ナタリー PowerPush - THEラブ人間

“恋愛至上主義”を謳う5人組 渋谷クアトロ初ワンマンに挑戦

「恋愛至上主義」を掲げ、日々の生活や恋愛模様を赤裸々な歌詞とともに表現している5人組ロックバンド、THEラブ人間。アルファベットとカタカナと漢字の組み合わせによる風変わりなバンド名とは裏腹に、直球勝負の情熱的なパフォーマンスでライブハウスシーンを中心に動員を増やしている。

5月には待望の1stシングル「砂男・東京」をリリースするとともに、全国ツアー「邂逅(かいこう)2011 春」を始動。7月にはツアーファイナルとして初のワンマンライブを渋谷CLUB QUATTROで開催する。8月のメジャーデビューを控え勢いに乗るTHEラブ人間の核に迫るべく、全曲の作詞作曲を手がける金田康平(Vo)に単独取材を行った。

取材・文/遠藤敏文 インタビュー撮影/中西求

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将来なりたいものはYOSHIKI

インタビュー風景

──覚えている限りで最初の音楽体験はなんですか?

小学校4年生のときに兄貴がCD買ってもらってたの見て、自分も欲しいなと思って買ってもらったのが最初です。グレートチキンパワーズの「MIX JUICE」とオザケン(小沢健二)の「カローラIIにのって」ですね。そのときは、テレビ観たりマンガ読んだりするのと同系列で、“親から買ってもらえるもの”っていう感覚でした。ドカーンと音楽好きになったきっかけは、兄貴に教えてもらったX JAPANです。それもたぶん小4、小5ぐらい。

──X JAPANですか。

完全にもうそこでミュージシャンになろうと思いました。X JAPAN聴いて、「将来なりたいものはYOSHIKI」ってなって(笑)。最初は映像から入ったんですよ。ビデオのライブ映像観て、もうこうなりたいと。小学校の卒業文集にも「YOSHIKIみたいなドラマーになる」って書いてました。「ヴィジュアル系バンドを組んで世界で一番有名なドラマーになります」って書いてるんですよね。それでお母さんにスティック買ってもらってランドセルを叩いてたんですけど、細かい打点で打つから黒いランドセルがどんどん真っ白になっていくんですよ。それでめちゃくちゃ怒られて。だからお母さんにフリマでボストンバッグ買ってもらって、ジャンプを積み重ねて自分でドラムセット作って、小4からドラムみたいなことやってました。

──YOSHIKIさんのどんなところから影響を受けたんですか?

小学校のときだから、本当にただカッコいいっていうのと、あとは何か別世界の人みたいな感じがあったんでしょうね。化粧もしたいなと思ったし、俺じゃない人になりたいと思ってました。

インタビュー風景

──そう思っていた時期はいつ頃まで続いたんですか?

中学入ってからガラッと変わるんです。それまではヴィジュアル系の「この衣装はどこで手に入るんだろう?」「こんな化粧誰がするんだろう?」「どうすればこんな髪型になるんだろう?」っていうのが自分の中で魅力的だったんですけど、中学に入ったら兄貴にTHE BLUE HEARTSの1st(「THE BLUE HEARTS」)とハイスタ(Hi-STANDARD)の「MAKING THE ROAD」を渡されて、「これ聴け」って言われて。正直、ジャケットの裏とか見て、「こんな汚いジーンズとTシャツの普通の奴がカッコいい音楽やってるわけない」って思ってたんですよね。でも、聴いたらもう一発で虜になっちゃって。180度ガラッと価値観が変わって、つい半年ぐらい前に書いた卒業文集が恥ずかしくなったんです。そこからはもうパンクばっか。パンクな感覚があるバンドは全部好きです。

気持ちを伝えるだけだと何の面白味もない

──コピーバンドを組んだことは?

