トライが多かった2ndミニアルバム「7」
──さて、ここからは2ndミニアルバム「7」について、お話を伺っていきます。前作「GO」同様、シンプルで潔いタイトルですね。
AYATOMO そうですね(笑)。「GO」のときも5枚目のCDということにかけていたんですけど、今回もメンバー7人、7曲入りということでタイトルは「7」にしましょうと、けっこう早い段階で決まりました。
──かなり挑戦的な内容で、聴いた皆さんは驚くんじゃないかと思います。その要因の1つが、1曲目の「7Seas」やリード曲の「Carry on」、「ハッピーエンド」といった日本語詞を大々的に取り入れた楽曲が収録されていること。前作「GO」に収録された「Daydream Believer」でもThe Monkeesの原曲に、一部だけTHE TIMESがカバーした日本語バージョンの歌詞を採用していましたが、今思うとあれが布石だったのかなと思っていて。
SAKI 違和感なかったですか?
──まったくなかったです。メロディやサウンドの持つキャッチーさと相まって、日本語のメッセージがよりストレートに響いてきて。英詞とはまた違った楽しさがあって、よりバラエティ豊かに感じられました。
SAKI よかった……ホッとしました。
──実際、今作では楽曲自体の幅もだいぶ広がりましたよね。前作のインタビューでは、皆さんがたくさん曲を持ち寄って「すごい量の曲とさよならした」とおっしゃっていましたが、今回の制作においても同じような手法だったんですか?
MIKI ツアー中の昨年6月から曲作りを始めて。1カ月の間に集まった曲を事務所の社長と一緒に聴いて、そこからよさそうなものを選んでいくことを毎月繰り返していたんですけど、今回もボツになった曲はめちゃくちゃありましたよ(笑)。
AYATOMO なので、スタイル的にはそんなに変わらないんですけど、今回は3人の楽曲がほぼ均等に採用されまして。それによって、今までの作品よりもさらに個々の色が出た曲が並んでいますし、それぞれが得意とすることやトリプルボーカルバンドとしての特色がより前に出た作品になったのかなと思います。
SAKI 個人的には、今回は新たにトライしたことが多かったですね。日本語詞はもちろん、それ以外にもMIKIちゃんと共作をしたりAYATOMOが作った曲を一緒にアレンジしたりして。ほかの人の力を借りて曲を生み出すことができたときに、私が1人で作った「ハッピーエンド」とはまた違った色を付けることができたり、自分1人だったら引き出せなかった部分を発見することができたり。すごく楽しかったですね。そんなに苦しいという感覚もなかったですし。
アニメの主題歌みたいな「7Seas」
──今作はせっかくバラエティ豊かな楽曲が並んでいるので、1曲ずつ皆さんに解説していただけたらと思います。まずは、オープニングを飾る「7Seas」について。
AYATOMO これは僕が作りました。曲作りのとき、SAKIがお題を出してくることがよくあって、これに関しては「アニメの主題歌みたいなイメージで作ってみたら、どんな曲できるかな」というお題で。そもそも、今回の作品のタイトルが「7」になることが先に決まっていたので、「メンバー7人の冒険がここから始まる」みたいな曲をイメージしたら、僕の中でまず「7つの海」というキーワードが浮かんできたんです。なので、そんなに苦しまずにサッと書けた1曲かもしれません。
MIKI デモが送られてきたときは「おっ!」って思ったよね。
SAKI そうそう、「これはきたな!」と思ったし、ホーンアレンジもすぐに思いつきましたもん。それくらい、やりたいことや伝えたいことがダイレクトに伝わってきましたね。
──歌詞に関しても、英詞中心の中に「いつか越えたい海の方へ」や「そうさいつかの声の方へ」といった日本語のフレーズが含まれていて、すごくインパクトがあります。
AYATOMO アニメのオープニングっぽさをイメージしたときに出てきたフレーズだったので、これはこのままでいいのかなと思って、そのまま採用してみました。だって、この1節だけでもMAYSON's PARTYがどんなバンドなのか、どこを目指しているのかが伝わってきますから。僕としては、オリジナル曲で初めての日本語詞がこの曲でよかったなと思っています。
「Warped Tour」へのリスペクトを込めた「WARPED」
──続いては「WARPED」。この曲はタイトルや歌詞にニヤリとしてしまいました。
MIKI わかってもらえてうれしいです(笑)。これは俺とSAKIちゃんで作った楽曲で、歌詞を読んでいただくとおわかりのように、ちょっとしたギミックが用意されていて。自分が影響を受けた海外のバンド名が歌詞に含まれているんです。
──楽曲タイトルも、それらのバンドが出演していたアメリカのパンクロックフェス「Warped Tour」にちなんだものですもんね。
MIKI そうです。この曲を作るとき、まずどんなサウンドがいいのか、どんな歌詞のテーマがいいのかを話し合った結果、自分たちの世代が2000年代から2010年代ぐらいの「Warped Tour」に出ていたバンドにすごく影響を受けていることを曲の中で表現したいなと思ったんですね。で、今回のレコーディングでもそういうサウンドをイメージして作ってみようとして、そこにプラスアルファでリスペクトの気持ちを込めたいなと考えたときに、よく歌詞の中に好きなアーティストの名前を入れるバンドがいるなとふと思い出して。でも、ただバンド名を歌詞に入れるって普通すぎるなと思って、SAKIちゃんに相談したら「そのバンド名自体を歌詞の意味として捉えられるものを作ったら、めちゃくちゃ面白いんじゃないか」と提案してくれました。
