ナタリー PowerPush - L.I.N.E
che:櫻井×HYBRID SENSEが起こしたロックな化学反応
歌い手che:櫻井と、ミキサー・奏者・ボカロPとして活動中のHYBRID SENSEによるユニット、L.I.N.Eがついにメジャーデビュー作「Musa」を発表した。メタリックなギターときらびやかなシンセが印象的なサウンドにソウルフルなボーカルがミックスされた、独特な世界観の作品はどのように作られているのだろうか。とにかくライブが大好きという2人に話を聞いた。
取材・文 / 田口こくまろ
最初は歌い手さんのミックスがメインでした
──まずお2人のL.I.N.E以前の活動についてお伺いしたいと思います。櫻井さんが歌い手としての活動を始めたのは?
che:櫻井 2008年の6月からです。その頃、動画共有サイトに社長さんっていう好きな歌い手さんがいらっしゃたんですけど、自分も昔から歌うことは大好きだったんで、それを見てやってみようかなと思ったのがきっかけです。
──初めて歌をアップしたときの感想は?
che:櫻井 最初は全然伸びなかったんですけど、聴いてくださった方のコメントの温かさに驚きましたね。
──L.I.N.Eを始めるまでは、お1人で活動していたんですよね。
che:櫻井 そうですね、基本1人でやってました。
──HYBRID SENSEさんの活動は多岐にわたってますが、最初に始めたのは?
HYBRID SENSE 最初はアニメのMAD映像ですね。で、翌年くらいかな、友達から誕生日プレゼントに初音ミクをプレゼントされて、ボカロ曲を作り始めました。当時からずっとバンドはやってたんですけど、バンドではやらないような曲を作ってみようかなと思って。
──ちなみにどんなバンドを?
HYBRID SENSE 高校時代はラルクやGLAYのコピーバンドでキーボードをやってました。その後のオリジナルバンドでは作曲してなかったんですが、アレンジや楽譜起こしはずっとやってました。ボカロ曲を作り始めた頃も、バンドがメインで、投稿はあくまで暇つぶし程度でしたね。
──いつ頃から本腰を入れ始めたんですか?
HYBRID SENSE 僕はライブハウスで働いていたんですけど、自分の店で歌い手さんたちが集まるライブがあったんです。そこで「実は僕もボカロ曲作ってるんですよ」って言ったら、そのまま出ることになっちゃって。
──なるほど、そこからだったんですね。
HYBRID SENSE はい。そこで仲良くなった人についていろんなところに顔出してたら、次第に人脈も広がっていったんです。で、歌い手さんたちのミックスを頼まれるようになって。曲のオケと歌い手さんの声のデータをミックスする作業ですね。当時はまだMTRで録音してる人が多かったので、それをPCに取り込んだデータだけもらって、いい感じにミックスするんです。かなり有名な人含め、かたっぱしからやってました。その傍らボチボチと自分の曲も作っていたという感じです。
初めてのライブは緊張しました
──L.I.N.E結成のきっかけもミックスだったとか。
HYBRID SENSE はい。2010年でしたかね、櫻井さんにメールでミックスの質問をされて「データくれたらやるよ」って言ったら何10トラックも音源が送られてきて(笑)。
che:櫻井 多重録音しまくりの曲だったんですよ(笑)
HYBRID SENSE こりゃめんどくさいなあ、と(笑)。それ以降、たまに僕が彼女のミックスのお手伝いをするようになったって感じですね。
──その非常にめんどくさいミックスの担当をやられて、そこからなぜユニットを結成しようと思ったんですか?
HYBRID SENSE 2008年以降、歌い手さん関連のイベントが増えてきたんですが、僕はオリジナルバンドでライブがしたいけどやりたいメンバーがいない、櫻井さんはライブに出てみたいけどプライベートが忙しくて実現しない。それをお互い愚痴りあってて「じゃ、一緒にやってみよか」っていう話になったのがきっかけですね。それでL.I.N.Eを結成して、2010年4月に自分のニコ生で発表しました。
──結成後すぐにライブを?
HYBRID SENSE 結成してまず自主制作のミニアルバムを作ってPVを撮ろうということになり、6月にライブハウスにお客さんを入れて撮影を兼ねたライブをやったんですが、それが初めてかな? 実はそのときが初対面です。
──え? 会ったことがなかったんですか!?
che:櫻井 そうですね。それまではメールや電話だけで……。
HYBRID SENSE お互い顔の写真だけとりあえず渡して。あまりにもブサイクだったら嫌だなって(笑)。
che:櫻井 はははは!(笑) そこが重要だったらしいです。
HYBRID SENSE 打ち合わせらしい打ち合わせもなく、曲はもうレコーディングしてたんで、あとは人前に立ったら慣れるだろうって感じで。
──HYBRID SENSEさんにとってはライブはもちろん慣れたものだと思うんですけれども、櫻井さんにとっては初めてだったんですよね。
che:櫻井 そうですね。ライブ自体初めてでした。
──そのときの感想は?
che:櫻井 そのときはもう本当に初めてのことばっかりだったので、とにかく緊張ばかりですよ(笑)。でも平日なのに100人以上のお客様に来ていただいて、とてもうれしかったです。
──ご自分ではうまくいった感じですか?
che:櫻井 どうですかねー? うーん。自分の中ではまだまだだったなあっていうのはやっぱりありますね。
──今はもう慣れているとは思うのですが、歌ってるときって何を考えてるんですか?
che:櫻井 考えるっていうより、訴えてますね。
──それは何か伝えたいことがあって、訴える?
che:櫻井 そのときを楽しもうって気持ちを伝えようとしてますね。目を見つめながら歌ったりとか。
──自分の歌で楽しんでほしいと。
che:櫻井 そうですね。それが一番ですね。
収録曲
- Musa
- Don't wanna regret
- 言葉メテオ
- Light Mouth
- one-sidet love
- Call My Name
- Sherry -L.I.N.E Remix-
- 風と共に去りぬ -L.I.N.E Remix-
- イカロス
- カタチ
- Ah!!
- GAME
- Corruption Garden -ver. Musa-
- DANCE!
- Swallowtail
- ステラ
- Canvas
- lead is new emotion
- Curious_Machine -Live act-
L.I.N.E(らいん)
女性歌い手のche:櫻井と、ミキサーや奏者、ボカロPなどマルチに活動するHYBRID SENSEによる2人組ユニット。2010年4月にHYBRID SENSEのニコニコ生放送にて結成を発表する。10月には初のCD作品となるミニアルバム「dawn of new emotion」をリリース。精力的なライブ活動を展開し、2011年5月には「ニコニコ大会議 2011 in 台湾」で初の海外公演、2012年8月には東京・吉祥寺CLUB SEATAを皮切りに自主イベントを東京と京都で敢行する。2013年6月にはEXIT TUNESからニューアルバム「Musa」をリリースした。