「道後REBORNプロジェクト」

「道後REBORNプロジェクト」水樹奈々×つるの剛士×三森すずこ|火の鳥、伊予の国に到来! 手塚治虫の名作がオリジナルアニメに

愛媛・松山の道後温泉は、「日本書紀」にも登場する日本最古と言われる温泉。一羽の白鷺により発見され、その効能を人々が知って入浴するようになったという伝説が残る。

同地の観光のシンボル・道後温泉本館が、今後も長く愛されるよう営業しながらの保存修理工事に着手。これに合わせて「道後REBORNプロジェクト」と題してさまざまな企画がスタートし、手塚プロダクション制作によるオリジナルアニメーション「火の鳥“道後温泉編”」が配信される。コミックナタリーでは本アニメに出演する大国主(オオクニヌシ)役のつるの剛士、少彦名(スクナヒコナ)役の三森すずこ、そして火の鳥役の水樹奈々にインタビューを実施。第1話のアフレコ直後に時間をもらい、道後温泉の印象やアニメの見どころについて聞いた。

取材 / 西村萌 文 / はるのおと

道後REBORNプロジェクト

火の鳥

道後温泉本館が、営業しながら約7年間の保存修理工事に入ることに合わせ、手塚治虫の「火の鳥」とコラボレーションしたPR事業「道後REBORNプロジェクト」がスタートした。現在、本館北面への火の鳥オブジェの設置やライトアップの実施、入浴券のデザイン一新などを通じ、本館の“再生”を「火の鳥」が彩っている。

このプロジェクトの一環として、手塚プロダクション制作によるオリジナルアニメーション「火の鳥“道後温泉編”」が順次展開される。大国主(オオクニヌシ)役でつるの剛士、少彦名(スクナヒコナ)役で三森すずこ、火の鳥役で水樹奈々が出演するプロローグ「大国主と少彦名」と、第1話「聖徳太子、来浴」は5月24日にYouTubeなどで配信される予定だ。

一足先に「火の鳥“道後温泉編”」のあらすじを紹介!

プロローグ「大国主と少彦名」

諸国を漫遊していた神様・大国主と少彦名。2人が伊予国に通りかかったとき、少彦名が火照って倒れてしまう。焦った大国主は少彦名を冷たい池の中へ。少彦名は寒さに我慢できず水から飛び出してしまうが、我慢しろと無茶を言う大国主。そこへ、全身に光をまとった火の鳥が。自らが永遠のエネルギーを与えたという温泉まで案内し、大国主と少彦名にあることを命ずる。

水樹奈々 つるの剛士 三森すずこインタビュー

水樹奈々

火の鳥の演技からすべての感情を超えた愛を感じて

「火の鳥“道後温泉編”」より。

──火の鳥を演じることになった際の心境はいかがでしたか?

「火の鳥」という歴史ある作品に関わらせていただくことを光栄に思うと同時に、火の鳥役ということでプレッシャーも感じました。神々しく、慈愛と包容力に満ちた存在の声を、皆さんのイメージに合う形で私が出せるんだろうかって。

──少彦名役の三森さんは、火の鳥が水樹さんと聞いて、神々しいイメージがぴったりだとおっしゃっていましたよ。

本当ですか!? みもりんありがとう!!(笑)

──収録されている様子を聞く限り、確かに地球の母のような存在感を感じました。

火の鳥は人知を超えた女神のような存在なので、抑揚を付けたり、感情を乗せすぎたりしてもイメージから離れるなと思っていました。とてもさじ加減が難しいキャラクターです。

──アフレコ中、監督から「厳しさの中に優しさを含んだ感じに」というディレクションがありましたよね。そこから声色がぐっと変わった印象があります。

そうなんですよ。最初は「あなたたちに、この先の歴史を任せられるの?」という問いかけのニュアンスも込めて、少し厳しさの部分を強めに出していたんです。でも監督から「すべてを超越した、慈愛を満ちた感じで」という指示をいただいたので、自分の中でキャラクターを組み立て直しました。ただ優しいだけじゃなく、ただ厳しいだけじゃない。前向きな意味で人間に試練を与えて見守っている、すべての感情を超越した優しさを火の鳥は持っているんです。

──アフレコはつるのさんと三森さんの収録した声を聞かれながら行っていましたが、2人の演技の印象は?

