成長してないとヤバい
──今回miyakoさんは収録曲の半分の作曲を手がけていますが、曲作りにあたってイメージしていたものはありましたか?
miyako いつもそうなんですけど、私は「こういう曲を書いて」と言われる前から曲作りを始めていて、今回担当した曲だけでもアルバムが成り立つように、リードトラックになってる「When Destinies Align」みたいなメロディックスピードメタルから「Set The World On Fire」 みたいなスラッシュまで、幅広いメタルを書いたつもりです。そこにほかのメンバーが書いた曲が入ってくることで、作品としていいバランスになったと思います。
──3曲を手がけたmihoさんはいかがですか?
miho 私も大枠としては今まで書いてきたものとジャンル的には同じだけど、そこからさらに進化させたり、曲によって違ったキャラクターを出せていると思います。
──前作と違って、今作は序盤から一気に畳みかけますね。
asami 1曲目から6曲目までがけっこうな畳みかけですからね。前半の重みがすごいというのは自分でも感じます。
miho しかも「Set The World On Fire」みたいな曲がまた10曲目にくるし。
midori あと前作よりも収録時間が長いので、満足度が高いというのはあると思います。
──各プレイヤーがかなりパワーアップしているように感じました。そういう自覚はありますか?
miyako 「CLOCKWORK IMMORTALITY」を作ってからいろんな経験をしたし、あのアルバムを作ったこと自体も大きな経験の1つになっているので、その反省を生かせてると思います。それに成長してないとヤバいですから。むしろこれが普通であってほしい。
──今作はシンフォニックな要素が控えめですね。
miyako 上モノを同期に任せるような曲だとライブ映えしないという話になったことがあって、今回はシンセがなくても楽曲として伝わるものという前提でシンセを乗せました。だから前とはシンセの入れ方が変わっていますね。
──miyakoさんはデモの時点でアレンジを作り込んでいるそうですけど、今回はレコーディング中にもアレンジをガンガン変えていったそうで。
miho 今までもドラムがレコーディング中に変わることはよくあったんですけど、ベースは一度録ったら直すことがなかったんです。でも今回は「やっぱり、あそこはこうしよう」とアレンジを変えることがけっこうあって、かなり時間がかかりました。ギターも今までよりもレコーディングで変えることが多かったと思います。そもそも最初からけっこうアレンジが練られているんですけど、実際に弾いてみたうえでさらに味付けしたり。
midori ギターのアレンジは時間がかかりましたね。プロデューサーとも相談して「ここはもっとこうしよう」っていうやり取りを何度したことかっていうぐらい。一発OKだった曲もあれば、「いくつ案を出したんだろう」という曲もありました。いいものができるように練りましたね。
──ギターソロの入り方もこれまでと違う気がしていて。今回は歌を引き継いだ形でソロに入っていく曲が多いように感じました。「さあ、ソロが始まるぞ!」というよりも、より曲と一体になっているというか。
miyako そうですか?
midori 唐突なソロじゃないってことですよね。
──そうです。歌メロや曲に寄り添ったソロになっている印象なんですけど……お二人の表情を見ている限り、まったくピンときてないですね(笑)。
asami でも、私も特に「When Destinies Align」にはそういう印象があります。「さあ、ギターソロです!」というよりも、歌からそのままソロが入ってくるような感覚があります。
ありがちなのが嫌
──今回のギターソロで心がけたことはありますか?
miyako 私の曲に関しては曲作りのときからギターソロのことを考えて作ってるんですけど、Aメロ~Bメロ~サビと同じコードでソロに入るよくありがちなのが嫌で。もちろん、カッコいいならそれでもいいんですけど、基本的にはABCときたらギターソロのABCはバッキングを変えて作るんです。Aはmidoriが弾いて、Bは私が弾いて、Cはツインでっていうセクションなんですけど、個人的にはギターソロだけじゃなくてベースもすごく大事で。コードのカッコよさでその上に乗るギターソロも変わるから。
──なるほど。
miyako ギターメロで意識してるのは、自分の中でまだ苦手だと感じてる速いパッセージですね。今回は「このフレーズは苦手なんだけど、ライブまでに弾けるようになろう」みたいなものも入れてみました。
──「A Frozen Serenade」のアコギソロは?
miyako 私です。あれはasamiが書いた曲で。
asami 私が携わる曲には絶対にアコギを入れたくて、今回も決め打ちで弾いてもらいました。
miyako エレキでもけっこうキツいのに、デモの段階から速いパッセージがけっこうあって、「ええー!」みたいな。だから最初は音を引き算していったんですけど、けっこう寂しくなっちゃったので、なるべくデモに寄せました。でも案外時間はかからなかったです。
──それはすごいですね。エレキでも大変そうなソロなのに。
miyako エレキはちょっとしたノイズなら問題ないんですけど、アコギは生の楽器だからそれだけで台無しになるんですよ。ちょっとでも“キュッ”とか“ピッ”って鳴ったら録り直し。エレキよりも遥かに難しい楽器だなと。
普通じゃないのが好き
──midoriさんはmiyakoさんがすでに入れているギターソロに対して、どういうソロで返すことを意識しているんですか?
midori 先にmiyakoのソロが入ってる曲に関しては、「あまり似ないようにしなければ」といつも思ってます。普段から彼女が作るフレーズを弾いてるから、彼女のリックがしっかり自分の中に入ってるんですよ。だからそっちに引っ張られないようにするのにいつも苦しんでいて。自分のエゴのようなものを出そうとしてます。
──miyakoさん以外の曲に関してはどうなるんですか?
midori コンポーザー兼アレンジャーで参加してくれているMaoくんのアレンジが入ってるものに関しては、「いいな」と思うものは拾うし、あとは自分の思うように作ります。曲にもよるんですけど、私は緩急の“急”が担当なので、それは意識してますね。あと、私は全曲違うことをやりたいから、あーでもないこーでもないっていろいろ考えるタイプです。
miyako 私はMaoくんから上がってきたデモは一度聴くだけで、あとは聴き込むのを止めるんですよ。それでも頭に残ってるフレーズは使うし、あとは自分らしいものを作ってます。
──ドラムに関してはいかがでしょう? すごくドライブ感があるし、シンバルの使い方も凝っていますね。
haruna 私はエフェクトシンバルを駆使するのが好きなので、アクセントになるようにパーカッシブなシンバルを入れてみたりして、全体的にこだわってアレンジしました。
──mihoさんはLOVEBITESの結成前から音楽活動を共にしているharunaさんのプレイを長い間ご覧になっていると思いますが、彼女の成長や変化を感じる部分はありますか?
miho 手数はむちゃくちゃ増えてますね。もともとシンバルワークは彼女の得意としてるところで、私も好きだったんですけど、今はその種類が増えてますし入れ方もうまくなってるとすごく感じます。
haruna 普通じゃないのが好きだし、自分らしさを入れたいというのもあって、ほかの人はあまりやらなそうなことをやったり、いろんなアレンジに挑戦しています。
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LOVEBITESにこういう曲はなかった