LUNA SEA「CROSS」 PR

LUNA SEA | SUGIZO×INORANが語る、名プロデューサー迎えた新作アルバムと30周年

結成30周年を迎えたLUNA SEAが、通算10作目となるニューアルバム「CROSS」をリリースした。本作にはアニメ「機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星」のオープニングテーマに使用された「宇宙の詩 ~Higher and Higher~」「悲壮美」を含む全11曲を収録。5度のグラミー賞受賞歴を持つ世界的音楽プロデューサーのスティーヴ・リリーホワイトを共同プロデューサーおよびミックスエンジニアに迎えて制作された。これまですべての作品をセルフプロデュースで作り上げてきたLUNA SEAが、外部のプロデューサーとタッグを組むのは今回が初となる。

音楽ナタリーではメンバーを代表して、SUGIZO(G, Violin)とINORAN(G)にインタビュー。スティーヴを共同プロデューサーに迎えた経緯や制作プロセス、30周年に対する思いなどについてたっぷりと語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 後藤倫人

師匠より弟子でいたい

──ニューアルバム「CROSS」には、スティーヴ・リリーホワイトが共同プロデューサーとして参加しています。U2やThe Rolling Stonesをはじめ数多くのバンドの作品を手がけてきた世界的プロデューサーですが、彼とタッグを組むことになった経緯を教えてもらえますか?

SUGIZO(G, Violin)

INORAN(G) メンバーの中で最初にスティーヴと会ったのは僕なんですよ。共通の知人を介して、初来日したときに会ったんですけど、そのときのバイブスがすごくよかった。その後も何度か会う機会があってこちらからアプローチして、ライブにも来てくれたんです。その中で「ぜひ一緒にやりたい」という話の流れですね。それが3年くらい前かな。

SUGIZO(G, Violin) INORANからその話を聞いたときは「絶対にやらなければいけない」と思いました。ご承知の通りLUNA SEAは30年間ずっとセルフプロデュースで制作してきた。自分たちだけで作ることに意味を見出していたのですが、これだけ長くやっているとやり方が固まってくるし、得意なこと、できることもはっきりしてくる。それはマスターの域に達してきたということでもあるのですが、僕としては常に新しいものを吸収できる立場でいたいし、師匠よりは弟子でいたいんです。「いずれどこかのタイミングで外部のプロデューサーとやりたい」という話はなんとなくメンバー間でもここ数年ありました。でも今の自分たちをまとめて、さらに上に持っていくのは、正直に言って日本人では不可能だと思っていた。

INORAN うん。

SUGIZO スティーヴはメンバー全員が影響を受けたU2、僕が好きなSiouxsie and the Banshees、ピーター・ガブリエルなどの作品を手がけた人ですからね。またとないチャンスだし、絶好のタイミングだなと。スティーヴが日本人アーティストと組むのは初めてですし、30周年で10枚目のアルバムであることもすごく喜んでくれて。この話が始まったのは、実は前作の「LUV」の制作より前だったんですよ。僕とINORANでスティーヴが住んでいる国に何度も行ってディスカッションを重ねてきたんです。

──INORANさんもバンドに新しい刺激を求めていたんでしょうか?

INORAN それはずっとありますね。成熟は素晴らしいことですけど、新たに吸収できるものは、個人としてもバンドとしても常に探しているつもりなので。僕ら5人は好きなジャンルがバラバラだし、全員に合うプロデューサーはそんなにいないんですよ。スティーヴみたいな人と出会えたのは不思議な気がするし、運もあると思います。真摯に活動してきたことで、巡ってきた運というか。

SUGIZO そう、真摯にやってきたことの恵みですね。それを逃さず、余すことなく受け入れて。そこで大切なのは、天狗にならず、今まで以上に真摯に音楽に取り組むこと。スティーヴは自分たちよりも遥かに偉大な音楽人間だし、そのレベルの人と組むわけですから。

INORAN そうだね。

SUGIZO いずれにしても自分たちはずっと音楽中毒で、常に新しいアプローチを求めているし、知らない世界に行きたいという気持ちが強い。そのアティテュードの表れが今作だと思います。

RYUICHIの声が10歳若く聞こえる

──制作はどんなふうに進行したんですか?

