M!LK「M!X」佐野勇斗、曽野舜太、吉田仁人インタビュー|“変幻自在”の真価詰め込んだアルバム完成 (3/4)

佐野勇斗、牛を買う

──3曲目の「LUCKY CALL」はロカビリー調の軽やかな楽曲ですね。

佐野 この曲いいですよね。ロカビリーな感じ、今までありそうでなかった。「ありがとうを伝える曲」というテーマで選んだんですけど、“ありがとう曲”ってミディアムバラードみたいな曲調になりがちだから、このくらいアップテンポなほうが新鮮なんじゃないかなと思って。あとこれは僕の勝手な裏テーマなんですが、今回のアルバムはちょっと男っぽい曲を多くしたいなと思っていたんです。10年目ですし、かわいい雰囲気の曲はすでにたくさん持ってるから。そんな思いもありつつの選曲ですね。

吉田 この曲、歌ってて楽しかったですね。

佐野 楽しかったよねー。

佐野勇斗演出によるペアカットのテーマは「三角関係」。吉田仁人(右)のことが好きな佐野勇斗(左)。

佐野勇斗演出によるペアカットのテーマは「三角関係」。吉田仁人(右)のことが好きな佐野勇斗(左)。

曽野 サビがめっちゃ気持ちいいです。(棒読み口調で)「愛 ぱない ないないないない損はない ないない」……何回「ない」言うんや?と思いましたけど。

吉田 待って。リズム感終わってるな? 本当に録った?(笑)

曽野 めっちゃ気持ちいいです。早口言葉みたいで。

佐野 そういえばこの曲、確か僕が曲名変えたんだよな。

──そうなんですね。

佐野 歌詞も曲名もロカビリー調の雰囲気に則していた原曲を「ありがとう」を伝えるメッセージソングにアレンジしていく中で、タイトルもテーマに合わせて変えないとおかしいなと思って。わかりやすくサビの1発目に出てくる「LUCKY CALL」がいいかなと思いました。とにかくこの曲は歌っていて楽しいし聴いていても楽しいし、ライブ映えする曲だと思います。

曽野 絶対ライブ映えするね。

──演出担当の太智さんの腕が鳴りそうですね。

吉田 何かしら仕込んでくるだろうなあ。

佐野 あと僕、2番に出てくる柔太朗の「やってもらった?」の歌い方が好き。アイツ、たぶんこの歌好きなんですよ。彼が大好きな桑田佳祐さんのイズムを感じますね。

──5曲目の「Buffalo Shuffle」はパワフルなアッパーチューンです。

曽野 めちゃくちゃカッコいい曲です。

佐野 この曲も、M!LKにいかつめの要素を足したくてアルバムに入れました。盛り上がる曲は多いけど、例えば赤い照明の中でファイヤーボールがバンバン吹き上がるようなイメージのアッパーな曲って、それこそ昔やってたBLACK M!LK(2017年に誕生したM!LKの“突然変異ユニット”)以降はあまりないなと思って。イントロが鳴った段階で、誰もが「来た!」と盛り上がる曲になってほしいなという思いです。で、この曲も仮タイトルが「Rumble Shuffle」だったのを、メンバーで話し合って「Buffalo Shuffle」に変えました。

──なぜ「Buffalo」に変えたんですか?

佐野 「Rumble」よりもパッとわかりやすい言葉がいいなと思ったんですよ。「Buffalo」(水牛)には突進するような強いイメージがあるし、M!LKなので“牛つながり”の水牛はいいんじゃないかと。闘牛が入り乱れるように盛り上がろうぜ!というイメージで付けたタイトルです。あと、ちょうど僕も最近、バッファローを買ったので……。

曽野 そう、個人的に買ったんだよね。

──バッファローを買った、とは……?

佐野 マジで買ったんですよ。あるじゃないですか、インテリアとして飾る牛の頭。

曽野 僕と2人でロケをしたとき、はやちゃん(佐野)がアメ横のお店に飾ってあったバッファローを見て、急に「これ、欲しいです」って。

佐野 ずっと探してたんですよ。今やめったに手に入るものじゃないから、これは運命的な出会いだなと思って……買っちゃいました! しかも、ちゃんと意味があって。バッファローの飾りって、仲間とともに目標を達成するための守り神みたいな役目があるらしいんです。その意味含め「めっちゃいいじゃん」と思って。だから今、家で毎晩なでてます。

曽野 毎晩なでてるんだ。

──そうなんですね。まさか本物のバッファローの話だとは思わなかったです。

吉田 ですよね。僕は引きました(笑)。

佐野 あはは! そう、引かれてるんです最近(笑)。

佐野勇斗(右)のことが好きな曽野舜太(左)。(演出:佐野勇斗)

