ナタリー PowerPush - 摩天楼オペラ

“合唱”から“劇的ロック”へ 解体から生まれた新たなスタイル

初期と現在のいいところをそれぞれ抽出したプレイ

──演奏面においてこだわったポイントはありますか?

Anzi 苑がいつも曲を持ってくるときは、まずコードとメロディとテンポ感が決まっていて、それをバンドでアレンジしていくパターンなんです。「隣に座る太陽」はすごくフックが効いたコード進行で、摩天楼オペラで今まで使ったことがないコードで構成されたセクションも含まれてるんですよ。最初に聴いたときに「このコード進行なら、こういうリフでバッキングを刻みたい」ってパッと思い付いて、それをそのまま当てはめただけなので、特にこだわりが……という感じはなくて。苑が持ってきた原曲の時点でかなりこだわりの強いものだったので、僕らはそれに従っただけなんです。

燿(B)

──そうなんですね。恐らくその「フックが効いたコード進行」の部分だと思うんですけど、ベースラインがかなり面白いフレーズですよね。

 僕はベースラインを作るとき、歌メロからイメージがパッと浮かぶことが多いんですよ。で、とりあえずそれを弾いてみて、うるさいなと思ったらどんどん音数を削っていくんです。でも「Orb」以降は好きなことをどんどん詰め込もうという流れがあって、実は今回は削る音をいつもより減らしていて。歌メロに絡むような、メロディアスなベースラインになってると思います。

──ドラムについてはいかがですか?

 さっき苑が「初期の頃にあったガツガツ感をちょっと思い出してみたらどうかな?」と言ってましたが、僕はドラムのアレンジにそのガツガツ感を反映させてます。「隣に座る太陽」はBPMが212もあってなかなかのスピード感なんですけど、初期の摩天楼オペラにはこのくらいのBPMの曲がけっこうあって。今だったらこういうタイプの曲は8分で叩くことが多いのに昔は無理やり16分で叩いてたなとか、そういうことを思い出しながら叩いてみました。あと僕はフィルインをあまり詰めこまないプレイスタイルなんですけど、今回は自発的に多めに入れてるんです。言うなれば「初期の摩天楼オペラ」と「2014年の摩天楼オペラ」のいいところを、それぞれ抽出したプレイというか。

彩雨 キーボードも、以前だったらサビはできるだけ歌が前にでるように控えめに弾いてたんですけど、今回はディレクターから「もっとたくさん音を詰め込んでいいよ」と言われて。普段だったらここまで細かく弾かないなっていうフレーズを随所に散りばめていて、悪い言い方をすればゴチャッとした仕上がりかもしれないけど、全体を通して聴いたときに「これはこれでアリだな」と思いました。むしろ半年前だったらここまでやってなかったかもしれないですね。

CDならではの見せ方はまだたくさんあると思う

──さっきAnziさんがおっしゃいましたが、今回はビジュアル面もかなりインパクトがあるものになりましたね。苑さんの衣装もそうですし、アーティスト写真の色使い含め今までにない、インパクトが強いものになったというか。

 完全にインパクト重視ですもんね(笑)。今回は自分たちの発案ではなくてアートディレクターの方からの発信だからこそ、幅が広がったかなと。ほかの方の意見に100%沿ってやってみるのも面白かったですよ。こういう写真は自分たちの中からは絶対に出てこないものだから、すごくいい経験になりました。

彩雨 白や黒以外の色を取り入れたのも初めてというか。ソロショットの色合いも1人ひとり違うものなんですけど、僕たちは当日まで自分が何色になるか知らないで撮影に臨んだんです。

Anzi(G)

──Anziさんは自分が青いジャケットを着ることも、現場に行くまで知らなかったんですか?

Anzi ジャケットは事前に何回かやり取りする中で決まっていたんです。でも、そこにピンクのライティングが当たるのは撮影当日まで知りませんでしたけど(笑)。

──シングルのアートワークも、アーティスト写真と共通する色使いですし。

Anzi そうですね。実はこのシングル、ジャケットが特殊な仕様でして……ジャケットの真ん中がくり抜かれていて、そこにいくつもの絵が重なったものがジャケットになってるんです。

 あ、今初めて現物を見た!

