Lenny code fictionが、メジャー4thシングル「Make my story」を8月22日にリリースした。読売テレビ・日本テレビ系アニメ「僕のヒーローアカデミア」のオープニングテーマに抜擢された表題曲は、これまで以上にスケールアップした楽曲に仕上がっている。音楽ナタリーではメンバー全員にインタビューを実施。新作についてはもちろん、この1年での彼らの状況、変化などを語ってもらうことで、成長し続けるバンドの実情に迫った。
取材・文 / 田山雄士 撮影 / 後藤倫人
制御できない、本能的なロックの魂
──新曲「Make my story」、かなりいい仕上がりですよね。この前TBS系の特番「音楽の日」でのパフォーマンスも観ましたが、すごく堂々と演奏されていました。
片桐航(Vo, G) うわー、観てくださってありがとうございます!
ソラ(G) あんな深夜の時間帯なのに。ほぼ朝でしたよね(笑)。僕らは生出演じゃなくて、あらかじめ演奏を収録した形だったんですけど。
KANDAI(Dr) 放送日は北海道にいたんですよ。「JOIN ALIVE 2018」に出てたので。
kazu(B) 北海道は涼しいのかと思ってたら、暑さがヤバかったです。
ソラ ライブをしてるとき、タンポポの綿毛がずっと飛んでたという。
kazu 「演出かな?」って思うくらいな(笑)。
航 いや、あれタンポポじゃなかったんじゃない?
KANDAI だよねえ。なんか木から出てたもん。
ソラ ええっ! そうなの!?
kazu そういう草らしいよ。
航 て言うか、そんな話するための取材じゃないって!(笑)
──以前よりライブ中に周りが見えているのは間違いなさそうですね。今作も3rdシングルの「Colors」、その後の配信シングル「AWAKENING」から曲調が変化していて、新しいモードに入っている感じがしました。
航 うん。自分らでも新しいと思います。「Make my story」はめちゃくちゃポップな曲調にできました。サビ頭にみんなでタイトルワードをバンと歌えるような、ああいうメロディは今までなかったですね。確かに前の2作とはかなり違うところへ行けたかなと。
──それはこの1年くらいの活動が起因していますか?
航 だと思いますね。ライブの仕方が変わってきたんです。「Colors」の頃までは「こうしたらいいライブになる」って、曲ごとにメンバーの動き方や表情なんかもすごく細かいところまで決めてて。簡単に言えば、カッコつけすぎてたと言うか。それを取っ払って、好きに演奏して、好きにしゃべるようにしました。自分たちがノッて、初めてライブになってくる。そこを目指すようになったよね?
ソラ うん。去年の夏フェスで大失敗したのがいい薬になったんだろうね。決めてた段取りが崩れた途端、感情的に暴走しちゃったり。観てる人からしたら、曲が入ってこなかったと思いますよ。余裕のなさが見えてダサかったな、あれは。で、「このままじゃマズい」って立て直すモードになれて。
KANDAI 俺の家に集まって話し合ったじゃん。
ソラ まず、航の話に自然となったんだよね。「フロントマンとしてどういうボーカルになりたいの?」みたいなことを改めて言い合ってみたり。そこが定まってこそ、バンドとしてのカッコよさは出てくるのかなと思ったので。それで昔のなんですけど、僕が好きな航のライブシーンを見せて「このとき何考えてたの?」って聞いたら、「何も考えてない」って言うんです。「だったら、好きにやろうよ!」と(笑)。
──内面を見つめ直したんですね。
航 僕、ステージで内面が出やすくて。動き方や歌い方をイメージしておくと、そこしか考えられなくなって、かっちりした面白みのないパフォーマンスになっちゃうんです。機材トラブルとかが起こったほうが、逆にテンションが上がる。対バンイベントでお客さんがあくびをしてたら、めっちゃ感情高ぶりますね。「コイツだけはシバいたろ!」みたいな、攻め気が出る(笑)。
kazu ステージ上がって出たとこ勝負のほうがいいんよな、航は。
ソラ そうそう、目が血走ってるようなね。カート・コバーンじゃないけど、制御できないくらい本能的にロックの魂みたいな勢いがあるほうがいい。実際、作り上げると言うより感情をそのまま出す方向にしたら、ライブがよくなっていきましたね。
KANDAI THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのライブ映像をみんなで観て、「やっぱこれだろ!」みたいなことを言ってたのも覚えてます。ソラが加入前にお客さんとしてLenny code fictionを観に来てたときにこっそり撮ってた動画もあって、それで昔の航を再確認したり。
kazu 僕もですけど、昔の何も考えずにライブしてた時代と比べると落ち着いてきてしまったところはありましたからね。ここに来て「もっとかなぐり捨てられるよな」と思えた感じで。
航 本能的なライブのやり方はだいぶ身に付いてきましたね。でも、感情で走るだけでは行けない“その先”が絶対にあるじゃないですか。今僕らはその途中にいるんだと思います。
KANDAI 去年の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」でNothing's Carved In Stoneのライブをステージ袖で観させてもらったんですけど、SEが鳴った瞬間にガラッと切り変わってましたからね。まるで別人になったみたいに。僕らもあんなふうになりたい。
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本当の意味でバンドサウンドになってきた