ナタリー PowerPush - 雅-MIYAVI-×BOBO×笑い飯

異種格闘技座談会

お笑いも音楽もディテールが大事

雅-MIYAVI- あの、めっちゃ素人な質問していいですか? 漫才って、最後にちょっとしたネタを入れるじゃないですか。「おあとがよろしいようで」じゃないけど……。

西田 “もうええわ”的なことですよね。

哲夫 落語にも多いですよね、そういうのは。“感心系”というか「お、うまいこと言うたな」っていう感じで終わるっていう。帳尻合わせというか。

雅-MIYAVI-

雅-MIYAVI- そうそう。あれって、そんなに面白くないことが多いじゃないですか。一番面白い部分はもっと前にあって、なぜか最後はどうでもいい感じで終わるっていう。あれはなんでなんですか?

哲夫 僕もね、子供のときに同じこと思ってたんですよ。「なんで最後はこんなにおもろないんやろう? せっかくええところまで来てるんやから、もっとジャンプせえや!」って(笑)。僕らはもっとトバすというか、あえて「ぜんぜんうまいこと言えてへんやないか」みたいなことで終わったりしますけどね。

雅-MIYAVI- そうですよね。それが新しいなと思った。

──子供のときから漫才を分析しながら観てたんですね。

哲夫 そうなんですよね。ただ、あまりにも好きすぎるから、なかなか人に言えなかったんです。音楽もお笑いも仏教も、誰にも言えない趣味だったというか。「おまえ、そんなに知ってるんか?」って思われるのもイヤだったし、僕も「こんなん言うたら、生意気って思われる」と思ってたんで。

雅-MIYAVI- 気ぃ遣いですね。

哲夫 そう、だから白髪だらけなんです(笑)。音楽にしてもね、「この曲のこの部分を気に入ってるのは俺だけかもな」って思って恥ずかしくなったり。

雅-MIYAVI- でも、すごいこだわりを感じますよね。お笑いも音楽もディテールが大事だし、どれだけ突き詰められるかってことじゃないですか。

「今までと一緒」みたいなのはイヤ

──笑い飯も雅-MIYAVI-さんも、常に新しいことにトライしてますからね。笑い飯もデビュー当時、“新しいスタイルの漫才”って言われることが多かったですよね。

左から西田幸治、BOBO

哲夫 前はそういうふうに言ってもらってましたね。

西田 ボケとツッコミがきっちり分かれてない、っていうことなんですけどね。でも、そういう漫才は昔からあったと思うんですよ。オール阪神・巨人さんもそんな感じでやってらっしゃったし。僕らもそれをずっと見てきたわけで、そんなに新しいことでもないと思うんですけどねえ。

雅-MIYAVI- 俺らも似たようなところがありますね。バンドってだいたい4人とか5人なんですけど、俺らは2人じゃないですか。まあ、ソロアーティストだからホントは1人なんだけど。

BOBO 別に俺らはコンビじゃないからね(笑)。

雅-MIYAVI- ただ、普通とは違う手法はたくさんやってきたんです。ギターをベースアンプにつないで、歌を歌って、踊って、MCで笑かして(笑)。僕らはいいと思ったことを自然にやってるだけなんだけど、世間にはそういう雛形やフォーマットがないから、初めて観た人は「なんだこれは?」って驚くんですよね。

BOBO うん。

哲夫

雅-MIYAVI- 例えばロスでストリートパフォーマンスをやるときとか、誰も見たことがないようなことをやらないと聴いてもらえないんだよね。俺はメイクしてチョンマゲみたいな髪型してたし、BOBOくんは短パンでしょ? 「なんだ? ジャパニーズゲイか?」みたいに言われたり、ナメた感じで扱われることもあったけど、そこでバーン!とやれば、一気に200人、300人くらい集まってくる。逆にショッパイことやったら見向きもされないけどね。だから、とにかくイノベイティブなことをやらないと。笑い飯の2人は意識してないかもしれないけど、たぶん同じなんじゃないかなって。

哲夫 ええ感じに受け取ってもらって、ありがとうございます(笑)。でも、確かに「今までと一緒」みたいなのはイヤやなっていうのはずっとあって。

雅-MIYAVI- そうでしょ? お笑いのことはわからないけど、例えばダウンタウンさんがいて……。

哲夫 そう、みんな「ダウンタウンさんはすごい」って言うんですよね。もちろんすごいんですけど、「絶対に越されへん」みたいなことを言うのはおかしいんじゃないかって。ダウンタウンに(笑いを)教えてもろうたんやから、そこから上にいこうと思うのが当然じゃないですか。

西田 でも、同じことをやろうとする人が多いんですよね。

左から哲夫、西田幸治

BOBO それは音楽界も同じですよ。みんな、先輩大好きですから。

西田哲夫 はははははは!(笑)

雅-MIYAVI- 最初から「先輩は越えません」っていうオーラの人もいるしね。

哲夫 そういうのって、逆に「勉強してません」って言ってるようなもんですよね。「もっと面白いことが浮かびました」っていうほうがちゃんと勉強してることになると思うし、余計にリスペクトしてる発言やと思うんですけど。

雅-MIYAVI- ダウンタウンさんも、昔の人たちを越えてきたわけだしね。

雅-MIYAVI- ニューシングル「Ahead Of The Light」 / 2013年2月20日発売 / EMI Music Japan
「Ahead Of The Light」
初回限定盤 [CD+DVD] / 2100円 / TOCT-40465
通常盤 [CD+DVD] / 120円 / TOCT-40466
CD収録曲
  1. Ahead Of The Light
  2. Ahead Of The Light(Instrumental)
初回限定盤 DVD収録内容
  1. GANRYU
  2. STRONG
  3. DAY 1
  4. SILENT ANGER
  5. PLEASURE!(w/H ZETT M)
  6. HA NA BI(w/JIN OKI)
  7. 祈りを(w/SEIJI KAMEDA & MIU SAKAMOTO)
通常盤 DVD収録内容
  • Ahead Of The Light(Music Video)
雅-MIYAVI- (みやう゛ぃ)

1981年大阪府出身のソロアーティスト / ギタリスト。エレクトリックギターをピックを使わずにすべて指で弾くという、独自のスラップ奏法でギタリストとして世界中から注目を集めている。これまでに北米、南米、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアなど約30カ国で200公演以上のライブを行い、3度のワールドツアーを成功させている。2010年10月リリースの最新アルバム「WHAT'S MY NAME?」では、ギターとドラムのみの編成でロック、ファンク、ヒップホップ、ダンスなどジャンルを超越したオリジナルなサウンドを確立。2012年11月にさまざまなジャンルの“サムライアーティスト”とのコラボレーションアルバム「SAMURAI SESSIONS vol.1」を発表した。アーティストやクリエイターからも高い評価を受けており、UNIQLO、東芝、日産自動車、ロッテ、大塚製薬のCMへの楽曲提供や、布袋寅泰、野宮真貴、GOOD CHARLOTTEらの作品への参加など、精力的な活動を続けている。

BOBO (ぼぼ)

1974年生まれのドラマー。1997年に54-71に加入し、同バンドで活躍。現在は雅-MIYAVI-、くるり、フジファブリックらのサポートを務める。コンパクトなドラムセットと、競泳用水着とTシャツという出で立ちでパフォーマンスを行っている。

笑い飯 (わらいめし)

西田幸治と哲夫の2人からなる漫才コンビ。2000年に結成され、ボケとツッコミが入れ替わる独自のスタイルの漫才で注目を集める。2010年に「M-1グランプリ」でグランプリを獲り、一般層にもその名を広めた。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。