小松未可子|ライフステージの変化を経て完成した3年ぶり新作

大人の“みかこし”像をアピール

──カップリングの「永遠と言ってみたい」は新機軸というか、大人っぽい雰囲気がありますね。

結婚というライフステージの変化があって(参照:小松未可子&前野智昭が結婚「お互いを尊重し合い自分らしくいられる家庭を」)、Q-MHzの皆さんから「大人になった“みかこし”像を提示するのはどうでしょう」という提案をいただき、それをもとにチャカ・カーンさんと私を重ねて曲を作ってくださって。チャカ・カーンさんの曲を初めて聴いたときはあまりにも渋くて、「これを私が?」と驚きました(笑)。

──大人になったという自覚はあります?

小松未可子

自分の中に芽生えたというより、周りの反応で「そういうふうに見えているんだな」と意識するようになりました。変化はそんなに大きくないかなと思います。ただ人生において、パートナーを1人選んで家族になるという契約を結ぶことが、よくよく考えたらすごいことだなと。それを決断したという点ではライフステージが1つ上がったと言えますね。あと単純なことで言えば、周りから「人妻」といじられる(笑)。でもそうやって自覚していくことは大事だなと思います。「この先どういう自分になろうか」と考えるきっかけになるので。

──「“当たり前アップデート”みたいな感じ!」という歌詞は今日の小松さんのお話と重なりますね。

そうですね。この1、2年で声優をやっていても担当するキャラクターに変化があって。例えば幼い登場人物というよりお姉さん的な立ち位置や、単純に声のトーンが低いキャラクターを演じることが増えてきました。歌ううえでも、今まではどっちかと言うとエネルギーがみなぎるような張りのあるトーンを出すことが多かったんですけど、少しずつ低音のパートも増やしていて、そういう変化も感じてもらえる曲になっています。

──「“当たり前アップデート”」もそうですけど、「面白そうなことを面白そうにやろうか」とかパンチラインが多い曲だなと感じました。

言葉の引っかかりもすごいんですけど、デモを聴いて「このメロディはフェイクを乗せる部分じゃないかな」と思っていたところにまで歌詞があって驚きました。それが面白い誤算になっていますよね。

──シンプルに言葉数が多い曲ですよね。特に「Take care! 大事なハート」からの畳みかけ。

苦労しましたね。これは職業病かわからないですけど、言葉が詰め込まれてると「噛まないように言わなきゃ」と意識しすぎて、自分でもびっくりするくらいリズム感のない歌になっていて(笑)。だからレコーディング中は落ち込みました。噛みまくるし、かつリズム感もないし(笑)。もしNGテイク集があったら本当に聴くに耐えないです……。スパルタな畑さんからの挑戦状だと思って猛練習しました。

──Q-MHzとのタッグではまだまだ新しい扉が開きそうですね。

私も楽曲を聴くたびにたまげるというか。まだまだ見せてないQ-MHzらしさがあると思うので、今後どんな曲が自分のピースになっていくのかと思うと楽しみですね。

小松未可子
小松未可子

ライブしたくてウズウズ

──「悔しいことは蹴っ飛ばせ」「永遠と言ってみたい」と対照的な2曲が出そろいました。ここからの活動も楽しみですね。

皆さんもそうだと思うんですけど、この1年くらいでライブの機会が減る中で、ほかのアーティストさんのライブを観に行ったとき、近くにいたお客さんが「生の音を体に浴びたくて来てるんだよね」と言っていたのが印象的で。歌う側も観る側も気持ちは同じだなと改めて実感しました。だからこそ、この2曲をライブでどう歌おうかと考える時間が楽しいです。お客さんが基本的に声を出せないという状況で、どう盛り上げるかは課題の1つですね。

──小松さん自身のアーティスト活動へのモチベーションは上がっている?

今はライブがやりたくてウズウズしてます。やっぱりほかのアーティストさんの公演を観に行くと非常に刺激を受けますし、「自分だったらこういう場面ではどうするんだろう」「こういうステージにしたい」とかあれこれ考えちゃいます。ミュージックビデオを撮ってるときもいろいろ想像してました。

──学校を舞台にバンドメンバーとパフォーマンスを披露してますね。

今回はバンドの皆さんと一緒に撮れたので、ライブに近い雰囲気が出せたかなと思います。学校でロケをしたんですが、ひさびさに教室に入ってテンションが上がりました。校庭ってこんな砂埃すごかったっけ!?とびっくりして。撮影で履いていた真っ白な靴が、終わる頃にはビンテージ感あふれるものに(笑)。学生時代に陸上をやっていたので、グラウンドを見たら「この空間好きだったな」と当時を思い出して懐かしくなりました。

自分を観るのは非常に恥ずかしい

──初回限定盤のBlu-rayにはMVとともに2018年のライブ映像が収録されます。

「Personal Terminal」ツアーのO-EAST公演ですね。声優を担当したアニメはチェックするんですけど、映像で自分の姿を観るのは非常に恥ずかしくて、すべては観てないです(笑)。

──細かいところが気になっちゃうんですか?

全部ですね。一挙手一投足が気になっちゃう(笑)。ライブは楽しいんですけどね。やりっぱなしがいいです。

──今作を受けて、次回作のビジョンは見えてきました?

次はどんな曲を自分の中に取り入れたら面白いかな、というのは考えてます。いろいろと情報収集中ですね。

──では音楽活動とは無関係に今やりたいことはありますか?

最近は普通なのかもしれないですけど、自己発信の場が増えてきてますよね。声優界隈でもInstagramやYouTubeを始める人が多くて、私も前向きに検討しています。私はそんなに趣味が多い人間ではないので、逆にあれこれやってみたいですね。

小松未可子