赤い公園「消えない - EP」 PR

赤い公園|ロングレビューと著名人7名からのコメントで紐解くピュアな新作の魅力

赤い公園が10月23日に新作「消えない - EP」をリリースした。

「消えない - EP」は、新ボーカリストの石野理子(ex. アイドルネッサンス)加入後初のCD作品。本作には表題曲「消えない」や新体制初の楽曲として8月に配信リリースした「凛々爛々」など、全5曲が収録されている。ボーカルの交代という新陳代謝を経た赤い公園が今どのような状況にあるのか探るべく、音楽ナタリーでは古くから彼女たちを知るライターの三宅正一にレビューを依頼。津野米咲(G)へのメールインタビューを交えながら、現在の赤い公園の状況と「消えない - EP」の魅力を紐解いていく。

また特集後半には、赤い公園と親交のある井口理(King Gnu)、大森靖子、瀬戸康史、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)、三森すずこ、ヤマサキセイヤ(キュウソネコカミ)、山中拓也(THE ORAL CIGARETTES)の7名が「消えない - EP」発売に寄せたコメントも掲載する。

文 / 三宅正一(P1)

赤い公園「消えない - EP」ロングレビュー

「便秘が解消する感覚が近いかもしれません。同時に、既に次の手を用意する事に必死になっています。ただ、やっぱり嬉しいです」

本稿を草するにあたり、赤い公園のギタリスト、リーダーでありバンドの音楽性と活動における手綱をにぎる津野米咲(G)にメールインタビューの形式でコメントを寄せてもらった。

冒頭の言葉は、「新ボーカリストとして石野理子さんが加入し、レーベル移籍後、初となるCDリリースを前にした今の率直な感想を聞かせてください」という問いに対する答えだ。

新体制となった赤い公園がフィジカルのオリジナル作品としては2017年8月の4thフルアルバム「熱唱サマー」以来となる新作「消えない - EP」を10月23日にリリースした。デジタルリリース主流の時代にあって、それでも赤い公園のメンバーはCDというメディアに対する思い入れを人一倍強く持っている。だからこそ、メンバーもファンも“ついに”“やっと”という思いだろう。

思えば、津野がクリエイトする楽曲と各メンバーのパフォーマンスは2010年の結成当初から未完成なままのチャームとすごみをたたえていた。赤い公園の楽曲は最初から大きなフィールドで鳴らされることを望んでいたし、ゆえにキャリアを重ねるほどに「オルタナティブなロックサウンドとはつらつとしたポップミュージックを融合させる、“うるさ型”のリスナーも唸らせるガールズバンド」というような立ち位置が、彼女たちにとって少しずつ息苦しいものになっていたのではないかと思う。少なくとも筆者にはそう映っていた。そんな中、2017年8月31日をもってオリジナルメンバーだったボーカリスト・佐藤千明が脱退。赤い公園は津野、ベーシストの藤本ひかり、ドラマーの歌川菜穂の3人でプロダクションもレーベルも無所属の状態で再始動し、いくつかのライブ出演と楽曲制作を行いながら「期間限定のスリーピースバンド」としての季節を過ごした。

そして、2018年。新ボーカリストを探し求める中で出会ったのが、元アイドルネッサンスの石野理子だった。同年5月の「VIVA LA ROCK」のステージにて当時17歳の石野を迎えた新生・赤い公園は初ステージを踏んだ。そこで石野のボーカリストとしての特別なポテンシャルはいきなりむき出しになった。安定した声量やピッチといった技巧的な面のみならず、構成や歌詞の内容においても乗りこなすのは決して安易ではない、さらには自らがボーカルを取ることを前提に制作されたわけではない赤い公園の既存曲が持つパワーに肉薄し、いきなり“自分のもの”にしようとする表現力を、石野は体現してみせた。そのときの石野の表情は必死そのものだったが、津野、藤本、歌川の3人が充足しきりの笑顔を浮かべていたことが、赤い公園の未来に光が射した何よりの証左だった。

津野は石野の加入後のバンドの変化についてこのように語る。

「ピュアになりました。というか、ピュアを表現したいと思うようになりました。藤本が楽曲制作にトライしたり、歌川は音楽をより愛するようになりました」

サウンドプロダクションの様相がカオティックであるほどに歌の普遍的なポップネスが際立つ、またはその逆も真なりである津野が生み出す楽曲はこれまでも底知れぬ才気がほとばしっていたが、石野が歌うことを前提に作られた新曲群はまるで憑き物が落ちたようにまっすぐに耳に飛び込んでくる。透徹した力強さに満ちている石野のボーカルの求心力とそれに触発されるように瑞々しさが増した(あるいは過不足のない音の積み方ができている)バンドサウンドによって、どこまでもオルタナティブでありながらポップであるという音楽像がものすごく自然な状態で立ち上がっている。それはこの「消えない - EP」に収録されている5曲を聴いてもらえば、まざまざと感じてもらえると思う。

「自分のコアな部分と理子の声の相性の良さを感じています。難しいかなあ?なんていう事を全く考えずに曲を作れています。あと、音がシンプルになっていきました。ライブでは同期システムを廃止し、一からアレンジし直すこともしばしばです」

津野は「消えない - EP」の5曲のポイントもこのように記してくれた。

  1. 「消えない」=「歌を含めたアレンジの混沌と秩序」
  2. 「Highway Cabriolet」=「規則的な感覚で光る高速道路の灯りのようなベース」
  3. 「凛々爛々」=「楽曲は爛々、歌は悠々、そして4人で凛としています」
  4. 「HEISEI」=「メロ。メロに次ぐメロ。花だらけの歌詞にも注目」
  5. 「Yo-Ho」=「4人で赤い公園の音楽を更新できたと思います。狂おしい程のピュア」

石野の加入により赤い公園は結成9年目にして総合的に若返った。だからこそ、ガールズバンドという枠組みや実年齢などに縛られない、その音楽性同様に独立した存在になれる切符を手に入れたと筆者は思う。そして、津野は赤い公園の未来をこのように描いている。

「バチボコに売れたいです。売れたいし続けたいし東京ドームでライブしたいです。4人で演奏すれば、それはバンドミュージックだという事になるよう、日々精進してゆきます。変わらず日々の泡を描いて、4人で鳴らしてゆきたいです」