ナタリー PowerPush - ミドリカワ書房
芸能界随一のファン、ガリガリガリクソンが語るミドシン世界の魅力
ミドリカワ書房はモンハンやってるイメージしかない
──いろいろなアーティストと交流があるガリガリさんから見て、ミドリカワさんはほかのアーティストと比べてどこが違いますか?
ガリガリ カリスマ性がないところですね(笑)。そこがまた良いところで。
ミドリカワ へえー。じゃあほかの方々はもう、すっごいこんな(カリスマ性をジェスチャーで表現)感じなんですか?
ガリガリ そりゃあもう、愛人がいるんじゃないのとか、覚醒剤やってんじゃないのみたいな(笑)。
ミドリカワ そういう雰囲気が僕にはないと。
ガリガリ まるでないですね。モンハンやってるイメージしかないですね。
ミドリカワ わはは(笑)。でも、私の周りにはあんまりいないなあ、そういう危険な香りがする人って。やっぱりちょっと上の世代なんですかね。
──今回のアルバムでGOING UNDER GROUNDと一緒にやってみてどうでしたか?
ミドリカワ あちらさんはキャリアも長いですし、プロフェッショナルって感じがしましたよね。私なんか甘ちゃんだぜと思いましたよ。年齢は一緒なんですけど、培ってきたものが全然違うなって。おかげさまでサウンドも現代的になって。
ガリガリ ああー。
ミドリカワ 今までダサかったでしょ?
ガリガリ いやいや、良かったですよ!? 万引きGメンを歌った「OH! Gメン」とかも、現代的ではないけど素敵じゃないですか!
──確かにGOING UNDER GROUNDが参加したら「OH! Gメン」みたいな曲にはならなそうですよね(笑)。どういうきっかけでコラボすることになったんですか?
ミドリカワ 共通の知人を通じてお願いしたんです。一緒にやれたらGOINGのファンも振り向いてくれるんじゃないかっていう下心もありましたしね(笑)。
──もともとGOINGのメンバーと仲が良かったわけではないんですか?
ミドリカワ 全然仲良くないですね!
──そんな力強く否定しなくても(笑)。
ミドリカワ あ、いや、別に敵対してるわけじゃないですけど(笑)、今までなかなか接点がなかったんですよね。
ミドリカワ書房は作りかけの曲がない
ガリガリ (歌詞カードを見ながら)あっ! この「初めての合コン」って前に大阪でやってたやつですね。覚えてます!
ミドリカワ その歌は去年の12月ぐらいに弾き語りで初めて人前で歌ったんですが、まさかCD化されるとは思ってなかったです。ダラダラした歌で、オチとかないですしね。
──えっ、そうですか? オチというか、曲を聴き始めたときにイメージした主人公のキャラクターが、最後まで曲を聴いたら真逆のタイプだったとわかる、面白い構成の歌だなと思ったんですけど。
ミドリカワ そうそう、そういうことなんですよ。
──CD化を考えてなかった段階で、こんなにガッチリ作りこんで歌ってたんですか?
ミドリカワ うん、歌詞はそのまんまですね。ライブでは弾き語りだったんで多少粗かったんですけど。あれは「新しい曲ができたから、じゃあ歌おう」みたいなノリだったんで。
──ミドリカワさんの歌って1曲を通して起承転結のストーリーになってるから、例えば「サビだけはできてるけどほかが思いつかない」みたいな、そういう「作りかけ」の状態ってなさそうですよね。
ミドリカワ ああー、ないですね。何か作り始めたら最後まで作っちゃわないと気持ち悪いっていう感覚があって、一気に全部作っちゃうんですね。だからボツにした曲もいっぱいあるけどどれも最後まで作り上げてますよ。
ミドリカワ書房はファンのことを考えている
──ガリガリさんにとって、ミドリカワさんの魅力ってどんなところですか?
ミドリカワ サラッとでいいよ。そんなに難しく考えてもらわないでも(笑)。
ガリガリ 全部のアルバムを聴いて感じているのは「どっちがホントなの?」ってことですね。丁寧で染みる曲もあるのに、一方でブスだのなんだの言ってる曲もある。本当の姿はどっちなのか、何を考えてんのかわからんところがすごい魅力だと思います。
ミドリカワ でも、あなたもそういうとこあるよね。「どっちがホントなの?」って。
ガリガリ やめてくださいよ、なぜそんなことばかり言うんですか?(笑) 今回の「ミドフェス」にしても「この人は何を考えてるの?」って感じのイベントですよね。
ミドリカワ 僕はもうね、みなさん飽きてるんじゃないかと思っててね。今年は渋りましたよ。「えー、またやるの?」って。
ガリガリ いやいやいや(笑)。みんな待ってましたよ。
──そういえば「ミドフェス」で、谷村伸一を東京公演のみ、緑原敬之を大阪公演のみの出演にしたのはなぜなんですか?
ミドリカワ 両方来てくださる方のためにですね。
ガリガリ ああー、なるほど! ファンのことを考えて。
ミドリカワ まあ、両方来させるためっていうのもありますけど(笑)。
ガリガリ 両方とも参加した人って結構いるんですか?
ミドリカワ 結構はいないと思いますけどね(笑)。
──東京公演で茂木淳一さんがフロアのお客さんにインタビューしたら、大阪から来たっていう人がいて。茂木さんが「大阪でも開催されますよね?」って言ったら「両方行きます」って答えてました。わりと綺麗な感じの女性で。
ガリガリ ライブに行くと綺麗な人が多いんですよねえ。
ミドリカワ ええっ? ホントに? 多いかなぁ?
──女性ファンが多い印象はありますよね。
ミドリカワ でも、それが綺麗かどうかはねえ……。
ガリガリ いやいやいや! ファンは大切にしましょうよ!(笑)
ミドリカワ書房(みどりかわしょぼう)
1978年生まれ、北海道出身。自ら「J-POP界の無頼派」を名乗る異色シンガーソングライター。2004年12月にインディーズレーベルよりアルバム「みんなのうた」を発表。翌2005年7月に「みんなのうた+α」でメジャー進出を果たす。思わず口ずさんでしまうメロディに清涼感あふれる歌声、それと相反する社会や人間の闇に切り込んだ詞世界が持ち味。歌詞のテーマは「死刑」「ひき逃げ」「離婚」「万引き」「DV」など多岐にわたり、すべてが物語調になっている。2008年に所属レコード会社との契約が切れインディーズに拠点を移し、2011年に恋愛をテーマにしたアルバム「愛にのぼせろ」で徳間ジャパンから再デビュー。また2009年から毎年開催されている主催フェス「ミドフェス」は、全出演アーティストをすべてひとりで演じるというユニークな内容で話題を集めている。