ナタリー PowerPush - 三森すずこ
私とみんなの期待する“三森すずこ”
声優・三森すずこの1stアルバム「好きっ」がリリースされた。
2010年の声優デビュー以来、アニメ「探偵オペラ ミルキィホームズ」シリーズのシャーロック・シェリンフォード役や「ラブライブ!」の園田海未役を好演し、さらにはそれらの作品のキャラクターソングでスマッシュヒットを飛ばし続けてきた三森。そんな彼女の初めてのソロアルバムには畑亜貴、しほり、矢野博康(ex. Cymbals)、前澤寛之、渡辺翔、小松一也などアニソンシーン内外の名うてのクリエイターたちがこぞって参加。どこまでもブライトで、どこまでもポジティブな14曲を提供している。
声優として、ソロボーカリストとして順風満帆ともいえる活動を続けてきた三森すずこという人物はいかにしてできあがったのか。アルバムの聴きどころとともに三森に聞いた。
取材・文 / 成松哲 撮影 / 小坂茂雄
バレリーナに憧れて
──まず「好きっ」のトラックリストを見てビックリしたんですよ。「グローリー!」「夢見る!信じる!未来叶えて!」「みんなでイエー☆オーッ!!」……。「!」マークが多い!って(笑)。
ふふふふふ(笑)。
──で、実際にどの曲もホントに明るいしポジティブだし、しかもバラードはないし(笑)。だから「こういう歌を本当に明るくポジティブに歌える人ってどんな人なんだろう?」って気になって、過去のインタビュー記事をさらってみたんです。
ありがとうございます(笑)。
──ただ予備取材は不調に終わったというか「三森すずこはポジティブ」という確証は残念ながら得られなくて。なので、まずは三森すずこが三森すずこになるまで、要はバイオグラフィを追わせてください。高校生の頃からダンスやボーカルのレッスンを受けてたんですよね。
習いごと自体はもっと前、小学1年生のときから始めていて。バレエを習ってました。
──なぜバレエを?
バレエを習ってたお友達の発表会を観に行って「私もあのキレイな衣装を着て踊りたいなあ」って思ったのと、あと父がすごくクラシックが好きだったので。バレエの音楽のレコードとかもたくさん持ってて家でよくかけていたので、バレエ自体、すごく身近な存在だったんです。
──舞台で踊りたいと思ったということは活発な子でした?
すごく内弁慶でした(笑)。外に出るとけっこうおとなしい、しっかりした感じの子だったんですよ。妹が年子でいるから、家の外ではすごくお姉ちゃんらしいお姉ちゃんをしてた気がするし、大人の輪にすぐ入りたがってたし。でも家に帰るともうやんちゃで、晩ごはんを食べ終わったあと、みんながくつろいでると、ふすまを幕代わりにしてショーを始めるという(笑)。すごく目立ちたがり屋なところはあったんだけど、外ではそれを出せない子だった気がします。
──じゃあバレエの発表会に出るのって勇気要りませんでした?
でもやっぱり人前で何かをやるのは好きだったみたいで。普段の練習のときにはそんなに目立つタイプじゃなかったんですけど「ステージに出るぞ!」ってなると、もう「ワーッ!」ってテンションが上がって「うれしい! うれしい!」「私を観て」って感じになってました(笑)。
「私、路線変更するわっ!」
──ただ今の三森さんは、声優でありボーカリストであってバレリーナにはなっていない。
確かに小学校のときの夢はバレリーナだったんですけど、中学生のときに宝塚にハマって「私もタカラジェンヌになりたい!」って感じになって、声楽の先生に就くようになったんです。宝塚も受験しましたし。
──で、宝塚音楽学校の最終試験まで残ったんですよね。
はい。最終まで残れたことはけっこう自慢なんですけど、でも落ちちゃったことはやっぱり悔しくて、(口をとがらせて)「別にー、ミュージカル劇団は宝塚だけじゃないしー」って感じになり(笑)。
──「私、別に言うほど入りたかったわけじゃないしー」(笑)。
すごく負けず嫌いな子供だったので「私、路線変更するわっ!」ってなって(笑)。それで東宝とかのミュージカルに出られるようになったらいいな、広い意味でのミュージカル女優になれたらいいなと思うようになって。ジャズダンスやタップのスクールとか、ボーカルのレッスンに行きだして、だんだんクラシックじゃない人になっていった感じですね。
──しかも高校では部活動も……。
あっ、中高一貫の女子校だったので中学生のときからです。ミュージカル部っていうのがあって、その部で6年間、宝塚とか劇団四季とか東宝とか、そういう大きなミュージカル劇団の作品の中からいろんなナンバーを借りてきて踊ってました。その部ってすごく体育会系で上下関係もはっきりしていたので、今もその頃の影響がけっこう残ってるんですよ。1つでも年上の人は全員先輩。今も絶対に敬語を崩せないし、あと最近気付いたんですけど、1つでも年下だとわかるとすぐに友達感覚になっちゃって。
──高校時代はそういう三森さんを培ったミュージカル部で活動しながら、個人的にダンスやボーカルのレッスンも?
