「FLOATIN' LAB」を2011年に始動し、翌2012年に同企画のコンピレーションアルバム「SKY-HI presents FLOATIN' LAB」を発売。2014年3月には1stアルバム「TRICKSTER」をリリースした。2016年に初のホールツアー「SKY-HI HALL TOUR 2016 ~Ms. Libertyを探せ~」を行い成功に収める。2017年1月に3rdアルバム「OLIVE」をリリースし、5月には東京・日本武道館で単独公演を開催した。10月に最新シングル「Marble」を配信限定で発表。現在は海外7公演を含むツアー「SKY-HI Round A Ground 2017」を開催している。
SKY-HI Round A Ground 2017
  • 2017年10月11日(水)北海道 帯広MEGA STONE
  • 2017年10月12日(木)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2017年10月20日(金)台湾
  • 2017年10月22日(日)香港
  • 2017年10月25日(水)千葉県 KASHIWA PALOOZA
  • 2017年10月27日(金)神奈川県 Yokohama Bay Hall
  • 2017年10月28日(土)滋賀県 滋賀U★STONE
  • 2017年11月1日(水)山口県 周南RISING HALL
  • 2017年11月7日(火)群馬県 高崎clubFLEEZ
  • 2017年11月8日(水)埼玉県 西川口Hearts
  • 2017年11月12日(日)アメリカ ロサンゼルス
  • 2017年11月15日(水)アメリカ ニューヨーク
  • 2017年11月18日(土)フランス パリ
  • 2017年11月19日(日)イギリス ロンドン
  • 2017年11月22日(水)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
  • 2017年11月24日(金)富山県 MAIRO
  • 2017年11月25日(土)福井県 福井まちなか文化施設 響のホール
  • 2017年11月27日(月)香川県 高松festhalle
  • 2017年11月29日(水)長崎県 DRUM Be-7
  • 2017年11月30日(木)大分県 DRUM Be-0
  • 2017年12月2日(土)山形県 山形ミュージック昭和Session
  • 2017年12月9日(土)岐阜県 岐阜club-G
  • 2017年12月11日(月)東京都 チームスマイル・豊洲PIT
  • 2017年12月12日(火)東京都 チームスマイル・豊洲PIT