──このジャケット、かなり凝ってますね。

Anzi しかもCDの盤面も、曲のデータが入ってない部分が透明なんですよ。

 最近あんまりこういうディスク、見ないよね。これはぜひCDを買って、手に取ってほしいですね。

Anzi 最近はCDが売れないっていろんなアーティストやCDショップの方が言ってますよね。しかもインターネットを通じてデータで音楽が買えちゃう時代だし、CDの特別感っていうものが薄れてる気がしていて。でも、こうやって手にする喜びを感じてもらえるデザインとか、CDならではの見せ方はまだたくさんあると思うんです。なのでこれを読んで気になった人は、ぜひ一度現物を見てほしいですね。

次のアルバムではロックの自由さを前面に

──このシングル発売から1カ月後には、いよいよ1年半ぶりのニューアルバム「AVALON」が控えています。

 録音はほぼ終わっていて、今はミックスを進めているところです。

──さっきから「劇的ロック」や「展開が多い」などのキーワードが何度か出てきましたが、明らかに前作「喝采と激情のグロリア」とは違ったものになりそうですね。

 もう全然違うものですね。「喝采と激情のグロリア」は世界観がきっちり構築されていて、1枚のアルバムとして完成度が高かったと思うんです。でも次のアルバムはもっとバラバラな世界観……1曲1曲が強い世界観を持っているものばかりで、そういう曲が集まった面白い作風になってるんじゃないかな。「喝采と激情のグロリア」のような構築美は薄まったかもしれないけど、ロックの自由さという面は前作をより上回った作品になってると思います。1つのバンドでこんなにもいろんなことができるんだって驚くぐらいいろんな要素が詰まってるので、楽しみに待っていてほしいですね。

ニューシングル「隣に座る太陽」 / 2014年7月23日発売 [CD+DVD] / 1300円 / キングレコード / KIZM-293~4
「隣に座る太陽」
CD収録曲
  1. 隣に座る太陽
  2. メインキャストは考える
DVD収録内容
  • 「隣に座る太陽」 MUSIC VIDEO
摩天楼オペラ「AVALON TOUR」
  • 2014年9月17日(水)東京都 TSUTAYA O-EAST
  • 2014年9月19日(金)石川県 Kanazawa AZ
  • 2014年9月20日(土)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
  • 2014年9月23日(火・祝)北海道 札幌KRAPS HALL
  • 2014年9月25日(木)青森県 青森Quarter
  • 2014年9月27日(土)岩手県 Club Change WAVE
  • 2014年9月28日(日)宮城県 darwin
  • 2014年9月30日(火)大阪府 BIGCAT
  • 2014年10月2日(木)広島県 ナミキジャンクション
  • 2014年10月4日(土)熊本県 DRUM Be-9 V2
  • 2014年10月5日(日)福岡県 DRUM Be-1
  • 2014年10月7日(火)愛媛県 松山SALONKITTY
  • 2014年10月9日(木)兵庫県 神戸VARIT.
  • 2014年10月11日(土)京都府 磔磔
  • 2014年10月13日(月)愛知県 THE BOTTOM LINE
  • 2014年10月18日(土)東京都 日比谷野外大音楽堂
摩天楼オペラ(マテンロウオペラ)

2007年に結成されたロックバンド。2008年に苑(Vo)、Anzi(G)、燿(B)、悠(Dr)、彩雨(Key)という現在の編成になる。叙情的な歌詞とシンフォニックメタルからの影響が強いサウンドが特徴で、国内のみならず海外でもCDリリースやライブ活動を展開。2010年5月に初のホールワンマンライブを渋谷公会堂(当時・渋谷C.C.Lemonホール)で実施した。同年12月にはミニアルバム「Abyss」でメジャーデビュー。2011年7月にリリースしたメジャー1stシングル「Helios」は、オリコン週間ランキング初登場16位を記録した。同年10月にはメジャー2ndシングル「落とし穴の底はこんな世界」を発表。同月にさいたまスーパーアリーナで行われた「V-ROCK FESTIVAL '11」にも出演し、大きな注目を集めた。2012年3月、メジャー1stフルアルバム「Justice」を発売。同年後半に「喝采と激情のグロリア」というコンセプトのもとに、「GLORIA」「Innovational Symphonia」という合唱をテーマにしたシングルを連続リリースした。2013年3月にメジャー2ndアルバム「喝采と激情のグロリア」を発売。同年6月にはZepp Tokyoで単独ライブを行った。2014年7月にニューシングル「隣に座る太陽」を発表。9月3日にはメジャー3rdアルバム「AVALON」をリリースし、日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブを含む全国ツアー「AVALON TOUR」を9月から10月にかけて実施する。