ぴったりでした! 三森さんはかわいらしいイメージが強いですけど、少年役を伸び伸びと演じている声を聞いて、とても素敵でもっと聞きたいと思いました。つるのさんも本当に自然なお芝居で素晴らしかったです! キャラクター作りも抜群でした!

──恰幅のいい感じが出ていましたよね。では、最初に「火の鳥」と道後温泉がコラボレーションすると聞いたとき、どのような印象を受けましたか?

道後温泉と「火の鳥」ってパッと結びつかなかったので、初めは驚きました。まさか、再生つながりだったとは! 市長からお話を聞いたときは「なるほど!!」とその発想力に脱帽でした。誰がそれを閃いたのか興味津々になりつつ、愛媛県の伊予観光大使としては「意外性があるから、皆さんに注目していただけるんじゃないか」とニヤリとしてしまいました。

──「火の鳥」をもともと読まれていましたか?

小学生の頃に少しだけではありますが読ませていただいていました。手塚先生の作品では「ブッダ」と「ユニコ」のアニメに声優として参加させていただいて、改めてたくさんの気付きをいただきました。大人になって読むと、子供の頃とは違った角度から見える部分がいろいろあって。自分を見つめ直したり、歴史について考えるきっかけを自然に与えてくれる作品ばかりだと思います。

──水樹さんは愛媛県でも新居浜市出身で、道後温泉のある松山市からは距離があります。道後温泉はどれくらい身近に感じているのでしょうか?

「火の鳥“道後温泉編”」より。

実は、初めて行ったのは大人になってからなんです。もちろん道後温泉のことは愛媛県のシンボルとして小さい頃から知っていたのですが、地元の人は地元の観光名所にあまり行かないこともあるじゃないですか……(笑)。

──そうですね。初めて行かれたのはプライベートで?

はい、2003年にプライベートで行きました。ツアー中の移動日で愛媛に前乗りしてたのでスタッフさんと「道後温泉に行こう!」となって。意外と温度が高くて熱かったというのが第一印象です(笑)。でもとても趣と風情があって、すごく素敵だと思いました。

──また行けるといいですね。

ちょうど今週末が愛媛でライブなんですよ!(取材は3月下旬に行われた) ……でもバッタリ会ったファンの方から「明日ライブですよね! がんばってください」と裸で言われるのも少し恥ずかしい(笑)。だから今回は火の鳥のライトアップだけ見に行こうかな(笑)。

──ちなみに水樹さんはこれまでも愛媛銀行のCMへの出演やマイントピア別子のアナウンス、第72回国体のイメージソングを担当し、開会式でも歌唱するなど愛媛関連のお仕事をたくさんされています。そういったものはやはり特別な思い入れがありますか?

はい。自分が小さい頃から遊びに行っていたマイントピア別子で自分の声が流れてるなんて、本当にうれしいです。ひめぎんさんも、地元ではよくお世話になっていましたし、お母さんも「毎日、テレビで奈々ちゃんの顔を観て、『今日もお仕事がんばろ』って思って出勤してるわ」と喜んでくれていて(笑)。

──親孝行にもなっているんですね。では最後にアニメ「火の鳥」の見どころを教えてください。

どのキャラクターもすごく親近感があり、コミカルに描かれていますので、幅広い年代の方に楽しんでいただけるアニメになっています。道後温泉のパワースポットがどうやって生まれたか、皆さんぜひチェックしてください! そしてぜひ愛媛・松山の道後温泉に足を運んでいただければと思います!

水樹奈々(ミズキナナ)
水樹奈々
愛媛県出身の声優、アーティスト。1997年に声優としてデビューし、「魔法少女リリカルなのは」「ハートキャッチプリキュア!」「NARUTO -ナルト-」といったアニメ作品で人気を集める。2000年に歌手デビューし、7月17日には39枚目となるシングルが発売。また7月から9月にかけて、夏のライブツアー「NANA MIZUKI LIVE EXPRESS 2019」の公演も控えている。

2019年12月16日更新