実は自分に自信がない

──表題曲「Labyrinth」のミュージックビデオには、luzさんにとって初となる実写の映像が使用されています。ご自身が歌っている姿がMVになってどう感じましたか？

当たり前なんですけど「あ、僕が動いてる！」ってものすごく感動して、もう何百回も観ています（笑）。ライブとかをやっているのにこんな話をするのも変なんですけど、僕、自分にすごく自信がないんです。人よりコンプレックスが強いというか。でもMVを観てるとちゃんと堂々としたluzがそこにいるんですよね。

──今の話、ちょっと意外でした。ライブでの立ち振る舞いを観ている限り、luzさんが自分に自信がない人にはまったく見えませんから。

自信がないからこそ、ステージで自分がどう動いたらカッコよく見えるか、お客さんからはどう見えているかを研究してるんです。だからステージ上の僕が自信があるように見えるのは、実は自分の中のコンプレックスの裏返しで。

──luzさんって歌唱中の動きはキメキメなんですけれども、MCに入るとものすごくゆるいトークを繰り広げますよね。MCのときのluzさんはコンプレックスのことをすっかり忘れてしまってるってことなんでしょうか？

なんでしょうね（笑）。歌うときはちゃんと演じるというか、スイッチが入るんですけど、MCに入った途端に抜けちゃうんですよ。友達感覚とかではないんですけど、お客さんと普通に話しちゃったりして。僕のMCってイベントでもちょっと名物みたいに思われてるところがあって、スタッフの方にも「あまり話うまくならないでね」って言われてるんですよ。ちょっと複雑です（笑）。

ビックリするくらいエロい「kiss my eyes」

──アルバムにはボカロ曲のカバーも収録されていますが、これらの曲はどういう基準で選んでいったんですか？

まず僕との相性がいい曲。それと歌ったときに僕にしか出せないものが見せられるのはどの曲だろうっていうのを考えて選びました。1stアルバム「tWoluz」を超えなきゃいけないってプレッシャーも感じてましたが、完成してみたら自信を持って前作を超えたって言い切れるアルバムになったと思っています。

──“相性がいい”という観点で考えると、luzさんにとって梅とらさんの楽曲は欠かせないのかなと感じました。先ほどは“今のluz”のイメージをつかむきっかけとなった曲が梅とらさんの「威風堂々」だったとおっしゃっていましたし。

梅とらさんの楽曲って、どちらかというとJ-POPより海外で流行ってるダンスミュージックにテイストが近いんですよね。実は僕、学生時代は洋楽をよく聴いていたこともあって、梅とらさんの楽曲が自然と近い位置にあるのかなと思ってます。

──ライブでもluzさんは梅とらさんの楽曲を歌うことが多いですよね。

光栄なことに僕の声とか雰囲気が曲に合っていたというか、梅とらさんの曲を歌ってると、僕にしかできないことが強く出せてる気がするんです。ほかの人が同じ曲をやってもパフォーマンスとして“魅せられる”のは僕のほうじゃないかなって思っています。

──それとアルバムにみきとPさんの楽曲が収録されているのが少し意外に感じたんです。基本的にみきとPさんの曲のイメージとluzさんのアーティストイメージってちょっと違うものだと思っていたので。

そうですよね。でも今回みきとさんに書き下ろしていただいた「kiss my eyes」って曲がもうビックリするくらいエロいんです（笑）。今回は僕のほうに合わせていただいた形なんですけど、みきとさんがちょうどジャズをやってみたいとおっしゃってて。僕もみきとさんの作るジャズを聴いてみたかったのでお願いしたんです。曲中には、普段のみきとさんとは違ったすごく色気のあるギターソロが出てくるので聴き逃さないでほしいですね。

──話を伺っていると、今回のアルバムは本当にluzさんの意向や要望がそのまま形になった1枚だということがよくわかります。

本当に自分のやりたいことを詰め込めた作品になったと思うんです。このアルバムを出して、どういう反応が返ってくるかがとても楽しみです。