LOVEBITESが2ndフルアルバム「CLOCKWORK IMMORTALITY」をリリースした。
2015年に結成され、本格的なメタルサウンドにR&Bとソウルをルーツに持つasamiのボーカルを乗せた唯一無二の楽曲群で国内外にファンを増やしているLOVEBITES。「私たちを通して日本でメタルをもっと広めたい」と語る彼女たちが世に放つ2ndフルアルバムには、世界最大級のメタルフェス「Wacken Open Air」への出演経験も反映されたという、よりメロディアスでキャッチーな全10曲が収められる。
音楽ナタリー初登場となる今回の特集では、ボーカルのasami、バンドの発起人であるmiho、曲作りの大半を担うmiyakoの3人にインタビューを実施。バンド結成から今作の発売に至るまでの怒涛の活動を振り返りながら、LOVEBITESの持つ信念を語ってもらった。
取材・文 / 阿刀“DA”大志
R&Bがルーツのボーカルasami
──LOVEBITESは生粋のメタラーが集まったバンドかと思いきや、asamiさんはメタルをまったく通っていないんですよね?
asami(Vo) はい。「はじめまして」な感じでやってます(笑)。もともとはUVERworldさんとかVAMPSさんみたいなロック系のアーティストを中心にコーラスのお仕事をしていました。今は山本彩さんのバックコーラスをさせてもらっています。
──音楽的なルーツは?
asami 好きで歌っていたのはR&Bとソウルで、ずっと歌を仕事にできたらいいなと思っていたんですけど、現実的に考えて自分が歌手になれるとは思ってなかったんです。だけど、アメリカに住んでいたときにたまたま向こうの球場でアメリカ国歌を歌う機会があって、それがきっかけで歌手になりたいという思いが再燃したんです。それで2年ぐらいで日本に帰ってきて歌のオーディションをいろいろ受けて、コーラスのお仕事をいただくようになりました。
──そして、バンド結成を目論んでいたmihoさんが、そんな畑違いのボーカリストに声をかけたと。
miho(B) そうですね。私とharuna(Dr)はもともと別のバンドで一緒に活動していたんですけど、そのバンドが解散したあとに「もっとカッコいい、女性だけのメタルバンドをやりたい」と思って2人でメンバー探しを始めて、最初に決まったのがasamiだったんですよ。私の知人から、プロの作曲家さんの仮歌を歌っているasamiのデモテープを聴かせてもらったらすごくメタルっぽくてロックな声だったので、「この人とやりたい!」ってharunaと意見が一致してすぐに連絡を取りました。
asami その頃、私にとってメタルは異次元の世界だったし、デスボイスとかのイメージが強かったので、最初に話をもらったときは「え、メタル!?」っていう感じでしたね(笑)。
miho なので、最初にメタルの名曲を何曲かスタジオで試しに歌ってもらって。
asami その中の1曲にJudas Priestの「Painkiller」があって、初めて聴いたときは「これは……歌なの?」って感じだったんですけど(笑)、自分なりに解釈して歌ってみたらけっこう楽しかったので、「この世界に飛び込んでみるのもいいかも」って。
──asamiさんはすごく器用なんですね。R&Bとメタルなんてノリ的に真逆じゃないですか。
asami それはきっとコーラスをやってたからだと思います。コーラスっていうのはどんな音楽に対しても自分を合わせて歌わないといけない職業で、例えば「アイドルっぽくかわいい感じで、こういう声質でお願いします」っていうオーダーがあればかわいく歌うし、「ちょっと歪ませたロック系な感じで」って言われたらロックに歌うし、そういうのが日常だったんです。
──だからすんなりメタルの世界に入っていくことができたんですね。
asami 最初は歌い方に関してけっこう迷いましたけど、今は自分なりのスタイルができたかなと思ってます。
「地獄のメカニカル・トレーニング・フレーズ」でメタルと出会ったギタリストmiyako
──一方、miyakoさんは3歳の頃からクラシックピアノを習っていたそうですね。
miyako(G, Key) はい。その頃から真面目にクラシックの世界でがんばっていたんですけど、大学に入る手前ぐらいにギターを触る機会があって、ずっとピアノ一本でやってきたものだからそれが新鮮で楽しかったんです。それで大学に入ってから本格的にギターを弾くようになったんですけど、ギターを弾くには教本がいるっていうことで買いに行ったら「地獄のメカニカル・トレーニング・フレーズ」みたいなのがあって、「“地獄”って書いてるぐらいだからめちゃ難しいんだろう」っていうノリで買ったら、それがメタルの教本だったんです。で、そこには課題のフレーズと一緒にそのフレーズが収録されている作品も紹介されていたので、そのCDをTSUTAYAのメタルコーナーで借りるようになって。
──それは面白いですね。
miyako クラシックとメタルって全然違うように見えますけど、似ているところがたくさんあって意外とすんなり聴けたんですよね。ギターを始めるのは遅かったけどピアノの下地があったから耳は慣れていたし、楽譜もすぐに読めました。
──いきなり難しい教本から入ってるから、そこをクリアしたらなんでも弾けるようになりそうですね。
miyako メタルに必要な最低限の技術は1年ぐらいで身に付きましたね。
──たった1年!?