だからまったく遊んでなかったですね。「将来は絶対ミュージカルの道に!」って思ってたので、ホントにその道一本で。英語が好きだったので一応大学の英文科にも進んだんですけど、それも「大学卒業する頃までにデビューできたらいいな」って思っていたからですし。結局高校卒業してすぐデビューしたのでフェードアウトしちゃいましたし。
- 1stアルバム「好きっ」 / 2014年4月2日発売 / ポニーキャニオン
- Blu-ray Disc付き初回限定盤 [CD+Blu-ray Disc+写真集+ライトノベル] 4860円 / PCCG-01388
- DVD付き初回限定盤 [CD+DVD+写真集+ライトノベル] 4104円 / PCCG-01389
- 通常盤 [CD] 3240円 / PCCG-01390
CD収録曲
- グローリー!
[作詞:しほり / 作曲・編曲:EFFY] - 夢見る!信じる!未来叶えて!
[作詞:しほり / 作曲:太田雅友 / 編曲:EFFY] - サンシャインハーモニー
[作詞:ENA☆ / 作曲:前澤寛之 / 編曲:yamazo] - 会いたいよ…会いたいよ!
[作詞:畑亜貴 / 作曲・編曲:太田雅友] - ミライスタート
[作詞:畑亜貴 / 作曲:俊龍 / 編曲:Sizuk] - みんなでイエー☆オーッ!!
[作詞・作曲・編曲:小松一也] - サマーバケーション
[作詞・作曲:しほり / 編曲:EFFY] - 約束してよ?一緒だよ!
[作詞:畑亜貴 / 作曲:shilo / 編曲:中西亮輔] - スイートホーム
[作詞:YADAKO (Myu)、三森すずこ / 作曲・編曲:Masse (Myu)] - 私..見守っているよ!
[作詞:畑亜貴 / 作曲:しほり / 編曲:森慎太郎] - 恋のキモチは5%
[作詞・作曲・編曲:矢野博康] - 大切なキミ
[作詞:SUIMI / 作曲・編曲:板垣祐介] - 全部受けとって、強く抱きしめて。
[作詞・作曲:渡辺翔 / 編曲:yamazo] - ユニバーページ
[作詞・作曲:渡辺翔 / 編曲:増田武史]
初回限定盤DVD / Blu-ray収録内容
- ミュージックビデオクリップ
「会いたいよ...会いたいよ!」「約束してよ?一緒だよ!」「ユニバーページ」「スイートホーム」「サン シャインハーモニー」 - メイキング映像
「サンシャインハーモニー」 - 三森すずこスペシャルウインク集
三森すずこ(みもりすずこ)
東京都生まれの声優、ボーカリスト。ミュージカル女優として活動したのち、2010年アニメ「探偵オペラ ミルキィホームズ」のシャーロック・シェリンフォード役で声優デビュー。以来同シリーズや「ゆるゆり」「神様はじめました」「ラブライブ!」など人気作で主要キャラクターを演じる。また2010年には「ミルキィホームズ」の出演声優からなる同名ユニットとしてCDデビューを果たし、以降「Animelo Summer Live」に毎年連続出演。さらに「ラブライブ!」の劇中ユニットμ’sの一員として2014年にさいたまスーパーアリーナで2DAYS公演を行うなど、活発な音楽活動を展開する。そして2013年4月にはシングル「会いたいよ…会いたいよ!」でソロデビューし、同7月には2ndシングル「約束してよ?一緒だよ!」、10月には初のアニメ主題歌となる「ユニバーページ」を三森すずこ名義でリリース。2014年4月には1stアルバム「好きっ」を発表した。