ナタリー PowerPush - マキシマム ザ ホルモン

6年ぶり5thアルバム「予襲復讐」マキシマムザ亮君メールインタビュー

マキシマム ザ ホルモンが2007年発売の4thアルバム「ぶっ生き返す」以来、実に6年ぶりのニューアルバム「予襲復讐」を7月31日にリリースする。ナタリーではメンバーのマキシマムザ亮君(歌と6弦と弟)にメールインタビューを実施。こちらが投げかけた7つの質問に対し、亮君はアルバムを完成させた現在考えていることを交えながら答えてくれた。このテキストを通じて、待望の新作「予襲復讐」の魅力をたっぷり感じてほしい。

質問作成 / ヤコウリュウジ 構成 / 西廣智一

 
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今作はなんと言っても1曲目の「予襲復讐」に尽きるはず。自分の核をさらけ出す、まさに私小説的な歌であり、濃厚な凄味が煮詰まっていると感じました。ここまで歌う意味、そして亮君の“中学パワー”をとことん吐き出せた一番のキッカケはどういったことですか? また、煮詰まり過ぎた結果、逆に伝わらないんじゃないかということは考えませんでしたか?

ジョジョ(漫画「ジョジョの奇妙な冒険」)の話をします。“スタンドの強さはそれを操る人間の心の強さ”と言いますが、ひょっとすると音楽にも同じ事が言えるかも知れない。では、マキシマム ザ ホルモンのロックもそうなのだろうか? 否、それは逆なのです。心の強さなどではなく、グジュグジュとした僕の“心の弱い”部分こそがホルモンの音楽の“強さ”の元になっているのだと信じています。いや、そうでなくてはならない。例えば恐喝をする人間とカツアゲをされた人間、この両者が音を鳴らした時どちらがロックか? 後者であるべきなんです。だから、中学生の時から34歳の現在に至るまで、ずっと僕の心の中にたまりにたまった様々なあの感情を今こそ音楽と融合させてロックの爆弾を作ってやろう。これこそが俺の武器。人に恋をした時の感情や、愛する者への感謝の気持ち、そういったパワーを音楽に融合させるミュージシャンは多いだろうが、俺がつくるロックという爆弾にはそんなもの混ぜたくないんです。「煮詰まり過ぎた結果、逆に伝わらないんじゃないか?」と言う質問に対してですが、感情という煮物が煮詰まりすぎてドロドロに溶けて、食べた人がなんの具が入ってたかわからない状況になっているという事だとするなら、うん、そんなの喰ったらめっちゃ旨いに決まってる(笑)。きちんと味わって食べれば何の味かは絶対にすぐわかるし、それを旨いと思わないヤツがいてももうどうでもいいですよ。焦がしてにがくて食えない状態の曲になったとは思ってないし、食べやすいレトルトのインスタントなんかには負けない自信のものが出来たと思ってます。牛でも豚でも鳥でもない、俺の肉こそが一番旨い! 喰え! これがロックに僕の中学パワーと私怨を込めた一番の理由かもしれません。

1曲目の「予襲復讐」について、歌詞中に“帰る”や“許す”といった言葉があり、ある種の悟りや諦めとでもいいますか、ご自身の思いにピリオドを打つような印象も受けましたが、そのあたりについては?

何をもって復讐は果たされるか? 相手を負かす事? 相手を殺すこと? 僕は殺す事より実は“許す”ことの方が何倍も難しい事だと思います。ただし、この曲の“許す”というのは、仲直り的なハッピーエンドの事を言ってる訳では決してなく、相手の首を切らず、あえてトドメを刺さないまま前へ進むことがネクストステージなのではないだろうか?という僕の出した答えです。自分の中で存在し苦しめつづける亡霊を、跡形もなく消し去り昇天させずとも、「もうお前など屁でもないわ」と言い切れる強き精神を持ってはじめて自分の中の復讐が終わる気がするのです。ただ、怒るべきものには今後も怒り続けて生きていく事は変わらないですし、悟りを開いた器の大きい人間を目指している訳でもなく、ちんけな小さい器のままでいいんです。そんな自分の小さな器にビックリマンシールのヘッド貼ってキラキラさせていれば勝ちなんです。それがステイゴールド! あ、人の曲だった(笑)。

昨今、日本のミュージシャンが政治的な立ち位置をはっきりとしたり、自らの意思表明をすることが増えたように思います。今作にも「F」や「え・い・り・あ・ん」のようにポリティカルな側面を持つ曲が収録されていますが、ホルモンがそういった曲を歌う意味はどういったところにあると思いますか?

