高橋洋子参加の「T.o.k.y.o」

──「T.o.k.y.o」という曲ではゲストボーカルとして高橋洋子さんが参加しています。maras kの楽曲で生のボーカルが入った曲を発表するのは今回が初めてですね。

まらしぃ　ボカロはあったけど、生のボーカルは初めてですね。高橋さんのデビュー25周年記念アルバム（2017年3月発売「YOKO Sings Forever」）に僕がピアノで参加させてもらったのがきっかけで、交流ができまして。ライブでご一緒する機会もあったりする中で、maras kのようなダンスミュージックのボーカルを高橋さんにぜひやってもらいたいと思って提案してみたら、ありがたいことに快諾していただいたんです。

kors k　高橋さん自身、EDMっぽい曲を歌うのは初めてとおっしゃってましたね。

まらしぃ　あれだけの実績をお持ちなのに「こちらのジャンル、勉強させていただきます」みたいな感じで接していただいて。作詞までしていただいたんですよ。

kors k　しかもかなりスピーディに詞が完成して驚きました。

まらしぃ　高橋さんは僕のことをイメージしながら詞を書いてくださったみたいなんです。でも「N.a.g.o.y.a」じゃないんだ、とは思いました。

──まらしぃさんはずっと名古屋を拠点に活動し続けていますからね。

まらしぃ　まあ歌の中で「N.a.g.o.y.a」はちょっと違うかもしれません（笑）。

kors k　でもツアーをやったら歌詞を会場のある地名に変えればいいんだよ。「S.a.p.p.o.r.o」とか（笑）。

──「ダンストラック×ピアノ」というスタイルのmaras kの音楽にボーカルを加えることの難しさは感じましたか？ ピアノとボーカルという主役の音2つがバッティングしてしまう可能性もあるわけで。

kors k　まらしぃくん自身がボーカリストとのコラボに慣れていることもあって、高橋さんの歌が乗っているところはピアノがそんなに主張しなかったりするんですよ。歌が切れた瞬間にオブリガートを入れてくる感じとか。なので自ずと主役となる音は決まってたんですけど、盛り付けの仕方はけっこう苦労しました。自分が入れたシンセの音を目立たせたいけど、どのくらいの塩梅でいくか、みたいな。最終的にはいいバランスでどの音も楽しめる1曲になったと思います。

「まらしぃくんが100点出してくれたら、僕が100点で返すよ」

──アルバムのクロスフェード映像にはmaras kのレコーディングの様子も収められています。お二人ともリラックスした様子で取り組んでいる姿が印象的でした。

まらしぃ　前作までは僕が「100％の力で弾かなきゃ」って肩に力が入ってた感じがするんですけど、しばらく一緒に活動させていただく中で、仕上がりのイメージがより明確に見えるようになって、力の入れどころがわかるようになってきました。もちろん、必死でピアノを弾くタイミングはあるんですけど、maras kとしての音楽の中で僕のピアノは1つのパーツなんだって、俯瞰して自分が見えるようになった感じがあります。

kors k　余裕ができてきたんだろうね。

まらしぃ　余裕って言っていいんですかね（笑）。

kors k　レコーディング中に、アドバイスを求められるときがあるんだけど、意外と僕からのお願いってないんですよね。というのも、僕はレコーディングの前後の作業がメインなので、彼が上げてきたものを理論的に成立させたり、辻褄を合わせたりする役回りだから。僕の採点は必要なくて、まらしぃくん自身が自分の演奏に100点を出してくれたら、そのあとは僕が100点の仕事をするだけだと思っているんです。僕は彼のことをプレイヤーとして信頼してるし、アレンジに関しては任せてもらってるので、いい信頼関係が築けているのかな。

まらしぃ　うれしいですね。

kors k　3枚目のアルバムだし、レコーディングにちょっと慣れてきたのもよかったよね。いろんなところで遊びの要素を入れる余裕がお互い生まれたと思うし。今回はスタジオがいいところで、音はよかったし、僕の好きな機材もたくさんあって。まらしぃくんがレコーディングをがんばってる横で、いろいろ機材をいじったりして楽しんでました。

“スペシャル感”はそのまま2回目の「まらフェス」へ

──6月9日には東京・日比谷野外大音楽堂にて、まらしぃさん主催のライブイベント「まらフェス2018 in 日比谷野外音楽堂」が開催されます。2年前の「まらフェス」と同じく、maras kのステージも用意されていますが、今回はどんなステージにしようと？

まらしぃ　せっかくkors kさんに“自由時間”を作ってもらったので、お客さんを煽るようなことをやりたいですね。これは1つの目標です。あとイベントには高橋洋子さんも登場するので、ぜひ新曲を……。

kors k　3人共出るのにやらなかったら逆にすごいからね（笑）。野外での「T.o.k.y.o」、すごく楽しみですね。

まらしぃ　kors kさんが作ってくれた「GAME CLEAR」は、すごくライブ映えする曲だと思っているんです。

kors k　「GAME CLEAR」は、「2 Player」と一緒で3連のシャッフルリズムの曲なんですけど、このリズムパターンがピアノと合わさったら面白いかな、と思って作ってみたんです。曲の後半になるとBPMが上がるんですけど、それはゲームの中で無敵状態になってテンポが速くなることをイメージしてます。

まらしぃ　曲の展開がダイナミックなのでライブでどう弾こうか、すごく楽しみなんです。レコーディングのときからライブでの景色が目に浮かぶ曲だったので早くステージで演奏したい曲ですね。

──全体的に今作はライブ映えする曲が増えた印象があります。

まらしぃ　ありますね（笑）。

kors k　やっぱりツアーを重ねてきた影響がすごく大きかったような気がします。意識が現場向けになってる。

──最後に、まらしぃさんは主催者として「まらフェス」をどう考えてますか？

まらしぃ　2年前の「まらフェス」のときは初めての野外ライブだったし、ご縁のあった方々を呼んで「スペシャルなイベントをやろう」って感覚だったんです。2度目の「まらフェス」は、その“スペシャル感”をそのままに各自が2年でパワーアップした部分を見せるすごいイベントになると思っています。 高橋洋子さんに参加いただいたり、新しい広がりを感じてもらえる機会でもあるので、普段僕の演奏を聴いてもらっている方々と一緒に熱い時間を一緒に過ごしたいですね。