ナタリー PowerPush - MAGUMI AND THE BREATHLESS / MAGUMI×岡本伸明(the telephones)

これからも“落ち着きたくない”2人

縦横無尽にステージを駆け回り、パワフルなステージパフォーマンスを見せるMAGUMI。彼のパフォーマンスのルーツには何があるのか。MAGUMI同様にハイテンションなステージングに定評のある岡本伸明(the telephones)との対談で紐解いていく。

取材 / 大山卓也 文 / 清本千尋 撮影 / 中西求

2人の出会い

左からMAGUMI、岡本伸明。

MAGUMI ノブとは一昨年対バンしたときに初めて会ったんだよね。the telephonesの第一印象はとりあえず無駄な動きの多いバンドだなと思って(笑)。お客さんから見えてないところでも一生懸命やっていて、非常に好感度が上がったというか。

岡本伸明(以下ノブ) あはは(笑)。あざーすっ! めっちゃうれしい。でも無駄な動きなんですけど、その無駄なものが大事だと思ってるんですよ。

MAGUMI うん。俺もすっごい大事だと思う。

ノブ そうですよね。だからそれをここまでずっと全力でやってきました。で、僕が今30歳でMAGUMIさんと20個離れてるんですけど、とりあえず50歳になってもMAGUMIさんに負けないようにがんばらなきゃなって思うんですよ。

MAGUMI なんか勝手に俺は20代のときに、30歳になったらこんなステージできないんだろうなって思ってたの。なんでかって言うと先輩たちはみんなそれぐらいで渋くなっちゃって、飛んだり跳ねたりするような奴らがいなかったから。だから自分が30代になったときにどうなるかわからなかったんだよね。俺らと一緒でTHE BLUE HEARTSは昔から飛び跳ねてるけど、彼らは同世代だから参考にならなくって(笑)。

ノブ (笑)。僕が心配していたのは体力的な面だったんですけど、30歳になって前より全然体力がつきましたね。LÄ-PPISCHと対バンしたときに50歳になってもステージで飛び跳ねるMAGUMIさんの姿を見て自分の中での理想を1つ見つけたんです。一緒にやったときのことはいまだに鮮明に浮かびますね。

MAGUMI ありがたいことですね。あのときはすごく楽しかったよ。

ノブ 俺たちもめちゃくちゃ楽しかったです。対バンのフィーリングがすぐ合ったなって印象があったんですよ。あの日会場にいたお客さんたちってthe telephonesを初めて聴く人がほとんどだったと思うんですけど、俺たちがどんどん曲をやっていくたびに身体揺らしたり、自由に表現してくれたりして。それがなんか日本でやってるのに、いい意味で日本っぽくなかったなと思ったんです。あの対バンはバンドとしてもいい経験になりました。

MAGUMI 音楽に対する感覚が似てるバンドっていうのは、歳と関係なくすぐに共感できるからね。

ステージパフォーマンスが構築されるまで

ノブ MAGUMIさんがあんなに飛んだり跳ねたりしながら歌うようになったきっかけって何かありますか?

MAGUMI 昔ってさ、今で言うところのビデオクリップがなかったから音に対しての想像力が非常に豊かで。Sex Pistolsとか初めて聴いたときに、この人たち宙を浮きながら演奏してるんじゃないかなぐらいに想像しちゃってたんだよね。で、熊本というド田舎に俺は住んでたんだけど、大きな外タレはみんな福岡止まり。現物を目にするっていうことがまったくなくって。写真でさえ非常に貴重なものとして見ていたわけ。