僕らが高校生のガキの頃に、洋楽のアーティストの歌詞の和訳を読んだり、CDについてきた解説を読んだり、インタビュー記事を読んだりしたとき、「この曲ってこんな政治的なメッセージがあったんだ」と気づかされることがたくさんあって。海外ではこういう時代背景があって、こういう問題があって、こういう怒りがあって、といったようにロックを通してストリートからの社会に対する声を知るきっかけにもなったんです。そういうものがロックの本質でもあるわけですし、少なからず今の日本で僕らだってそういった意思表明は持っているわけです。ただ、僕は正直言うと直接的な表現で自分の音楽に融合させるのは苦手なんです。どんな形で音楽にするかは、こればかりは俺の自由なんですよ(笑)。“愛してる”や“アイラブユー”という言葉が入ってないラブソングだってこの世にたくさんありますよ。伝わらなくちゃ意味がないって言う意見もあるかもしれませんが、歌詞の意味を吟味してもらえば理解してもらえると信じてやっています。

フリーザやコナミワイワイワールドといったように、亮君と同世代が特に引っかかるフレーズがありますが、一部の世代へ強烈に突き刺さるワードトピックを入れるのは、自らの実際の半生をさらけ出すことによって、より生々しさを伝えてる証なのかと感じました。そういったキーワードを選ぶ意味や基準を教えてください。

深くは考えてはないですね。ただ純粋に自然と出てきてしまうわけです。僕はキン肉マン世代でもあるんですが、“超人パワー”って表現よりもドラゴンボールの“戦闘力”って表現の方がドンピシャだったり。ポケモンよりもやっぱりビックリマンだった訳で。でも、逆に若い世代や上の世代が自分の分からない話題をしていてジェネレーションギャップを感じる時の不快感も僕は知っているので、一部の世代だけしか通用しない表現は本当は避けたほうがいいって気持ちもあるんです。でも、どうしても出てしまいます(笑)。そこは歌詞を通して同世代をクスッとさせたい“同胞探し”の表れなのかもしれません。

ニューアルバム「予襲復讐」 / 2013年7月31日発売 / [CD+書籍] / 2889円(定価)“ツバ吐き価格” / VAP / VPCC-81770
ニューアルバム「予襲復讐」ジャケット(帯付きイメージ)
収録曲
  1. 予襲復讐
  2. 鬱くしきOP~月の爆撃機~
  3. 鬱くしき人々のうた
  4. 便所サンダルダンス
  5. 中2 ザ ビーム
  6. 「F」
  7. 爪爪爪
  8. ロックお礼参り
    ~3コードでおまえフルボッコ~
  9. アンビリーバボー!
    ~スヲミンツ ホケレイロ ミフエホ~
  10. え・い・り・あ・ん
  11. my girl
  12. メス豚のケツにビンタ(キックも)
  13. ビューティー殺シアム
  14. maximum the hormone
  15. 恋のスペルマ
マキシマム ザ ホルモン

1998年八王子にて結成。日本語を独自の語感表現で操り、意味不明に見えて実は奥深いメッセージ性を持つ強烈な歌詞と、激しいラウドロックにポップなメロディを融合させたサウンドスタイルが特徴で、マキシマムザ亮君(歌と6弦と弟)、ダイスケはん(キャーキャーうるさい方)、上ちゃん(4弦)、ナヲ(ドラムと女声と姉)の4人からなるロックバンド。2011年3月にリリースしたトリプルA面シングル「グレイテスト・ザ・ヒッツ 2011~2011」はオリコン週間ランキングで2週連続の1位を獲得(同年9月をもって廃盤)。6月にはフランス最大のメタルフェス「HELLFEST」へ出演し、自身がヘッドライナーとなるヨーロッパツアーを全会場ソールドアウトさせるなど海外からの評価も高い。「SUMMER SONIC 2011」ではRED HOT CHILI PEPPERS、X JAPANらと並びメインステージに出演し3万人を魅了。2012年は「矢沢永吉デビュー40周年イベント ‐BLUE SKY」や東北で開催されたHi-STANDARD主催「AIR JAM 2012」などの国内FESに多数出演している。2013年5月にはオジー・オズボーン主催の「Ozzfest Japan 2013」でBLACK SABBATH、SLIPKNOT、TOOLらと共演。