少年がミルク|今だから書けるラブソングという名の“空砲”

スタイルが確立したからこそ、練らなくてよくなった

──1stや2ndに比べて、今作の楽曲のタイトルがすごくシンプルになっているのが印象的でした。

少年がミルク

私、タイトルにはあまり執着がなくていつもレーベルの社長に任せていたんですけど、今回は初めて自分でも付けたんです。5曲目の「軽蔑」とかは私が付けたタイトルですね。

──自分で付けたタイトルもすごくシンプルですね。

私も社長もシンプルな言葉で許容できるようになったんでしょうね。少年がミルクっていう歌と歌詞のスタイルが確立したからこそ、タイトルでそこまで練らなくていいというか、素直な言葉でよくなったんだと思います。

──ラブソングがテーマで「I love you」というタイトルでミニアルバムが始まるのに、最後は「軽蔑」というタイトルの曲で終わるんですよね。

なんだか恋愛のリアルな終わり方みたいでちょっと恥ずかしい感じがあるんですけど、“ロックでオルタナティブな終わり方”になったと思います。こういう感じが、少年がミルクらしいかなって。

どこかで誰かとつながりたくて

──4月にTwitterで「8割書いた歌詞を0にした」と発言していたのを見かけたのですが、今作の収録曲の歌詞のことですよね? どの曲ですか?

2曲目の「qualia」ですね。ちょっと大衆的なラブソングに憧れて書いてみようと思ったんですけど、全然書けなくて。2回ボツにしました。

──1回目、2回目に書いた歌詞はどういうものだったんですか?

1回目は遠距離恋愛をテーマに書いてみたんです。でも書いてみたらまるで陳腐な内容で、ただのいい歌みたいになって。人に書くならアリだったかもしれないけど、自分で歌うのはどうかなってことでボツになりました。2回目は恋愛とか関係なく、内向的な歌詞が書けちゃったんですけど、やっぱり今回のアルバムには合わないかなって。1人の歌詞より2人いて、その関係性がある曲が書きたかったんです。

──今まで少年がミルクさんが書いてきた歌詞って1人称と3人称が多かったんです。今作になって「君」という2人称がよく登場するようになったのは、そういう意識の変化があったからなんですね。

少年がミルク

計算して何かできるタイプではないので自分では気付いていなかったんですけど、たぶんどこかで誰かとつながりたくて歌ってる自分が出てきちゃって、「君」って言葉が多くなったんだと思います。でも書くのはけっこう大変でもがいたし、悩みましたね。悩んだ分、ちょっと成長したというか、表現の幅は広げられたと思います。あと4曲目の「聴こえないくにのくちづけ」はすごく邦画っぽさが出ていて、お気に入りの曲です。

──2ndアルバム「GYUNYU革命」の収録曲「CURTAIN CALL」も、確か邦画で描かれた風景をイメージして書いた曲でしたよね。

はい。ただ今まで書いてきた曲って、コラージュっぽく部分的に邦画っぽさを混ぜてきた感じだったんですけど、「聴こえないくにのくちづけ」は1曲通して映画っぽく書けた曲。こういうことがさらっとできたのも、3枚目だからだと思いました。

──どんどん新しいことができるようになってる感覚があるんですね。

ちょっとは成長したのかな。少年がミルクとしてのスタイルはありつつ、その中での遊び方が増えてきた感じ。だから今作の歌詞を全部書き終えたら、ちょっと違う自分になるんじゃないか、みたいな変な感覚がありました。なんか1人でドラマチックなことやってんなって。

次は何をして期待を裏切ってやろう

──1stミニアルバム「KYOKUTO参番地セピア座」がリリースされたのが昨年の9月ですから、わずか7カ月の間でミニアルバム3枚を作り上げたわけですよね。

短いスパンでこれだけのことができて、しかも自分の表現の幅を広げられているっていう流れはすさまじいなって思います。私はただ期待をいい意味で裏切りたいんです。期待されるんなら裏切るし、期待されていないんなら驚かせたい、みたいな。武器は持ってると思ってるから。空砲だから弾は入ってないけど(笑)。

──これだけ短いスパンで作品を作り続けてきたわけですけど、やりたいことはまだまだ出てきてますか?

ありますね。なくならないです。ミニアルバム3枚でやっと16曲できたわけですけど、やっと下地作りが終わったところだと思っていますから。次は何をして期待を裏切ってやろうか(笑)。

──6月には東京・CHELSEA HOTELで少年がミルクさんのワンマンライブが開催されます。東京でワンマンライブを行うのは今回が初ですよね?

名古屋では2回くらいやってますけど、東京では初めてです。ミニアルバムが3枚出て15曲くらいそろったわけだから、ワンマンをやるにはちょうどよくて。

──ラブソングが入ってくるとライブの雰囲気も変わるかもしれませんからね。

ファンタジーな曲とリアルな曲が交錯する中にラブソングが入って。今までの少年がミルクのワンマンとはまた違った感じになると思います。何より歌う私がすごく楽しみにしてるんです。早くライブで歌いたいですね。

少年がミルク
少年がミルク「空砲一揆アノニマス」
2017年5月24日発売 / コドモメンタルINC.
少年がミルク「空砲一揆アノニマス」

[CD]
1080円 / CMI-0024

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収録曲
  1. I love you
  2. qualia
  3. アンチラブソングヒーロー
  4. 聴こえないくにのくちづけ
  5. 軽蔑
少年がミルク(ショウネンガミルク)
syamによるソロプロジェクト。2016年5月に開催されたイベント「こどもめんたる~はっぴょうの壱~」にて少年がミルクとして初ライブを実施した。同年9月には全曲にわたって水谷和樹(Gauche.)が作曲を、少年がミルクが歌唱と作詞を担当した1stミニアルバム「KYOKUTO参番地セピア座」をリリース。2017年2月には2ndミニアルバム「GYUNYU革命」を、同年5月に3rdミニアルバム「空砲一揆アノニマス」を発表した。