マキシマム ザ ホルモン「Dhurha Vs Dhurha~ヅラ対ヅラ~」特集|人気インフルエンサー3人がホルモンの作品のうま味を好き勝手にダべりんぐ(死語)!!! (2/2)

「祟り君」のカバーがいい

餓鬼Иちょ 僕が1つ推したいのが「祟り君」のカバー。「京都大作戦」で収録された映像なんですが、SUPER BEAVERの渋谷(龍太)さんと、THE ORAL CIGARETTESの山中(拓也)さん、それに10-FEETのTAKUMAさんと、そうそうたる面々が「祟り君」をカバーしているので、3バンドのファンにも観てもらいたいくらいです。

餓鬼Иちょ

餓鬼Иちょ

──ホルモンの出番でほかのバンドのボーカルが歌うというのがまず珍しいですよね。

餓鬼Иちょ 「京都大作戦」はもちろんフェスなので、バンドごとの出番の尺って決まっていて。その中の限られた尺をけっこう使ってるんですよ(笑)。ホルモン以外だったら普通にクレームになりますよ(笑)。「ホルモン聴きに来てるのに」って。でもホルモンはほかのアーティストを巻き込みながらちゃんとエンタメとして成立させていて、さらにそこに見応えがある。そこがすごくて。

「俺ならこう歌う!!祟り君-京都大作戦 SP-」に登場する渋谷龍太(SUPER BEAVER)、TAKUMA(10-FEET)、山中拓也(THE ORAL CIGARETTES)。

「俺ならこう歌う!!祟り君-京都大作戦 SP-」に登場する渋谷龍太(SUPER BEAVER)、TAKUMA(10-FEET)、山中拓也(THE ORAL CIGARETTES)。

ロキ中 僕はホルモンがお客さん1組だけのためにライブをする映像を観れたのがよかったです。

──個室・対面独占ライブドキュメント「TOKYO NEO SOCIAL DISTANCE~潮吹~」ですね。八王子のスタジオで、1組のお客さんだけを招いてホルモンがライブを行うという内容で、合計3組、中には客席には1人だけという組もあって、スペシャルな企画でした。

ロキ中 バンドと1対1で向き合う瞬間なんてないじゃないですか(笑)。ほかのバンドだったらあり得ない企画だよなって。

ドズル 先ほど新型コロナウイルスの話も出ましたけど、ホルモンのライブは「コロナ禍だから仕方ない」じゃないんですよね。密の状態がダメなら、お客さんと1対1でライブするなんて、そんな発想普通はしない。あそこに呼ばれたら一生の思い出になるだろうなあ。

「TOKYO NEO SOCIAL DISTANCE~潮吹~」の様子。

「TOKYO NEO SOCIAL DISTANCE~潮吹~」の様子。

餓鬼Иちょ うらやましいけど、もし観客に選ばれたら困っちゃうかも(笑)。どうしていいかわからなくて。

ロキ中 ホルモンって生産性を考えていないところがすごいんですよね。ひたすら、コッテリにこだわっているというか。音楽的なフォロワーだけじゃなくてこういうエンタメに惹かれているフォロワーもたくさんいる。

──「京都大作戦」の映像のみならず、いろんなアーティストが関わっているのも今作の魅力だと思います。チバユウスケ(The Birthday)さんが歌う「祟り君」も収録されているし、隠しコンテンツでは向井秀徳さんの「祟り君」も……。皆さん、向井さんの映像はご覧になりましたか? せっかくなので、今改めて見てみましょうか。

チバユウスケ

チバユウスケ

向井秀徳

向井秀徳

一同 (向井秀徳の「祟り君」を視聴して)おお~。

餓鬼Иちょ 最後、向井さん「ちょっと、わからん」とかおっしゃってますが、これはOKテイクなんですよね?(笑)

