ナタリー PowerPush - MEG

国内活動休止の理由とアニソンカバーの意外な真相

プロデューサー陣とのエピソード

──今回のプロデューサー陣とはどういう経緯で?

1曲目に作ったのは「DISCOTHEQUE」ですね。みんなで歌って踊るんだったらキラキラしたハウスアレンジがいいだろうなと思って田中(ユウスケ)さんにお願いして。それで「バナナの涙」も一緒に作りました。最初の月のリリースはこの2曲。

──the telephonesとのコラボは意外でした。

バンドの人とも一緒に作りたかったので。何の曲にする? って話のときに、最初「聖闘士星矢」をやりたいって意見が出て。「そっか」と思って一応「聖闘士星矢ー」って練習はしてみたんですけど、なんかあたし、歌いきれてないなと思って(笑)。

──かなりワイルドですもんね。

確かにフランス人はあの曲大好きなんですけど、でも自分が歌ってるイメージがどうも湧かなくて(笑)。それで私が良いなと思ってた「北斗の拳」の「TOUGH BOY」に。

──「もってけ!セーラーふく」はミトさん(クラムボン)とagraphさん(LAMA)のユニット、2 ANIMEny DJ'sが手がけています。これ通常のMEGさんだったら考えられない選曲ですよね。

これは、ミトさんとagraphくんにやってもらう!っていうのが先に決まってて、選曲の話をしてたらすごく盛り上がっちゃって、「あの曲いいかもね」「でもあれは原曲が良すぎるからちょっと……」「ああ確かに……」とかいろいろ盛り上がっちゃって(笑)。「とりあえずいったん持ち帰ってください」ってなって考えてもらったんです。

──あはは(笑)。

で、それで1~2週間考えてもらって、提案されたのがこの曲だったんで、だからもうきっとそうなんだ、と。あのお2人の思い入れもすごい曲だから、これはがんばらなきゃって思いましたね。すごく踊れる曲。歌うのは難しかったです。声優さんってすごいんだなって本当に思いました。

──選曲の外し具合が絶妙なんですよね。「Get Wild」じゃなく「Still Love Her(失われた風景)」、「愛をとりもどせ!!」じゃなく「TOUGH BOY」っていう(笑)。

そうなんですよ。

──うしろゆびさされ組も数ある名曲の中で「バナナの涙」を選んだという。

「ハイスクール!奇面組」は向こうでも昔から放送されてて、懐かしいなあと思ったので帰ってきて「奇面組ベスト」を買って、よく聴いてたんです。良い曲がいっぱいあって、「バナナの涙」と「渚の『……』」の2つですっごい悩んで、でもやっぱりこの曲のBメロからサビにかけてが神すぎる!と思って(笑)。そこが決め手でこれにしました。

モデルに徹するということ

──今回のアルバムでは、MEGさんがプロデューサーやフランス人の希望を受けて新たな一面を見せている、という印象を受けたんですが。

そうですね(笑)、「やってみました」って感じはあるかもしれない。チャレンジするきっかけをもらってるっていうか。

──それがこのアルバムのユニークなところだと思うんですよね。今までのMEGさんの作品には常にMEGさんの意思が強く入っていたし、それが作品を貫く芯になっていたわけですが、このアルバムはそこが少しゆるい気がして。

うん。アーティスト同士も楽しんで曲を作ってて、聴く人も楽しいもの。そういうのいいなと思って。

──結果的に、MEGさんのディスコグラフィの中ではすごく異色の作品になりました。

そうですね。ひと区切りの作品っていうか。「休みます」って言ってからのことが、なんらかの形にまとまって良かったなって思います。

──夏休みの自由研究発表みたいな感じですかね。

そういう感じかも(笑)。だからスタチャさんが声かけてくれなかったらそのまま発表してなかったかもしれない。

──今まで歌ってきたカバー曲とも違いますよね。

そうですね、写真撮影に例えると、今までは自分がこういうふうに写真に写りたいからこういうシチュエーションやヘアメイクを用意してほしいって言って、照明の固さまで指定して、みたいな感じだったんですけど、今回はスタジオに入った段階でもうセットが決まってるというか。この中でどういうポーズでどういうキャラでいきますか?っていうところでの勝負っていう感じかな。スタジオのシチュエーションに自分を合わせていく。それを楽しむみたいな。

──じゃあ今まではカメラマンでありディレクターだったんだけど……。

今回はモデルに徹してみたっていう。それが面白かった。

次回作の構想

──次の作品も気になるんですが、このアルバムを聴いても次作がどんなものになるのか、ちょっと予想がつかないですよね。

わからないですよねー。 次のシングルがどんな感じでくるのか。あまり予測されるの好きじゃないんで、そういうのがいいなと思って。予想できない、MEGっていうプロジェクト自体も楽しんでもらえたらって思ってます。

──でもしばらくは国内でコンスタントに音楽活動を続けていくんですよね。

はい。行き来する中で改めて日本の良さに気付いた部分もたくさんあるので、しばらく日本にいるつもりです。やっぱり日本、お米メニューあるし大好きです。

ニューアルバム「LA JAPONAISE」2012年4月25日発売 2500円(税込)STAR CHILD KICS-1763

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CD収録曲
  1. DISCOTHEQUE」(“ロザリオとバンパイア”)水樹奈々 Produced by 田中ユウスケ
  2. BELIEVE」(“ONE PIECE”)Folder 5 Produced by THE LOWBROWS
  3. TOUGH BOY」(“北斗の拳 2”)TOM★CAT Produced by the telephones
  4. wind」(“NARUTO –ナルト–”)Akeboshi Produced by The Shanghai Restoration Project
  5. バナナの涙」(“ハイスクール!奇面組”)うしろゆびさされ組 Produced by 田中ユウスケ
  6. もってけ!セーラーふく」(“らき☆すた”)泉こなた(平野綾)、柊かがみ(加藤英美里)、柊つかさ(福原香織)、高良みゆき(遠藤綾)Produced by 2 ANIMEny DJs (ミト from クラムボン&牛尾憲輔 a.k.a. agraph from LAMA)
  7. Still Love Her(失われた風景)」(“CITY HUNTER 2”)TM NETWORK Produced by 小室哲哉
  8. VOLEVO UN GATTO NERO」(“ノラゲキ!”)Produced by 中田ヤスタカ(capsule)
  9. ルージュの伝言」(“魔女の宅急便”)荒井由実 Produced by 小西康陽
  10. [ボーナストラック]
    Comment te dire adieu」Françoise Hardy Produced by 曽我部恵一
MEG(めぐ)

MEG

2002年7月にシングル「スキャンティブルース」でメジャーデビュー。2007年からは中田ヤスタカ(capsule)をプロデューサーに迎えて音楽制作を行い、アルバム「BEAM」「STEP」「BEAUTIFUL」はiTunes Store総合アルバムチャート連続1位を獲得する。多くのファンの支持を集める中、2010年9月にリリースしたベストアルバム「BEST FLIGHT」と、同年10月のライブを最後に国内での音楽活動を休止。その後は「JAPAN EXPO Paris」に出演するなどフランスを中心に活躍した。2012年より国内での活動を再開し、4月25日にコンセプトアルバム「LA JAPONAISE」をリリースしたばかり。6月23日には、東京・SHIBUYA-AXにてスペシャルライブパーティを開催する。音楽以外にもファッションブランド「CAROLINA GLASER」のメインデザイナー、コスメブランド「baw」のディレクターを務め、モデルとしても多くの雑誌の表紙を飾るなど、東京カルチャーの代表的なファッションアイコンとして多方面に活躍中。