ハッピーエンドよりバッドエンドのほうが好き

──作詞するに当たって苦労した点ってありますか？

1曲目「鳴り響いた鼓動の中で、僕は静寂を聴く」と2曲目「I'm still breathing...」は、結構スムーズに書けたんですけど、3曲目「Just believe.」はかなり悩んだんですよ。「リアル鬼ごっこ5」に主人公が目を開けたらそこには大好きな人がいたっていう、すごく微笑ましいシーンがあって、そのときの2人の気持ちを描けたらいいなと思って書き始めたんですけど、なかなかうまくまとめられなくて。

──鬼に追い回される歌よりもラブソングのほうが書きにくい？

私って、不思議とハッピーエンドよりバッドエンドのほうが好きなんです（笑）。今回の映画の中でも、鬼や現実と勇敢に戦っていた男の子がやっぱり運命には勝てなくて死んじゃうシーンがあるんですけど、あれが一番グサッときましたし。「リアル鬼ごっこ」って、正義の味方や強い人でも現実や運命に負けて死んじゃうことがあるっていう、ひとつのリアルを描いているんですよね。昔からそうなんですけど、私は登場人物に対して残酷で甘やかさないお話のほうがドキドキするんです。

──「リアル鬼ごっこ」以外なら例えばどんな作品ですか？

最初にバッドエンドのことを意識したのは「ふしぎ遊戯」（1992～1996年連載の渡瀬悠宇の少女マンガ。1995年にアニメ化）ですね。人気キャラや「この人がいなきゃ物語が成立しないだろう」っていう人でも結構簡単に死んでしまう。子供の頃、そういう死をかなりリアルに描いた作品を観ていて、ショックだったと同時に、すごく感情を揺さぶられて。その揺さぶられ方が今もクセになっちゃってるのかも（笑）。

私がハッピーな曲を歌ってもハッピーに聴こえない

──サウンド面については、どんなものが好みですか？

ゴシックメタルやシンフォニックメタルみたいに、心が震えるというか高揚させてくれるんだけど歌っていることや音は実はヘビーみたいなほうが好きです。

──具体的にはどんなアーティストやバンドが？

女性ボーカルものが中心なんですけど、一番好きなのはEVANESCENCEですね。小学校の学芸会のときに先生に歌を褒められて以来、ボーカリストにはなりたかったんですけど、18歳の頃まで自分の歌いたい音楽、歌うべき音楽っていうのがよくわからなくて、すごくフニャーとした状態でいたんです。でも、当時通っていたボイストレーニングスクールの先生に「あなた、これ好きなんじゃない？」ってEVANESCENCEのCDを渡されて、CDをかけた瞬間「これだーっ！」って。そういう運命的な出会いがあってからは歌う曲のテイストもそうだし、聴くのもゴシックメタル、シンフォニックメタルが多くなりましたね。最近だとICON FOR HIREっていう、ゴシックパンクなんだけどちょっとダンスっぽい曲もあるバンドが大好きですし。オランダのシンフォニックメタルバンドWITHIN TEMPTATIONは怖くて夜ひとりで聴けなかったりはするんですけど（笑）、やっぱりカッコいいから、移動中によく聴いてます。

──じゃあ、実はいわゆるアニソン的な明るくてキラキラした曲は苦手？

いや、アニメのキャラソンみたいなカワイイ曲も大好きでよく聴いていますし、田村ゆかりさんや堀江由衣さんとかすごく好きなんですよ！ 堀江さんは最近発売されたアルバムをずっと聴いてますし。

──明るくキラキラの代表選手じゃないですか。

そうなんですよね。ただ、不思議なことに私が堀江さんみたいなハッピーな曲を歌っても、なぜか伝わりにくいというか、堀江さんのようにハッピーには聴こえない気がしていて（笑）。そういうのもあって、普段は田村さんや堀江さんを聴きつつも、自分が歌うことを意識したり、今後取り入れていきたい音楽性を考えて、今はゴシックメタルに惹かれてるんだと思います。