ノブ そうですよね。今はYouTubeがあるからたくさん観れますけど。

MAGUMI

MAGUMI うん。だからイメージばかりが膨らんだせいで「跳びながら演奏してるに決まってる!」って思い込んで、その通りにやってたの。あと俺たちは明治大学のサークルだったんだけど、学生運動のせいで使われてない校舎がいろんな部活の練習場所になっていて。うちのサークルの部室もひとクラス分の広さがあったんだよね。そこで1バンドずつ順番に練習するわけだから走り回ろうがなんだろうが平気なのよ。俺その頃はもうディスコ狂いだったから、リハでも遊びと同じで走りまわったり踊ったりしながら演奏してたわけ。まあその2つの理由でLÄ-PPISCHのパフォーマンスは今みたいな形で定着したね。

ノブ そうなんですね。僕は学生の頃、ずっと好きだったAt The Drive-Inっていうバンドがいて。

MAGUMI  The Mars Voltaの前身バンドだね。

ノブ そうです。で、そのAt The Drive-Inのブートのビデオをうちのボーカルが「これヤバいから」って俺に渡してきたことがあって。で、「本当に?」って観てみたらもうなんかサーカスみたいになってて、パッションだけでステージが成り立ってるんですよ。ボーカルのセドリックとギターのオマーなんか演奏すらもうほとんどしないで2人で踊ってたりして。でもそれを観たときになんか知らないけど「これだ!」と思ったんですよね。それで自分もライブをやるようになって気付いたら彼らみたいにステージで暴れまわってたんです。あのとき「これだ!」と感じた気持ちは今でもずっと変わってないですね。まあ昔よりは弾けるようになりましたけど(笑)。

MAGUMI 俺なんて昔と同じで今でもトランペット全然吹けないよ(笑)。

ニューアルバム「Demonstration」
2014年5月14日発売 / ATSUGUA RECORDS / 3240円 / ATS-52
収録曲
  1. Beautiful World
  2. Parting Dance
  3. Q Dub
  4. 死角のシルエット II
  5. Electric Discharge
  6. Demonstration
  7. 砂の家
  8. 水槽
  9. Abracadabra
  10. Back Yard
  11. トルコ行進曲
  12. Liar
  13. Good Bye Sunshine
ニューシングル「Electric Discharge」
2014年5月14日発売 / ATSUGUA RECORDS / 1080円 / ATS-51
収録曲
  1. Electric Discharge
  2. 死角のシルエット
  3. Ghost Town
MAGUMI AND THE BREATHLESS
(マグミアンドザブレスレス)

MAGUMI(Vo, Tp)、永井秀樹(G, Cho)、袴塚徳勝(B, Cho)、カサマツマサヨシ(Dr)、島本亮(Key, Sax, Cho)、直江誠治(Per)からなる6人組バンド。LÄ-PPISCHのフロントマンとして知られるMAGUMIのソロアコースティックユニットにリズム隊を加えて2009年に結成された。2011年に2枚のシングルと1stアルバム「delight」をリリース。その後3年間はライブを中心に活動してきた。そして2014年5月には2ndアルバム「Demonstration」とシングル「Electric Discharge」を2タイトル同時リリースする。

the telephones(テレフォンズ)

the telephones

2005年に埼玉県浦和にて結成されたロックバンド。メンバーは石毛輝(Vo, G, Syn, Programming)、岡本伸明(Syn, Cowbell, Shriek)、長島涼平(B, Cho)、松本誠治(Dr)の4人。ポストパンク / ニューウェイブにも通じるダンスロックサウンドで各地のフェスを席巻し、2009年にEMIミュージック・ジャパンと契約。同年7月にアルバム「DANCE FLOOR MONSTERS」でメジャーデビューを果たした。2011年にはバンド史上最大規模となるさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブ「SUPER DISCO Hits FINAL !!! ~そして伝説へ~」を開催し大成功を収める。その後もコンスタントに新作をリリースし、2013年7月には初となる東京・日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブ、9月にはPOLYSICSと合同で初のヨーロッパツアーを敢行するなどその実力は世界でも認められはじめている。そして2014年6月、最新アルバム「SUPER HIGH TENSION!!!」をリリースする。


2014年5月16日更新