──「Warped Tour」には、SAKIさんがかつて在籍していたORESKABAND(当時はオレスカバンド)も参加経験がありますよね。
MIKI そうなんです。なので、彼女が現地で味わったリアルな感覚を参考にしつつ、「どのバンド名だったら、歌詞の意味としても通用するように入れられるだろう」といろいろ試行錯誤して歌詞にハメていきました。今ってサブスクを通じて自分の思い通りに、いくらでもプレイリストを作れますけど、「Warped Tour」に出演していたようなバンドを聴いていた10代、20代の頃って基本音楽を聴く媒体はCDだったじゃないですか。それって、自宅のCDラックが自分にとってのプレイリストみたいなものだったわけで、そういうちょっと古臭いけど大切なものをここに集約して載せてみたらこうなりました。
SAKI この曲に関しては「わかる人がわかってくれたらいいな」という気持ちで作ったので、個人的にもひたすら楽しかったです。英語に翻訳してくれた私の友達も、めちゃくちゃ楽しみながらやってくれましたし、逆に「こうしたほうがいいんちゃう?」みたいなアドバイスもくれたくらいで。本当はほかにもいろいろ入れたかったんですが、My Chemical Romanceを入れることが難しくて断念しました(笑)。
不安や暗さも内包した「Shining light」
──3曲目は「Shining light」です。
MIKI 僕はポップパンクとかエモ、スクリーモのサウンド感やテイストがすごく好きなので、そういう側面を強く打ち出したいと思って作った曲です。歌詞に関しては冒険感を表現したいなと思ったんですが、ただストレートに「夢あるぜ、叶えようぜ」って歌うだけだとちょっと違うような気がして。それよりは苦労とか挫折とか不安みたいなものもちゃんと書きたかったし、そこも含めて本当の意味での冒険じゃないですか。なので、AメロやBメロでちょっと不安な心境や暗い要素を表現して、サビで光が差すことで目標に向かっていける、そういう形で冒険を体現したかった。何か目標を持っている人の背中を押せるような楽曲にしたかったし、未来があまり見えていない人にとっては光が見えるような楽曲になればいいなという思いで、作らせていただきました。あと、SAKIちゃんにホーンのフレーズを考えてもらうときに、僕からは「希望や光のある楽曲にしたいので、冒険のあるサウンドがいいな」と伝えていて。もしかしたらわかってくれる人もいるかもしれないですけど、ホーンソロが「ドラゴンクエスト」と「ファイナルファンタジー」をモチーフにしたメロディになっているんです。
SAKI ドラクエとかFFは少年心をくすぐってきた2大作品なので、希望や光や冒険と言ったらやっぱりこれだなと(笑)。なので、メロディラインをいろいろ研究しつつ、「こっちに行ったらドラクエっぽいし、こっちに行ったらFFっぽいな」みたいなことを言いながら作りました。ただ、これもさっきの話につながるんですが、私1人で曲を作っていたらこういうアイデアもフレーズも絶対に出てこないんですよ。
MIKI このバンドはソングライターが3人いるので、お互いに意見を伝えることで新たなヒントが得られて、その楽曲の新たな魅力を発見することができるんです。そこは大きな武器だと思います。
おもちゃ系ロックンロールチューン「Dancing for my Generation」
──続いては、4曲目の「Dancing for my Generation」。
AYATOMO これは僕が書きました。「Apple Orange Banana (A.O.B)」(2nd EP「3-SUN-」収録曲)とか、こういう遊び要素の強い曲は過去にもあって、僕の中で“おもちゃ系”と呼んでいる曲の1つです。今回はまず、冒頭のフレーズが最初にできて、そこから何回バージョン作ったかわからなくなるぐらいまでこねくり回したんですよ。で、最終的にその冒頭のフレーズだけが残ったところ、SAKIが「それをひたすら繰り返しちゃえば?」と言ってくれて。そこからSAKIがいろいろアレンジを加えていく中で、初期パンク感とかロックンロール感が自分のイメージにばっちりハマったんです。ロケットに乗って宇宙に行って、宇宙人と遊んで帰ってくる、みたいな雰囲気があるじゃないですか。
MIKI これぞAYATOMOワールドが色濃く表れた曲ですね。
AYATOMO まあ、最終的には夢オチなんですけど(笑)。そういう楽しい感じを求めた、遊び心満載の1曲です。
SAKI レコーディング中も、ギターソロとかすごく楽しそうに弾いてたよね。
AYATOMO ある意味、手癖だけで弾いたソロなんだけど。チャック・ベリーに降臨していただきました(笑)。そう考えると、ちょっと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」感もあるのかな。
──クライマックスのプロムパーティで、マイケル・J・フォックス演じるマーティがギターソロを弾くシーンのイメージですよね。
AYATOMO まさにそれです!
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日本語詞を大きくフィーチャー「ハッピーエンド」





