岡村ちゃんを受け止めるなら3人がかりのほうがいいかも
──KICKは8月29日にシングル「住所 feat. 岡村靖幸」をリリースします。資料には「KICK THE CAN CREWの圧倒的なラブソング」というコピーが打たれていますが。
ここまでがっつりラブソングを歌ったことはなかったなって。岡村ちゃんと言えば“愛”だから、それも含めていい機会になりましたね。「そろそろリリースは?」とか「コラボものはどう?」という提案もスタッフがしてくれて。それを受けて俺がトラックを提出して、岡村さんに連絡を付けました。
──岡村さんとは雑誌の対談企画で出会ったのがきっかけでしたっけ?
はい。あとはフェスでもご一緒して。実は岡村さんと2人で曲を作ろうかという話になっていたんですけど、あのパワーを最初に受け止めるなら3人がかりのほうがいいかもなって(笑)。
──サウンドプロデュースは蔦谷好位置さんです。この人選にも、KREVAさんがKICKについて、今はある程度までは他人に手綱を預けられるモードが表れているような気がします。
まさにそうですね。蔦屋くんは岡村さんからの提案でした。俺も好ちゃんは友達だし、いいなって。彼にも俺が自分で連絡してお願いしました。
──楽曲はKICKと岡村さんという4MCのセールスポイントを抽出したようなポップチューンですね。
それはうれしいです。よかった。
──サビのリリックは「そうさ住所 一緒のとこにしよう 約10畳ぐらいの部屋でどう?」ですが、10畳って、まあまあ広いですよね。大人だなあって(笑)。
そこを書いたのは岡村さんなんですけど、ここで「10畳」と持ってくるのは、さすが“岡村ちゃん”だなって思いました。やっぱり面白い人ですよね。
──まあかつては「どぉなっちゃってんだよ」という曲で「マンション×2」と歌ってた人ですからねえ。
そうだった!(笑) ただ、岡村さん、俺らには「10畳って、ちょっと狭くないですか?」って気にしてましたけどね(笑)。「寝室だけで10畳」とか、リスナーそれぞれの解釈で捉えていただいてもいいんじゃないかと。
これまでやってこなかったことが俺にはまだけっこうある
──しかしKREVAの「存在感」とKICKの「住所 feat. 岡村靖幸」の2作を並べてみると、明暗の差がすごいですねえ(笑)。
そこは自分の中で感覚的に選別していたような気がします。これは自分ので、これはKICKだな、みたいに。どちらも自分が指揮を執ることには変わらないし、執らなきゃ進まないんですけど、KICKについては自分の思い通りにしようと思っていない分、狙ってどこかにいくというのもないです。あとKICKについてはフェスに出て行くと、当たり前のように初めて俺らを観るお客さんがたくさんいて。さんざんやってきたはずなのに、ちょっと新人みたいな感覚なんですよ。だからいろんな意見を取り入れながらやっていったほうがいいだろうという考えもあって。あとは再開のとき、3人だけでアルバムを作ることにこだわって、それを達成できたので、自分の中で納得のいった部分もあります。
──その新人感はKREVAさんにとっては新鮮なのですか? それともちょっと心が折れる感じなんですか?
ちょっと折れるほうかなあ(笑)。でも一概にも言えなくて。それは実際にステージから目で見たお客さんの盛り上がりと、お客さんの心の中での盛り上がりが必ずしもイコールじゃないから。「今日静かだったなあ」と思っていたら、ネット上で、むちゃくちゃ感動してくれていたりするし。だからかえって、ソロでもKICKでもフェスで機能するような曲を作ろうとか一切考えなくなりましたね。狙って作ってウケなかったときのことを想像しただけでカッコ悪くて死にたくなるし(笑)、だったらじっと聴いてもらえる曲のほうがいいんじゃないかなって。
──8月31日には恒例の「908 FESTIVAL 2018」が日本武道館で開催されます。高畑充希さんの出演がアナウンスされて話題を呼んでいますが。
彼女とは同じ武道館で行われた「Disney on CLASSIC Premium『リトル・マーメイド』イン・コンサート」のときにご一緒した縁があって。「出てくれたら面白いよね」とスタッフ間で盛り上がってオファーしたんですが、快諾してくれたことに俺が一番驚いています(笑)。でもまた一緒に武道館に立ててうれしいです。
──「存在感」と「住所 feat. 岡村靖幸」から先の展開について、何か青写真はありますか?
