ナタリー PowerPush - MinxZone

結成13年目遅咲き3人組 バンドストーリーと1stシングル

言葉が通じなくても思いは通じる

──2008年にはそんな路上ライブをきっかけに、大きな出来事もあったようですね。

yukari デビッド・ジョーンズっていうオーストラリアのデパートのCMに私たちの曲を使ってもらえたんですよ。きっかけは、そのCMを作ってる監督さんがたまたま路上ライブを観てくれたみたいで、楽器の片付けをしてるときにふらふらっと寄ってきたんですよね。

ayuha 「さっき聴いた曲がすごく良かった」って英語で言われて。

インタビュー写真

waio 正直、最初は変なのに絡まれたなあ、困ったなあと思ったんですよ(笑)。でもあとでメールをもらったら実はすごい方で、そのとき作ってたCMでうちらの曲を使いたいと。こちらとしても、ぜひ使ってくださいっていうことで。

──すごい出会いでしたね。反響はどうだったんですか?

waio オーストラリアでCMが流れたら問い合わせがたくさん来たみたいなんですよ。向こうにいる日本人の方や現地の方から。その後、国営ラジオに電話で出演してほしいっていう話を2件ほどいただいたので、じゃあもう現地に行こうっていうことになって、向こうでも路上ライブをやったんです。その後、海外経験があるアーティストっていうことで、カナダやスウェーデンでライブをやらせてもらったりもして。

yukari そんな海外でのライブなんてね、絶対お客さんゼロやわって思ってたんです。だって誰もうちらのこと知るわけないやんって。でもホールに1000人くらい集まってくれて。

ayuha Tシャツに“MinxZone”って書いてくれてたりして、私たちが出ていったら「Fu———!」みたいな(笑)。

yukari 思わず私も「Fu————!」って言っちゃったもんね(笑)。

waio YouTubeで事前に曲を聴いてくれてたみたいで、みんな一緒に日本語で歌ってくれてましたし。

──インターネットの普及によって、音楽に国境がなくなっていることを身をもって実感されたわけですね。

waio ほんとにそうですね。今でも新しい曲をYouTubeにアップすると海外の人からのコメントが多かったりして。そういうつながりができたので、海外公演はほんとに良い経験でしたね。僕らは最近、Twitterで歌詞を募集して曲を作ったり、Ustreamを使ってスタジオライブを配信したりしてるんですけど、結成当時からしたら考えられないことですよね。だって当時はホームページすらなかったですから(笑)。

ayuha チラシ配ったりDM送ったりしてたもんな(笑)。

──アハハハ。あと感じるのは、良いメロディっていうのは言葉が通じなくても響くものなんだっていうことで。海外で大きな反響を得たという事実が、それを証明してますよね。

waio 「言葉は全然わからないけど、すごくポジティブな気持ちをもらったわ」って外国人のおばさんが言ってましたからね。

yukari 思いは通じるんだなってものすごく感じましたね。

「ミンクスは詞がいいんです」

──とは言え、MinxZoneは「ミンクスは詞がいいんですツアー2010」というタイトルのツアーを行っているくらい、歌詞へのこだわりも強いわけで。

yukari 自分たちで何言っちゃってんのっていうところもありますけど(笑)、そこは譲りたくないところではあるんですよ。私たちの言葉のどれかひとつが、明日もがんばろうっていう気持ちにつながったらいいなって思うんです。ライブに来てくれた人が何かひとつでも言葉を持って帰ってくれたらうれしいなって思うし。自分たちで「詞がいいんです」って言うことでハードルはめっちゃ上がったんですけど、その分、自分たちも今まで以上に言葉を大切にして歌うようにもなったんですよね。

インタビュー写真

waio 僕たちの場合、自分たちで言っちゃうことが大事だなってすごく思うんですよ。結構すぐ自分に甘えちゃうタイプだから。

──言葉にすればあとに引けなくなって責任が生まれますからね。

yukari それによって自分たちの動き方も変わってきますし。

ayuha ちゃんと目標が定まって、そこに全員で向かえるっていう。

waio 実際、「詞がいいんですツアー」の前までは、“MinxZoneとして何を見せるか”を自分たちでもそこまで明確に決められてなかったような気がするもんね。

yukari でも、そこでプレッシャーを自分たちに与えたことで、歌はもちろん、ギターもドラムも言葉をより伝えるための表現方法についてすごく考えるようになって。不安もあったけど「詞がいいんです」っていう名前でツアーをやったのは結果としてすごく良かったなって思います。

1stシングル「そりゃそりゃそうじゃん~新世代のマーチ~/花歌」2012年4月18日発売 1050円(税込)avex trax AVCD-48332

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CD収録曲
  1. そりゃそりゃそうじゃん~新世代のマーチ~(NHK Eテレ アニメ「はなかっぱ」オープニングテーマ)
  2. 花歌 (プライベートブランド「styleone」CMソング)
  3. 紙ピアノ 2012
  4. そりゃそりゃそうじゃん~新世代のマーチ~ Instrumental
  5. 花歌 Instrumental
MinxZone(みんくすぞーん)

1999年11月にyukari(Vo)、waio(G)、ayuha(Dr)の3人で大阪にて結成。2002年に上京し、都内で路上ライブを始める。2008年2月には、新宿の路上ライブでの出会いがきっかけでオーストラリアの大手デパート「デビッド・ジョーンズ」のCMソングに「ビニール傘それぞれの雨のち晴れ」が起用され話題に。その後海外でのライブイベント出演や路上ライブ活動、国内でのリリース活動を重ね、2011年4月にミニアルバム「紙ピアノ」でメジャーデビュー。以降も自分たちの原点である路上ライブは継続して行っている。2012年4月、メジャー1stシングル「そりゃそりゃそうじゃん~新世代のマーチ~/花歌」をリリースした。

なお、yukariは本名「十川ゆかり」名義で書籍「この世で一番大切な日」を、2011年4月に「紙ピアノ」と同時発売。この本は誕生日にまつわる31のエピソードを集めたエピソードブックで、現在5万部を越えるヒットとなっている。