INORAN 個性が強い5人なので、どうやって制作が進んでいくのか、最初はわからなかったんですよ。

SUGIZO 本音を言うと、スティーヴとベタ付きで、スタジオに1、2カ月こもって作るのがベストだと思っていたし、彼もそれを望んでいました。しかしお互いのスケジュール的にそれが難しくて。僕らはいつも通りに日本でレコーディングをしたのですが、毎日のようにスティーヴとコンタクトを取って、遠隔操作で制作を進めた感じです。WhatsAppやSkypeを使ってリアルタイムでコミュニケーションを取って。アレンジしていて「AとBのフレーズ、どっちがいい?」と聞くと、数分後に答えが返ってくる。スティーヴはアレンジのディテールにこだわるのが得意なタイプで、彼の意見を反映させながら進めました。

INORAN(G)

──なるほど、アレンジの段階から関わっているんですね。

SUGIZO ええ。LUNA SEAの過去の曲に対しても「俺だったら、この音はここに配置する」とか「このSEはすごくいいから、エンディングにも持ってきたほうがよかった」みたいな話を以前からしてくれていた。アレンジャーでもあり、クリエイターなんですよね。音楽を構築するプロセスにそういう人材がいてくれることが心強かったし、自分たち以外の感覚が入ってくるのも心地よかった。そういう体験は初めてでした。

INORAN 物理的な距離は関係なくて、マメにコンタクトを取ることで、一緒に作っているような気持ちなれることが大事なんですよね。それができたことはよかったし、スティーヴもすごくノッてくれて。

SUGIZO ミックスの段階では、僕らよりもスティーヴのほうが燃えていたよね。

INORAN そうだね。制作の物語を楽しめたし、それが音に入っていると思います。

SUGIZO もちろん僕らはスティーヴを尊敬していますが、彼もLUNA SEAをリスペクトしてくれている。プレイヤーとしての在り方や出す音を尊重してくれたし、「こうしなさい」という強制はまったくありませんでした。僕らは今までと同様好きなように音楽を作って、それを彼に引き上げてもらった感覚。そもそもスティーヴは、ミュージシャン自身にアイデアがなかったり、一定のレベルに到達していない場合は、仕事をしないんです。「完成されていて、確立されたものを持っているミュージシャンと一緒にやりたい」と言っていたし、U2やThe Rolling Stonesも、彼がプロデュースする前からすでに完成されたバンドだったんですよね。

──サウンドメイクも明らかにこれまでの作品と違いますね。さらにダイナミズムが増して生々しい音になっていますが、お2人はどう捉えていますか?

SUGIZO そこはもう、圧倒的にスティーヴのセンスでしょうね。魔法がかかって戻ってくるというか、彼が「これでどう?」と提示した音はすごいと思えるものばかりだったから。特に歌とドラムはすごい。RYUICHIの声がどの曲も10歳くらい若く聞こえるし、ドラムはこれ以上ないほどリアルに飛び込んできて。しかもギター、ベースのスペースも同じだけある。こういうサウンドは、日本のエンジニアでは作れないと思います。「どうやってるの?」と聞いたとしても、彼は「気持ちよくなるようにやってるだけだよ」と答えるでしょうけど。理論や方法論ではなく、感覚とセンスの問題なので。

INORAN(G)

INORAN 海外のプロデューサーがすごいという話ではなくて、スティーヴはフォーカスがしっかり合ってるんですよね。聴かせたい音が明確だし、音楽を楽しもう、いいものを作ろうという気持ちがすごく強くて。そこは僕ら日本人に足りないところかもしれないですね。サウンドに関して言えば、特にベースの置き方が素晴らしい。聴いてもらえればわかると思うけど、日本ではやれない置き方なんですよ。どちらがいい悪いということではなくて。

SUGIZO それぞれの特性だよね。INORANの言うように、スティーヴは聴かせたい音がはっきりしていて、だからこそそのほかの音を排除することもあって。アプローチが極端だし、それよって楽曲全体がクリアに聞こえるんだと思う。

──5人の音と歌の個性もダイレクトに伝わってきますよね。

INORAN そうですね。みんなの音がより強く作用し合っているし、いいセッションだったと思います。