ロキ中 (笑)。向井さん含め、みんなそれぞれの味が出てますよね。ほかのアーティストを巻き込んだ企画で言うと、「ホルモンの新曲俺ならこう歌う選手権!!」も大好きで。もとはホルモンのYouTube番組「ガチンコ ザ ホルモン2」の企画でホルモンの新曲のオケと歌詞だけを渡されたアーティストが、好きにメロディを付けて歌ってみるというものがあって、ミスチルの桜井(和寿)さんとか、GLAYのTERUさんとか奥田民生さんとか、そうそうたる方が参加してたんです。今回はそれへのアンサー企画というか、各アーティストが付けたメロディをホルモンメンバーがそのメロディで歌い返すというもの。亮君のヤバT(ヤバイTシャツ屋さん)のカバーはすごすぎて、夜中に思わず声を出しそうになっちゃいました。

圧倒的エンタメ力

ドズル 今までの話の中にもたくさん出てきましたが、僕が魅力と捉えているのはホルモンの圧倒的なエンタメ力。いつもすごいなあと思っています。

ドズル

ドズル

餓鬼Иちょ ライブに限らないのがすごいところだよね。

ドズル 今作の中でも4月のライブに少しだけ映っていた人が、6月の生配信に乗り込んできたり、逆に6月の生配信でちょっとだけ雑談していた内容が実は4月のライブに反映されていたりして、タイムスリップを示唆しているとか、そんなのちゃんと計算していないと絶対に不可能じゃないですか。ライブ映像の本編にはダイスケはん(キャーキャーうるさい方)が未来から新聞を持ち帰ってしまったことでタイムパラドックスが起きる、という設定があるんですが、生配信のときに新聞の日付を見せていたり、その前の4月のライブのときにちゃんと新聞を持っていたり……。ちょっと引っかかるシーンがあとでつながるみたいな伏線が、追いかけていて面白いですよね。

餓鬼Иちょ どこまでが仕込みでどこからが仕込みじゃないか、僕らでは全然判断できないですからね(笑)。

──「面面面」というライブイベントでは「乙女組」のほかにもいろいろなカテゴリーのお客さんがMCでもピックアップされてました。中でも、「おしっこちゃん」(愛すべきおバカさん)という枠が用意されていて、このおしっこちゃんの1人に、スポットが当たるんですよね。それで、そのおしっこちゃんが「タイムパトロール隊」だと名乗りだして、なにやらメンバーに怒り出す。それが仕込みなのかどうか、観ている側からは全然わからない。

餓鬼Иちょ ライブ本編終わりで、そのおしっこちゃんが客席から走ってステージ駆け上がって、舞台袖までメンバーを追いかけていっちゃう。その場にいたお客さん、みんな「え?」って感じになってた(笑)。

ライブ中に「タイムパトロール隊」だと名乗り出た“おしっこちゃん”。

ライブ中に「タイムパトロール隊」だと名乗り出た“おしっこちゃん”。

ロキ中 仕込みかどうかはわからないけどあのときのほかのお客さんの反応よかったですよね(笑)。すごくリアルで。

ドズル 仕込みだとしてどこまで説明されているのかもわからないし。そういう裏側まで気になるのもホルモンのライブの魅力だと思います。

おかわりしたくなるような余韻

ロキ中 僕が1つ推したいのが「おかわりしたくなるような余韻の残し方」です。メインコンテンツである「面面面」のエンディングが流れたあとにアニメーションが流れて、何か続きがある、何かの伏線になっているような終わり方をするんですよね。そこまでで十分満足感があるのに、最後にもう1つ仕掛けがある。そこからどう展開するかを探させたり、考えさせたりするのがすごくうまいんですよね。

ロッキン・ライフの中の人

ロッキン・ライフの中の人

餓鬼Иちょ Blu-rayだけじゃなくて、マンガにクロスオーバーしていくのもすごい。ちゃんとマンガを読まないと作品のすべては味わえないし、マンガをちゃんと理解しようとしたら今度はDVDが必要になったり……。そのスケール感がすごい。

──「Dhurha Vs Dhurha」に封入されている先行入場QRコードから、スペシャルWebマンガ「さようなら亮君。」を読むことができて、どうやら、その「面面面」のエンディングとストーリーがつながっているようなんですよね。現在は一般にも公開されていて、商品を買ってない人も読むことができます(現在第4話まで公開中)。

