ナタリー PowerPush - ミドリカワ書房
芸能界随一のファン、ガリガリガリクソンが語るミドシン世界の魅力
ミドリカワ書房はメタルスライム
──お互い、初めて会ったときの印象はどうでした?
ガリガリ 想像どおりの人だなと。
ミドリカワ あっ、そうですか。でも僕もそうかもしれないですね。ガリくんは想像どおりでしたねえ。
──芸風どおりだったってことですか?
ミドリカワ 芸風どおりではないですよね。とてもマジメな青年で。
ガリガリ いやいやいや! 種明かしをしないでくださいよ(笑)。初対面なのに挨拶もせず、手ぶらで行きました!
ミドリカワ 何を言ってんですか。そんなことありませんでしたよ(笑)。
ガリガリ ミドリカワ先生はメタルスライムみたいな感じの人ですね。すごく伸び伸びしてて、でも誰かが来たらササササーってどっかに逃げてしまうような。
ミドリカワ レベルを上げるための存在ってことですね。
ガリガリ いやいや違う違う!(笑) そういうんじゃなくてですね、ピュアだなあーと。繊細な方なんやなって思います。
ミドリカワ それはお互い様ですよねえ。音楽とお笑いで表現のジャンルは違いますけど、志というか、僕らは似てると思います。
ガリガリ あー、たまに怒られるようなことしたくなりますもんね。お互いスレスレに挑戦する芸風ですもんね。
ミドリカワ そんなことないです(キッパリ)。結果として怒られてますけど、そんなつもりないんですよね……。
ガリガリ わはは(笑)。でも、僕のことをイメージした曲まで作ってくれはったってのもあって、お互い通じ合ってるなって気持ちはありますよ。
ミドリカワ あー、そうだ。「大丈夫」って曲(アルバム「みんなのうた 4"ever"」収録曲。ネットの世界に居場所を求める引きこもりの歌)ですね。
ガリガリ ただ、申し訳ないなーって思ったんが、僕って実はそんな子じゃないんやっていう。
ミドリカワ 最初にテレビで観たときはガリくんのことをそういう人なんだって思ってたんですけど、本当は違うんだろうなってのは後になって気付きました。それでも、そのルックスとキャラクターを歌にしてみたいなって思って、引きこもりの男の子の歌を作ったんですよ。
ガリガリ じゃあ、今度はぜひアンサーソング的なものを作ってください。
ミドリカワ えっと、誰が主人公なんですか?
ガリガリ もちろん僕ですよ! こうやって実際会ってみたイメージで作っていただけると。
ミドリカワ あっ、なるほどね。確かにそれをやったらだいぶ曲の感じが変わりますよね。
ガリガリ でしょ!?
ミドリカワ うん、絶対つまんない歌になりますよ(笑)。
ミドリカワ書房は丸くなった
──ミドリカワさんの曲で一番好きなのはどれですか?
ガリガリ 僕は1stアルバム「みんなのうた」の曲は全部好きで……。
ミドリカワ そうなんですよ! みんな言うんですよねえ……。アレとの戦いですね本当に。アレを超えるものを作れってしょっちゅう言われてるんです。
ガリガリ うは、ごめんなさい(笑)! まあでも、ほかのも……、うん、まあまあイイですよ(笑)。
ミドリカワ わはは(笑)。しょうがないしょうがない。
ガリガリ いや、1stは誰にでも入りやすいからオススメってことで。その後どんどんどんどん個性が強くなっていかはるので、もちろんそういうとこも素敵だと思ってますよ。
ミドリカワ ありがとうございます。
ガリガリ ただ、その個性のせいで大人たちから叩かれたときに、このメタルスライムが遠くへ逃げていってしまうんじゃないかという心配が(笑)。かといって丸くなってほしくないなっていう気持ちもありますし……。そういえば今回のアルバムって、初めて人が死なないんだとか?
ミドリカワ そうなんですよ。人が誰も死なない、聴きやすーいアルバムです。人畜無害。あとでサンプル渡しますから、叩き割ってくださいねー(笑)。
──確かにこのアルバムは恋愛モノが中心で、救いのない暗いストーリーがひとつもないですよね。
ガリガリ えぇーっ! それはなんでなんですか?
ミドリカワ だってもう、そういうお年頃ですよね。丸くなったってことじゃないですか?
ガリガリ あらっ! ちょっと! 売れようと思って媚び倒したんじゃないですかあ? そういうのはよそのバンドに任しといたらいいんですよ!
ミドリカワ あはは(笑)。いやいや、まだ聴いてみないとわかんないでしょ。今回のアルバムの曲はね、普通の爽やかなラブソングをやりたいなと思って書いたんですよ。
──まったく爽やかではないですけどね(笑)。
ミドリカワ やっぱそういうのって、僕には全然できないもんですね(笑)。
ミドリカワ書房(みどりかわしょぼう)
1978年生まれ、北海道出身。自ら「J-POP界の無頼派」を名乗る異色シンガーソングライター。2004年12月にインディーズレーベルよりアルバム「みんなのうた」を発表。翌2005年7月に「みんなのうた+α」でメジャー進出を果たす。思わず口ずさんでしまうメロディに清涼感あふれる歌声、それと相反する社会や人間の闇に切り込んだ詞世界が持ち味。歌詞のテーマは「死刑」「ひき逃げ」「離婚」「万引き」「DV」など多岐にわたり、すべてが物語調になっている。2008年に所属レコード会社との契約が切れインディーズに拠点を移し、2011年に恋愛をテーマにしたアルバム「愛にのぼせろ」で徳間ジャパンから再デビュー。また2009年から毎年開催されている主催フェス「ミドフェス」は、全出演アーティストをすべてひとりで演じるというユニークな内容で話題を集めている。