miyako しかも、ギターを始めてまだ10年も経ってないんですよ。
──あんなに超絶技巧なギターソロを弾くのに。
asami そこは私もびっくりしました。もう1人のギタリスト・midoriもギター歴が浅いんですよ。
miyako midoriも鍵盤を触ってたことがあるみたいなので、その経験がギターを弾くうえで大きかったのかもしれないですね。
美少女ゲームオタクだったベーシストmiho
──そして、オチに使うようで申し訳ないんですが、mihoさんはもともと、美少女ゲームオタクだったとか。
miho あ、そうなんです(笑)。ほかのメンバーはしっかりとした音楽経験があるんですけど、私は変なふうに音楽の世界に入ってきてるんですよ。ロボットアニメの曲ってメタルっぽいじゃないですか。私はそういう音楽がもともと好きだったんですけど、あるときにアニメの映像とメタルを合わせた動画を見て、「なんてカッコいいんだろう!」って思ったのがきっかけでどんどんメタルにハマっていきました。もともとがオタク気質なので、掘れば掘るほど闇が深いメタルの世界に詳しくなっていって、そのうち自分でも演奏するようになったという感じですね。
──LOVEBITES結成にあたってmihoさんが目指したのは、“大人の女性がやるメタル”だったそうですが。
miho フリフリのかわいらしい衣装を着たアイドルっぽいバンドじゃなくて、ちゃんとした演奏力で海外に通用するようなバンドをやるぞと誓ってメンバー探しを始めました。メタルとしか括れない音楽をカッコよくやりたかったんです。
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過酷だった初のヨーロッパツアー
- LOVEBITES「CLOCKWORK IMMORTALITY」
- 2018年12月5日発売 / Victor Entertainment
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完全生産限定盤A
[CD+Blu-ray]
5940円 / VIZL-1476 -
完全生産限定盤B
[CD+DVD]
4860円 / VIZL-1477 -
通常盤 [CD]
3132円 / VICL-65080
- CD収録曲
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- Addicted / アディクテッド
- Pledge Of The Saviour / プレッジ・オブ・ザ・セイヴィアー
- Rising / ライジング
- Empty Daydream / エンプティ・デイドリーム
- Mastermind 01 / マスターマインド01
- M.D.O. / M.D.O.
- Journey To The Otherside / ジャーニー・トゥ・ジ・アザーサイド
- The Final Collision / ザ・ファイナル・コリジョン
- We The United / ウィ・ザ・ユナイテッド
- Epilogue / エピローグ
- 完全生産限定盤Blu-ray / DVD収録内容
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「BATTLE AGAINST DAMNATION TOUR」東京・TSUTAYA O-EAST公演
- ジ・アウェイクニング THE AWAKENING
- ザ・クルセイド THE CRUSADE
- ウォーニング・ショット WARNING SHOT
- ブレイク・ザ・ウォール BREAK THE WALL
- スクリーム・フォー・ミー SCREAM FOR ME
- シャドウメイカー SHADOWMAKER
- アバヴ・ザ・ブラック・シー ABOVE THE BLACK SEA
- インスパイア INSPIRE
- ジ・アポカリプス THE APOCALYPSE
- ザ・ハマー・オブ・ラス THE HAMMER OF WRATH
- ライアー LIAR
- バーデン・オブ・タイム BURDEN OF TIME
- ドント・バイト・ザ・ダスト DON'T BITE THE DUST
- アンダー・ザ・レッド・スカイ UNDER THE RED SKY
- エッジ・オブ・ザ・ワールド EDGE OF THE WORLD
- ブレイヴハーテッド BRAVEHEARTED
- ツアー情報
CLOCKWORK IMMORTALITY TOUR IN JAPAN 2019 -
- 2019年1月12日(土) 大阪府 梅田CLUB QUATTRO
- 2019年1月13日(日) 愛知県 ElectricLadyLand
- 2019年1月27日(日) 東京都 マイナビBLITZ赤坂
- 2019年2月10日(日) 福岡県 DRUM SON
- 2019年2月15日(金) 宮城県 仙台MACANA
- 2019年2月23日(土) 北海道 DUCE SAPPORO
- LOVEBITES(ラブバイツ)
- 女性5人によるメタルバンド。日本のメタルシーンで名の知られていたmiho(B)とharuna(Dr)の2人が2015年に結成へ向けて動きはじめ、VAMPSやUVERworldなど、そうそうたるアーティストの作品にコーラスとして参加してきたasamiをボーカルに迎え、男勝りの激しいメタルサウンドに女性らしい伸びやかなボーカルを乗せるというサウンドメイキングの方向性が固まる。2016年にmidori(G / ex. 激情★めたりっちぇ)と、サポートメンバーのmi-ya(G, Key / 21g、ex. a DROP OF JOKER)がバンドに加わり、強力なツインギターを武器にLOVEBITESとして本格始動した。初ライブは2016年11月で、2017年5月には1stミニアルバム「THE LOVEBITES EP」をリリース。同年8月にmi-yaが正式加入し5人体制となると、10月に1stフルアルバム「AWAKENING FROM ABYSS」を発売し、12月に東名阪とイギリスにてライブを行った。2018年6月に発表された2ndミニアルバム「BATTLE AGAINST DAMNATION」からmi-yaがmiyakoに改名。この年には国内の「Vans Warped Tour Japan 2018 Presented by XFLAG」、ドイツの「Wacken Open Air」、イギリスの「Bloodstock Open Air」と大型フェスにも多数出演した。12月には2ndフルアルバム「CLOCKWORK IMMORTALITY」をリリース。なおLOVEBITESのすべての作品は、NightwishやChildren Of Bodomの作品で知られるフィンランドのエンジニアチームが手がけている。