ロキ中 縦スクロールのマンガで、読みやすいしおもしろかったな。

現在は購入者以外でも読めるWebマンガ「さようなら亮君。」告知画像。

現在は購入者以外でも読めるWebマンガ「さようなら亮君。」告知画像。

餓鬼Иちょ おまけが本当にすごいんですよね。

ロキ中 僕がフリップに書いた「至るところに宿るユーモアの数々」というのに通じるところがあって、本来ホルモンってカッコいいだけでも成立させられるポテンシャルを持ったバンドなんですよ。でも亮君のあふれ出るユーモアがあるから、カッコいいだけじゃなくて、いろんな観点からコンテンツを盛り込んで1つの映像作品に仕上げている。これはホルモンにしかできないことだと感じています。

餓鬼Иちょ 亮君はどういうタイミングでコンテンツを思い付いているんだろう。普段から何考えて生きてるのか全然わからない(笑)。

ロキ中 この思い付きを形にしていく周りのチームもすごいと思います。亮君1人ではできないことをどんどん実現していくわけですから。

餓鬼Иちょ 逆に言うと「こんな思い付き、周りの人はなんで止めないんだろう」みたいなこともありますけどね(笑)

カッコよくなきゃ成立してない

──本日は好き勝手に“ダべりんぐ”していただきましたが、いかがでしたか?

餓鬼Иちょ 本当にダベっただけだったので、大丈夫だったか不安です(笑)。

ドズル うん。僕も好きなことを話しただけなので心配になってきちゃった。

ロキ中 でも楽しかったですね。視点が違うので皆さんの話を聞いているとまた観たくなった部分もありますし。自分が感じていた魅力も話していてよりクリアになった感じがあって。改めてホルモンっていいバンドだなと思いました。

──最後に皆さんが感じるマキシマム ザ ホルモンの魅力を教えてください。

ドズル ホルモンの音楽も大好きでありつつ、配信やライブを観ていても楽しめるし、ただ観るだけじゃなくてちょっとめんどくさいゲームをやらせたり(笑)、体験を提供してくれるバンドなので、すごいエンターテイナーだなと。周りを巻き込む力がすごいので、僕らも一緒に楽しませてもらっていますし、唯一無二の存在だと思っています。

ロキ中 普段使わないところの脳を活性化させてくれるような魅力があるんですよね。左脳を使ってると思ったら右脳を刺激してきたり、右脳の中でも普段は全然刺激されてない部分をつついてきたりして。ユーモアがあるからこそだと思うし、ほかのバンドにはない発想力がホルモンの魅力ですね。

餓鬼Иちょ そもそも曲がカッコいいからこのエンタメが成立していると思うんです。アーティストとしてカッコよくなかったら、ほかのことばかりがんばってても「本業をがんばれよ」ってなっちゃうから。だから「ホルモンはやっぱりカッコいいバンドなんだ」というのが、すべての根底にあるような気がしています。

左から餓鬼Иちょ、ロッキン・ライフの中の人、ドズル。

左から餓鬼Иちょ、ロッキン・ライフの中の人、ドズル。

プロフィール

マキシマム ザ ホルモン

1998年八王子にて結成された、マキシマムザ亮君(歌と6弦と弟)、ダイスケはん(キャーキャーうるさい方)、上ちゃん(4弦)、ナヲ(ドラムと女声と姉)の4人からなるロックバンド。日本語を独自の語感表現で操り、意味不明に見えて実は奥深いメッセージ性を持つ強烈な歌詞と、激しいラウドロックにポップなメロディを融合させたサウンドスタイルが特徴。2013年発売のアルバム「予襲復讐」はオリコンアルバムチャート3週連続1位を獲得し、40万枚を超えるセールスを記録。2022年1月に、累計40万本を突破するホルモン映像作品「D対D」シリーズの最新作「Dhurha Vs Dhurha~ヅラ対ヅラ~」をリリースした。

※記事初出時より本文を一部変更しました。

2022年8月25日更新