来年がソロ15周年というタイミングだからこそ、「存在感」みたいな作品が出せたという気持ちもありました。その分、来年は周年らしい作品を作るかもしれないし。今回、気の向くままに曲を作って、それをどんどん携えていくような行為も大切なんだなって学ぶことができたので、新しいことにもチャレンジしていきたいですね。
──具体的には?
例えば音楽の中で具体的な怒りやメッセージを打ち出すこととか、誰かとがっつり作品を1枚作るとか、これまでやってこなかったことが、俺にはまだけっこうあるんですよね。何から手を付けるかはまだわからないけれど、やったことのない、新しいことに向かっていくうえで、さっき指摘してもらえたように今回の「存在感」は、作ってよかった1枚になるんじゃないかと思っています。
──アニバーサリーに向けての動きが楽しみです。
ディナーショーとかトークショーとかやろうかな。さだまさしさんみたいに、歌よりもトークが長いライブとか。
──またそういう嘘っぽい前フリを……。
まあ楽しみにしていてください(笑)。
- KREVA「存在感」
- 2018年8月22日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
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初回限定盤 [CD+DVD]
2484円 / VIZL-1414 -
通常盤 [CD]
1620円 / VICL-65035
- CD収録曲
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- INTRO
- 存在感
- 俺の好きは狭い
- 健康
- 百人一瞬
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 存在感(Music Video)
- 存在感(Music Video Making)
- KICK THE CAN CREW「住所 feat. 岡村靖幸」
- 2018年8月29日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
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初回限定盤 [2CD]
2160円 / VIZL-1420 -
通常盤 [CD]
1080円 / VICL-37422
- 収録曲
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- 住所 feat. 岡村靖幸
- Keep It Up
- 住所 feat. 岡村靖幸 (Inst.)
- Keep It Up (Inst.)
- 初回限定盤BONUS CD収録内容
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- 全員集合
- 千%
- 今もSing-along
- SummerSpot
- なんでもないDays
- 完全チェンジTHEワールド
- また戻っておいで
- また波を見てる
- I Hope You Miss Me a Little
- タコアゲ
- ライブ情報
KREVA「908 FESTIVAL 2018」 -
- 2018年8月31日(金)東京都 日本武道館出演者 KREVA / 三浦大知 / 絢香 / JQ from Nulbarich / 尾崎裕哉 / 高畑充希
- KICK THE CAN CREW「現地集合~武道館ワンマンライブ~」
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- 2018年9月1日(土)東京都 日本武道館
- クレバの日 スペシャルライブ ~大阪編~
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- 2018年9月8日(土)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- KREVA(クレバ)
- 1976年生まれ、東京都江戸川区育ち。BY PHAR THE DOPEST、KICK THE CAN CREWでの活動を経て2004年にソロデビュー。2006年2月リリースの2ndアルバム「愛・自分博」はヒップホップソロアーティストとしては初のオリコンアルバム週間ランキング初登場1位を記録する。同アルバムのリリースツアー最終日では初の東京・日本武道館公演も開催した。確かな実力でアンダーグラウンドシーンからのリスペクトを集める一方、久保田利伸、草野マサムネ、布袋寅泰、古内東子、三浦大知、MIYAVI、鈴木雅之らメジャーアーティストとのコラボも多数。2011年より音楽劇「最高はひとつじゃない」の音楽監督も担当した。ラッパーとしてのみならずビートメーカー、リミキサー、プロデューサーとしても高い評価を受けている。2016年にビクターエンタテインメント内のレーベルSPEEDSTAR RECORDSに移籍し、2017年2月に4年ぶりとなるオリジナルアルバム「嘘と煩悩」を発表。2018年8月に5曲入りの新作「存在感」をリリースする。