LOVEBITES|ヘヴィメタルを守る5人が勝負を懸けた3rdアルバム

LOVEBITESが1月29日に3rdアルバム「ELECTRIC PENTAGRAM」をリリースした。

本作には、asami(Vo)の高音ボイスが響き渡るメロディックスピードメタル「When Destinies Align」や、メンバー全員が作詞に携わった「Holy War」、midori(G)が初めて作詞作曲に加わった1980年代ハードロックテイストの「Dancing With The Devil」など、渾身の12曲を収録。このインタビューでは「3rdアルバムは勝負だと思っている」と言うメンバー5人に、昨年の全国ツアーや欧州公演など多忙の合間を縫って制作された「ELECTRIC PENTAGRAM」が完成するまでのエピソードや、タイトルに込めた思いなどを聞いた。

取材・文 / 阿刀“DA”大志

UKは第2のホーム

──音楽ナタリーでは約1年ぶりのインタビューになりますが、LOVEBITESにとって2019年はどんな1年でしたか?(参照:前回インタビュー LOVEBITES「CLOCKWORK IMMORTALITY」インタビュー

asami(Vo)

asami(Vo) 怒涛の勢いで過ぎ去ったので、去年1年で何があったかみんな曖昧っていう……「それ、2年前じゃなかった?」みたいな話をよくしています(笑)。

──それは忙しいバンドあるあるですね。

asami 忙しかったですねえ。余裕がまったくなかったかな。

haruna(Dr) 去年の1月に前作「CLOCKWORK IMMORTALITY」のツアーが始まって……。

asami そのあとイギリスの音楽フェスティバル「Download Festival 2019」に出たり、中国に行ってArch Enemyのサポートを務めたりして。その間に楽曲制作もしていて、中国から帰ってきてすぐにドラムのレコーディングが始まったし……けっこう早めにいろんなことが進んでいました。

──前回のインタビューでmiyakoさんは「CLOCKWORK IMMORTALITY」のツアー中に次作用の曲作りを始めないといけないという話をしていました。

miyako(G, Key) そうですね。一昨年の末から3月までに曲を作って、3月末から5月にかけてアレンジを詰めて、6月からドラムレコーディングって感じでしたね。

──先ほども話が出ましたが、去年はイギリスとスペインの「Download Festival」に出演したことも大きなトピックだったと思います。mihoさん、いかがでしたか。

miho(B) さっきasamiが話したようにすごく昔のように感じるんですけど……大きいフェスに出られてうれしかったし、UKは第2のホームみたいな感覚で、現地で迎えてくれる人の数もどんどん増えているのを感じるので、これからももっとUKには行きたいですね。

──11月にはDragonForceのUKツアーに帯同されました。

asami 11公演ほぼ休みなしで、移動も大変でした。毎晩同じホテルに泊まるわけではなくて、ライブが終わったらホテルまで1時間ぐらい移動して、ちょっと寝たら次の街まで3時間ぐらい移動して……っていうことを毎日やってたので、体力的に厳しかったですね。

──13日間で11本という過酷さで。

asami 休みの日も移動なので結局あまり休めてないですし、初めてそういう過酷さを味わいました。

midori(G)

midori(G) 海外にはそういう過密な日程でツアーを回ってるバンドが多いので、修業というか、いい経験になったと思います。

──DragonForceとツアーを回ったことで何か学んだことはありますか。

midori ドラフォ(DragonForce)はパフォーマンスも演奏もすごいバンドなので、毎日ライブを観ていても全然飽きなかったですし、ショーとしての見せ方を学ぶことが多かったです。あと、ドラフォのライブ中に私とmiyakoが参加してジャムるセクションがあって、そこでハーマン(・リ / DragonForce)とギターバトルをさせていただいたこともすごくいい経験になったし、楽しかったです。

──ギターバトルに関して、miyakoさんはいかがでしたか。

miyako 最初、ハーマンから誘われたときは「マジ?」みたいな。もちろんやりたいんだけど、「ドラフォのファンは私たちが出ることを望んでいるのかな。『別にお前らはいらないんだけど』って思われるのは嫌だな」と思っていました。でもせっかくハーマンが誘ってくれたのでステージに上がってみたら、そのセクションはお祭り騒ぎみたいなノリで、お客さんも「イェーイ!」って感じだったのですごく安心して。そのあとは普通に楽しんでやれましたね。

──最終公演でハーマンが女装したそうですが。

midori あはははは!(笑)

miyako ツアーの後半ぐらいに、サム(・トットマン / DragonForce)が「(LOVEBITESの衣装みたいな)白いドレスが着たいから、マーケットに探しに行こうぜ!」って言っていたんですけど、時間がなくて行けなかったみたいで。そのまま話が流れたのかなと思ったら、「Amazonで頼んだぜ! 最終日に届くぜ!」って(笑)。でもメンバー全員分頼んだのに、結局1着しか届かなくて。たぶんメンバー内で「1着しかないならハーマンが着るしかないだろ」ってなったんでしょうね。それでハーマンが着てくれたっていう。もしかしたらサムも着たかったのかもしれない(笑)。

midori みんなノリノリだったよね(笑)。最終日は完全にお祭りでした。

miho スペシャルゲストとしてツアーに参加したんですけど、こんなに温かく迎えてもらえて本当にいい経験になりましたね。

3rdアルバムは勝負

──それだけ濃いツアーだとチーム感が出そうですね。

asami 最初からフレンドリーですごく安心しました。ヘッドライナーとゲストバンドがまったく会話をしないような現場もよくあるので、「こんなに友達みたいな感覚でやってくれるんだ!」と、みんな最初から気持ちよくステージに上がれたところはありました。

──イギリスのお客さんの反応はどうでした?

asami その土地の性格なのか、おとなしいところはおとなしくて、盛り上がるところは盛り上がりました。

midori けっこう反応はよかったと思います。やってるジャンルがドラフォと近いと思うので、最初は静かに観ていた人が最後に「わー!」って盛り上がってるのも見えたし。

──今作「ELECTRIC PENTAGRAM」の資料を拝見すると、「より結束を高めた作品」とありますが、ドラフォのツアーの時点でアルバムのレコーディングは終わっていたそうですね。そのほかに何か特別な出来事があったんでしょうか。

asami 今までももちろん全力でやってきたんですけど、3rdアルバムは勝負だと思っているところがあって。今回は本当に名盤にしたいという思いが強かったので、バンド内で話し合ったわけではなく、自然とみんなが力を合わせていきました。