佐野勇斗(右)のことが好きな曽野舜太(左)。(演出:佐野勇斗)

たとえ意味が通っていなくても

──アルバム中盤は、6曲目の「Kiss Plan」から7曲目のチルな新曲「Diary」の流れがおしゃれですね。

吉田 「Diary」は完全に“柔太朗大好き曲”ですね。

曽野 僕も意外と好き、こういうチル系の曲。「日記」をテーマに愛を伝える感じがめちゃくちゃいいなと思います。この曲もM!LKっぽくないというか。ここまでメロウな曲、あんまりないんですよね。より大人な見せ方ができる曲だと思う。

吉田 こういった系統の曲が増えたのはうれしいですね。いい雰囲気だよなあ。今の自分たちの年齢じゃないとできない曲のような気もしますし。

──サビに多く登場する英語詞が印象的ですが、レコーディングはいかがでしたか?

佐野 やっぱり発音は意識して歌いましたね。

吉田 それで思い出したけど、この曲のレコーディングのとき、ブースに入ると歌詞カードの英詞の箇所にすごい書き込みが残ってたんですよ。「ア、ライ、マ、フィーリン、トゥナイト……」って、めちゃくちゃな発音記号と一緒に書き込まれてて。

佐野 太智だろ、絶対(笑)。

吉田 それ見て「がんばってるな、いいな」と思いましたね(笑)。

佐野 “おバカコンビ”のどっちかだろうなあ。

吉田 そう。太智か柔太朗のどっちかだろうなとは思いつつね。

曽野 だいちゃんの気がするな(笑)。

──続く8曲目の「ブンブンブン」は打って変わって、ファニーなデジタルサウンドが印象的なポップソングで。

吉田 この曲はけっこう前からあったんですよ。候補曲の中に。

佐野 ちょっと「宇宙ジャンボリー」っぽいよね。

曽野 わかる!

吉田 なんだろう、歌詞をもらったときからずっと思ってたんですけど……本当に意味がわからない曲です(笑)。

佐野曽野 あはははは!

佐野 一応、歌詞の内容は“M!X”にかけてくれているんですよ。

曽野 「俺×∞のビッグバン・マリアージュ」……。

吉田 なんかもう、とんでもないじゃないですか。

曽野 必殺技みたいだね。

吉田 でも好きなんですよねえ、この感じ。

曽野舜太(右)のことが好きな吉田仁人(左)。(演出:佐野勇斗)

曽野舜太(右)のことが好きな吉田仁人(左)。(演出:佐野勇斗)

──こういったオリジナリティ満載の歌詞って、逆に覚えやすかったりするのでしょうか?

吉田 そう。とにかく聞き馴染みはよくて、めっちゃ調子はいいんですよ。だけどしっかり読むと「どうして?」となる(笑)。でも音楽って、これでOKというか。たとえ意味が通っていなくても、誰かに「元気出るな、なんかいいな」と思ってもらえるってすごいことじゃないですか。

佐野 (歌詞カードを見ながら)「ショコラに練り込む唐辛子」……。

吉田 とんでもないレシピ!(笑)

佐野 ちなみにこの曲も、初めは「ブンブンブン」っていうタイトルじゃなかったんですよ。僕がいないときに4人が決めてくれたんですけど……なんで「ブンブンブン」になったの?

吉田 最初の音が「ブンブンブン」だから。

曽野 それくらいもう、タイトルからおかしい感じにしようって話したよね。

吉田 何よりもキャッチーさ重視の提案でしたね。

ハモ録りの進化

吉田 そういえば言い忘れてましたけど、今回のアルバムのレコーディングでは、ハモ録りのコツがわかったような感覚があって。

佐野曽野 へえー。

吉田 ハモのラインは基本僕が歌っているんですけど、太智のパートは細かく跳ねたほうがいいとか、柔太朗のパートはなるだけ芯を消さないと僕の成分が残るとか、そういうことを意識して歌っていました。ちょっと進化したところかもしれないです。

曽野 そうなんだ。

吉田 でね、「Diary」のレコーディングだったかな。僕の都合が悪くてハモが録れないとなったとき、柔太朗が下ハモをやってくれたんですよ。「俺やりますよ、好きなんで」って。

左から吉田仁人、曽野舜太、佐野勇斗。

左から吉田仁人、曽野舜太、佐野勇斗。

佐野 何、仁人が好きだからやったってこと?

吉田 違う違う、曲が好きだから立候補したってこと(笑)。

──そういった助け合いの意味でも“M!X”が発生していたんですね。

吉田 そうなんです。