まらしぃ|再び向き合ったクラシックへの“ちょっとつよい”思い入れ

ピアノ×ドラムで「運命」

──本作には「まらおバンド」としてドラマーのyuji yono(Dr)さんを迎えた「ちょっとつよい運命」、yonoさんとIKUO(B / BULL ZEICHEN 88、Rayflower)さんを迎えた「ちょっとつよいカノン」の2曲も収録されています。まらおバンドという新たな名義が生まれた理由は?

まらしぃ

僕は基本的に1人でピアノを弾いている人間なので、誰かと一緒に演奏するときは別の名義があったらいいなと以前から考えていたんです。普段僕はまらおさんと呼ばれる機会が多いので、だったら「まらおバンド」という名義を作ってしまおうかなと思ってこうなりました(笑)。

──まらおバンドの正式メンバーはまらしぃさん1人なんですよね?

はい。皆さんがイメージするバンドのような形ではなくて、あくまで誰かと一緒に演奏するときに僕が使う名前みたいな感じですね。今回の制作に関しては、以前からピアノとドラムだけで演奏する形に挑戦してみたくて、ドラムが叩ける方のオーディションをさせてもらったんです。

──yonoさんはそのオーディションでまらしぃさんが選んだ方なんですね。

はい。yonoくんは僕より2つ年下で、若くて勢いのあるドラムを叩くんですよ。実は僕、年下の方と一緒に演奏する機会があまりないんです。尺八の小湊(昭尚)さんとか、maras kで一緒にやらせてもらっているkors kさんとか、シンガーの高橋洋子さんとか、皆さん年上の方ですし、logical emotion(まらしぃ、drm、タブクリアからなるインストバンド)はバンドなので、演奏するときはメンバーみんなでフラットに意見交換をするんですよね。まらおバンドは僕が引っ張っていかなきゃいけなかったので、すごく新鮮でした。

──ドラムが入るだけで、まらしぃさんの演奏の自由度が高くなっている印象がありました。

1人でピアノを演奏するときは左手でリズムパターンを再現しながら右手でバッキングを演奏する、みたいな役割を分けているんですけど、リズムをドラムの人に任せられるとその分僕が動ける余裕が生まれるんですよね。平たく言うと「もっと好き勝手にピアノを弾きたいからドラムをお願い!」みたいな感じなんです(笑)。

──「ちょっとつよいカノン」はyonoさんに加え、IKUOさんも参加された3人編成の曲となりました。

IKUOさんとは「デジモンアドベンチャー」の「Butter-Fly」を一緒にカバーして以降、IKUOさんの「Easy come, easy core!!」(2019年7月発売のソロアルバム)の収録曲「Make you Free」に参加させていただいたり、そのリリースツアー「IKUO 2nd Live Tour ~Easy come,easy core!!~」の名古屋公演に呼んでもらったりとかわいがってもらっていたので、「ベースはIKUOさんしかいない」と思ってお声がけしました。オファーしたときはアレンジが何もできていなかったんですけど、IKUOさんやyonoくんとかなり密にアレンジの方向性を相談して、1曲作り上げました。レコーディングのあとに動画も撮ったんですけど、けっこう作り込んじゃって、ひさびさにスタジオでテッペンを超えてしまって……。

──ソロでピアノのレコーディングをすることが多いまらしぃさんにとっては、誰かと一緒に何度も撮る経験も珍しいですよね。

でもそれがすごく楽しかったんですよね。そのときのレコーディングの動画はミュージックビデオとして公開されているので、皆さんに現場の熱を少しでも感じ取ってもらえたらうれしいですね。

モットーは楽しく弾くこと

──10月にスタートした全国ツアー「marasy collection piano live tour 2019」は残すところ追加公演のみとなりました。ここまでを振り返ってみていかがでしたか?

普段のライブの“弾きたい曲を弾く”というコンセプトはそのままに、今までの活動の集大成的な部分をお見せしたいなと思っていたので、幕張メッセのワンマンのレーザー演出や、演奏と連動した映像が流れるピアノプロジェクションを盛り込んでみました(参照:まらしぃ、満員の幕張メッセでアジアツアー締めくくる「最後の1秒まで全力で」)。自分の好きなようにやらせてもらえた分、達成感も大きかったように思います。

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──追加公演にはまらおバンドが出演されますね。

今年の中津川の野外フェス(9月に岐阜・中津川公園内特設ステージで開催された「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019」)に初めてまらおバンドとして出演させてもらってすごく手応えを感じたので、自分のツアーでやるのが楽しみですね。なかなか面白いライブになるんじゃないかなと思います。

──「ちょっとつよいクラシック」が完成したことによって、ライブでもクラシックの楽曲を披露する機会が今まで以上に増えてくると思います。改めてクラシックと向き合ってみて、まらしぃさんはどんなことを感じましたか?

僕は一度ピアノを辞めてからまた再開したことによって、ようやくピアノを弾く楽しさを理解できた人間なんですよね。だからクラシックのアルバムを作るにあたっても楽しいかどうかが何よりも大事だと思っていたし、ライブでも楽しく弾くことを心がけて弾こうと思っています。もし、今レッスンでクラシックの曲を練習している人がいるとするならば、僕は何よりもまず楽しく弾いてほしいんですよね。もちろんただ楽しむだけがすべてではないとも思いますけど、どんなに厳しいレッスンだとしても、最終的には楽しくピアノを弾くことが正解だと、今の僕は考えています。

──“音楽”の文字通り、音を楽しむのが一番だということですね。

はい。もちろん演奏するだけじゃなくて、聴くのも楽しんでもらいたいですし、ライブのような場所で一緒に盛り上がったりすることも経験してもらいたいですね。

ライブ情報

marasy collection piano live tour 2019 追加公演 ~「ちょっとつよいクラシック」release live~
  • 2019年12月21日(土)東京都 昭和女子大学人見記念講堂
  • 2019年12月22日(日)東京都 昭和女子大学人見記念講堂
まらしぃ with 初音ミク&鏡音リン Piano acoustic live in SNOW MIKU
  • 2020年2月10日(月)北海道 カナモトホール(札幌市民ホール)
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