中学3年間はKISSとSEX PISTOLSとTHE BLUE HEARTSのコピーバンドでボーカルやってました。本当はドラムやりたかったんですけど、俺よりうまくドラム叩ける奴がいて、しかも歌う奴がいなかったから「じゃあ俺歌うわ」って。相当不本意でしたね。周りの奴も誰もオリジナルやってなくて、みんなコピー。だいたいもう世代的にGOING STEADYのコピーバンドばっかりでした。

──オリジナル曲を作り始めたのはいつ頃ですか?

インタビュー風景

オリジナルの歌詞は小4から書いてるんです。曲を作れるようになったのが中3か高1ですね。なんか家にアコースティックギターやエレキギターがあったんです。それでちょこちょこ触ってて、中1から中3ぐらいの間にはギターが弾けるようになって作りました。人の歌歌ってるの、なんかつまんなくなっちゃって。歌詞だけは小4から中3までの膨大なストックがあったんで、バッとスリーコードで曲作って。そっから今まで一切コピーやってないですね。カバーもやらないし。

──その頃から歌詞や曲作りはどのように変わってきましたか?

大学卒業までは、気持ちを前に出すような歌詞はできる限り控えていました。風景の中から、その中にいる登場人物がどんなことを思ってるかを読み取ってほしいなと思って。でも、大学卒業ぐらいのときに自分の思いが破裂して、ポッとラブソングを書いたんです。そしたらすごくワクワクして。気持ちをそのまんま口に出して人に向かって歌うっていうのはいいなと思うようになったんです。そのタイミングでちょうど前のバンドが就職で解散しちゃったので、今のバンドを組んだんですけど、そこからもうずーっと全部自分の体験だけで歌詞を書くようにしています。

──歌詞と曲、どちらを先に作りますか?

インタビュー風景

歌詞です。それはもう変えないですね。1回曲から作ってみたこともあるんですけど、もうやらない。僕がやりたいことは、その歌詞の内容をそのまんま届けて、それを聴いた人たちが噛み砕いて自分の血や肉にしてくれるっていうことなんで。そう考えると、曲が最初にあってイメージみたいなものがあった上で作られる歌詞は、純度があまりにも薄いんじゃないかって思うんです。

──自分が伝えたいことを重要視していると。

伝えるだけじゃなくて、その先にある、聴いてくれた人たちの反応が一番楽しみ。別に僕の気持ちを伝えるだけだとなんの面白味もないです。僕がそうだったように、聴いた人がそれを自分で噛み砕いて何かが変わっていくっていうことを一番求めてやってます。

1stシングル「砂男・東京」 / 2011年5月11日発売 / 500円(税込) / 喫茶恋愛至上主義 / PTA-0001

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CD収録曲
  1. 砂男
  2. 東京
THEラブ人間
初のワンマン開催決定!!
2011年7月15日(金)

邂逅ツアーファイナル
THEラブ人間の単独演奏会~はじめてのラブレター~
会場:渋谷CLUB QUATTRO
開場時間:18:30
開演時間:19:30
チケット代:2500円(ドリンク代別)
チケット発売日:6月11日(土)
プレイガイド:

THEラブ人間(らぶにんげん)

金田康平(Vo)、谷崎航大(Violin)、おかもとえみ(B)、服部ケンジ(Dr)、ツネ・モリサワ(Key)によるロックバンド。2009年1月、金田が中心となり結成され、同年4月に早くも自主制作音源「恋街のすたるじい」を発売する。2010年8月には、都市型フェスティバル「SUMMERSONIC」への出演権を賭けたオーディション企画「出れんの!?サマソニ!?」を勝ち抜き、「SUMMER SONIC2010」幕張公演に出演を果たす。また同年9月にツアーファイナルとして下北沢のライブハウス3会場を貸し切り「THEラブ人間決起集会『下北沢にて』」を実施し、成功に収める。全曲の作詞作曲は金田が担当。リアリティを重視した歌詞と叙情的なサウンドで注目を集める。2011年5月、1stシングル(初全国流通盤)「砂男・東京」をリリース。さらに7月15日に東京・渋谷LUBQUATTROで初のワンマンライブ「THEラブ人間の単独演奏会~はじめてのラブレター~」を開催し、8月にビクターエンタテインメントからメジャーデビューすることが決定している。