「真実はいつも歌にある！」

──先ほど「人とのつながり、人との輪を広げてくれた」とおっしゃっていましたが、「名探偵コナン」とのコラボでファン層はどんな広がりを見せてきたと感じていますか？

コナンくんとはもう17年もご一緒させていただいているので、「Secret of my heart」の頃に子供だった方が今は結婚されて、家族でファンクラブに入ったりしてくださっているんですよ。街を歩いていると「あ、コナンのお姉ちゃんだ！」って声をかけてくれるお子さんもいらっしゃいますしね。そういう意味では本当に幅広い世代に倉木麻衣のことを知っていただけるたくさんのチャンスをコナンくんにもらってきたんだなってすごく思います。だからこそ、どんどんパワーアップしていくコナンくんに負けないように、もっといい楽曲をがんばって作らなきゃなって気持ちにもなるんですよね。そういう向上心をいただけていることもすごくうれしいんです。

──先ほども少し触れていましたが、海外への広がりを感じるところもあるんじゃないですか？ 「名探偵コナン」は海外でも出版され、アニメもさまざまな国で放映されているそうですから。

そうですね。特に中国や韓国といったアジアの方々にすごく支持していただいていて。「名探偵コナン」と倉木麻衣を通じたコミュニティを展開してくださったりもしているんです。アジア以外にヨーロッパなどでもアニメは放送されていて、私の曲がそのまま流れているところもあるようなので、これからさらに広がっていったらうれしいですよね。そのためにコナンくんとさらにいい関係を築いていければいいなって思います。

──今回のコラボベストの副題「真実はいつも歌にある！」もいいですよね。コナンくんの名言「真実はいつもひとつ！」をもじっているわけですが。

実はこれ、最初は付いてなかったんですけど、コナン好きのスタッフさんから「どうしても付け加えさせてください！」と提案をいただいて（笑）。でも私もすごくいい言葉だなって思ったんです。歌にこそ真実の思いがあるんだよっていうピュアな気持ちを私自身も感じていますし、聴いてくださる方にもそう感じていただけたらうれしいなと思ったので。もちろん私は想像や夢を乗せて楽曲を作ることがありますし、すべてが自分の実体験かって言うとそうではないんですけど、例えフィクションであったとしてもそこには私がこれまでに経験してきたことがさまざまな形になってにじみ出ていると思うんです。そういう意味ではやっぱり歌はリアルだなと私は思うので。真実はいつも歌にあるんです（笑）。

来たるデビュー20周年を見据えて

──最近の倉木さんのトピックとしてはもう1つ。「京都観光おもてなし大使」に就任されたそうですね（参照：倉木麻衣、京都のおもてなし大使に就任）。

おかげさまで就任させていただきました。京都は学生時代を過ごした思い出の地でもあるので、音楽を通してその魅力を皆さんに発信していければいいなと思っています。先日は京都の平安神宮で開催された「第15回京都学生祭典」にも参加させていただいて、京都をイメージして作った「渡月橋 ～君 想ふ～」と「Time after time ～花舞う街で～」を歌わせていただいたんです。一緒に歌ってくださった大学生の皆さんは情熱いっぱい夢いっぱいで、エネルギーに満ち溢れていて。私も学生さんたちのパワーに負けないくらいの気持ちでおもてなし大使をがんばらなきゃなって思いましたね。

──来年になるとデビュー丸19年を迎え、20周年イヤーに突入しますね。

そうなんですよ。また節目がやってきますね。ただ私としては一歩ずつ、今までと変わらない気持ちでやっていけばいいかなと思っていて。これまでも毎年、いろんな出会いの中でたくさんの刺激をもらいながら新しい倉木麻衣を見せることができたと思っているので、これからも同じように今を楽しみながら歌い手として活動していければいいかなと。

──倉木さんはキャリアを重ねてもなお初心を忘れずに、地に足が着いた活動をずっと続けてこられていますよね。

私は下積みがあって歌手になったわけではないので、デビュー当時から1年1年が勉強だったんですよ。ありがたいことにさまざまなチャレンジの機会をいただきましたので、それを一生懸命自分なりに消化して、今のベストを出すことだけ考えてきたと言うか。それが今も続いている感じなんですよね。だから来年からもずっと無我夢中な1年を過ごさせていただくんだろうなって。それが私にとってはすごく楽しいことなので。

──そんな倉木さんがどんな活動を見せてくれるのかが本当に楽しみです。「名探偵コナン」の今後の展開と同様に。

あははは（笑）。そうですよね！ 「名探偵コナン」もここからさらにどんどん面白い展開になっていくはずですからね。最終的にどんな結末が待っているかは、神である青山剛昌先生のみぞ知ることですけど（笑）。