空白ごっこ|経験を経てチャンスをつかみ、今こそ花開くとき

koyoriの最高傑作であり代表曲

──「開花」という音源の話をする上で、今年の1月1日リリースの楽曲「運命開花」には触れないといけないなと思っていまして。今作の中でもかなり早い段階に完成していた曲ですよね?

koyori もともと楽曲自体はすごく前からあったものなんです。それこそ「A little bit」(2020年10月発売の7曲入り音源)の制作中には存在していたけど、なんとなく「この曲は大事に作らなきゃいけない」と思い、ずっと寝かせていて。「A little bit」が発売されて「空白ごっこ」という名前が新しい層にも届いたタイミングで、本腰を入れて「運命開花」を完成させて、ハリーさんとセツコさんには「ようやくできたよ」って感じで聴いてもらいました。それが、去年の年末くらいかな?

針原 うん。デモの段階から1年くらい寝かせて完成した曲だよね。「運命開花」というタイトルも変わってなくて、タイトル的にもいつリリースするか見極めて出したほうがいいかもしれない、という直感があって。「A little bit」の制作を終えて、「次に何をしようか」というタイミングのときにkoyoriくんがこの曲を完成させてきて、それがとてつもなく大きなエネルギーを秘めている感じがして。だったら、新しいことを始める第1歩目の曲にしようと思い、今年の1月1日に配信でリリースしたのが「運命開花」です。

セツコ 勢いがあって、「開花」という音源の1曲目にもすごく相応しい曲だよね。

──すでにYouTubeで120万回以上再生されていて、空白ごっこの代表曲と呼べる存在になっていると思います。

セツコ 「運命開花」から私たちのことを知ってくれた人がたくさんいるので、もう代表曲と言っていい1曲だと思います。

──作り手であるkoyoriさんには、制作段階からこの曲が大きな存在になるという手応えがあったんですか?

koyori 確信めいたものまではなかったんですが、サビが仕上がったときに、その時点での僕の中で最高のものができたという手応えがあって。それと完成までに時間があったのもすごくよくて。それは単純に制作に時間をかけられたという意味だけじゃなくて、空白ごっこにとって相応しいリリースタイミングを計れたのも大きいと思います。

下北沢の街から発注「カレーフェスティバル」

──「カレーフェスティバル~パパティア賛歌~」という楽曲は、下北沢で毎年10月に開催されている「カレーフェスティバル」に関連する曲ですよね?

針原 はい。空白ごっこを下北沢発のユニットとして定着させたいと考えて、「運命開花」のフラッグを出したりとか、街頭で曲をかけたりすることで、街の人たちに僕らのことがちゃんと認知された手応えがあって。それを礎に商店街の方々と「何か一緒にやりましょう」みたいな話をする中で、ありがたいことに「カレーフェスティバル」のテーマソングのお話をいただきまして。

──タイミング的にもめちゃくちゃいいですよね。ちょうど「全下北沢ツアー」を完遂させて、名実共に「下北沢が拠点だ」と証明できたわけですから。

針原 しかも音源のリリースタイミングにも合っているという(笑)。こうやって下北沢の街に貢献できる楽曲を作れるのは本当に光栄なことですね。

──「カレーフェスティバル」のテーマソングというのもあり、空白ごっこのいつものシリアスな雰囲気とは異なる、異色な曲だと感じました。

koyori カレーフェスティバルの曲なので、いつも通りシリアスな曲を作ったら怒られるかなと思って(笑)。

セツコ 下北沢の街頭で流れるんだもんね(笑)。

koyori 空白ごっこらしさ全開でいくと怒られちゃうだろうけど、だからと言ってはっちゃけすぎたり、明るすぎると空白ごっこらしさからあまりにも外れてしまうから、その塩梅が難しかったですね。ちょっとセーブしつつ、なんとかポジティブなところに着地させようとしてメジャーコード主体で作っていったら、こういう曲になりました(笑)。

セツコ

──作詞はセツコさんが担当しています。空白ごっこの中ではちょっと異色なこの曲にどのような歌詞を付けようと考えましたか?

セツコ 実は最初のほうの歌詞はkoyoriさんが書いてくれていて、Aメロの「よいよいなのだよ」というフレーズがすごく気に入ったんですよね。その言葉を切り口に「よいのだよ」とか韻を踏みながら、とにかく何も考えずに嫌なことも全部放っておいてカレーを食べなよ、という、ちょっと無責任だけど憎めない曲になりました(笑)。

──せっかくなので下北沢で長年活動をし続けている針原さんに、おすすめのカレーを紹介していただけますか?

針原 最近すごく流行っているお店は「旧ヤム邸シモキタ荘」。僕もすごくおいしいと思ったし、いつもすごく混んでるからまず食べに行って間違いないお店だと思います。あと老舗で言うと「茄子おやじ」。ここも間違いないお店ですね。そういうのを少し外したところで言うと、最近僕がハマっているのがスパイスラーメンなんです。「点と線.」というお店のスパイスラーメンがすごくおいしくて、セツコさんも食べたよね?

セツコ うん。めっちゃおいしかった!

──スパイスラーメンというのは、カレーとラーメンを一緒に食べるという感覚なんですか? それともカレーでもラーメンでもない独立した料理なんでしょうか?

針原 あれはカレーでもラーメンでもないかもしれない。独立したものですね。

セツコ うん。食べたことない味だったもん。新世界でしたよ。

針原 「米じゃないんかい!」って感じかもしれないんですが、ちゃんとカレーフェスティバルの参加店なので、ぜひ食べに行ってみてほしいですね。