ナタリー PowerPush - 小林太郎

より伝わる言葉を追求した“俺なりのJ-POP”の進化型

普遍的な曲をいかに俺の色に近付けることができるか

──確かに洋楽カバーのセレクトは普遍性がありつつも、すごくクセのある曲が揃った気がします。

小林太郎

レコーディング作品というよりはライブみたいな感じなので、正直演奏のクオリティはどこまで保証できるかわからないんですけど(笑)。でも選んだ4曲はどれもアナログ感の強いものばかりなので、このライブ感が合ってるんじゃないかと思ってます。観るほうもそうかもしれないけど、演奏するほうも単純に音楽の楽しさを再確認できたというか。洋楽の名曲カバーって、バンドマンだったら誰しもやったことがあると思うし、そういった一面を今回見せられるのもいいんじゃないかと。

──カバーする曲はどうやって決めたんですか?

まず最初に、誰もが知ってるような普遍的な曲を、いかに俺の色に近付けることができるかというテーマを設けて。それに沿って俺のルーツの中から好きな音楽を選んでいった感じです。正式にレコーディングするとなるとまた違った選曲になると思うんですけど、ライブレコーディングってことであんまり凝った曲はやれないなと。例えば俺、Nine Inch Nailsが好きなんですって言っても、いろいろ無理が生じるでしょ?(笑)

──いろいろ準備が大変そうですよね(笑)。

そうなんですよ。あとSoundgardenやAlice In Chainsが好きと言っても、まあやれるかもしれないけど……どうせなら誰でも知ってるような、普遍的な楽曲のほうがより多くの人が楽しめるので。そういう基準で選んだのが今回の4曲なんですよ。

ライブレコーディングしたことで統一感が出たんじゃないか

──カバー曲の中で意外な選曲だなと思ったのが、実はレニー・クラヴィッツの「Rock And Roll Is Dead」でして。

マジすか? 俺、レニクラ大好きですよ! とはいっても3枚目(「Are You Gonna Go My Way」)以降が好きなにわかファンなんですけど(笑)。1枚目(「Let Love Rule」)も2枚目(「Mama Said」)も昔聴いたとき、あんまりピンとこなかったんですよ。で、今回選んだ「Rock And Roll Is Dead」なんですけど、まず単純にギターリフがすごく好きなのと、演奏がシンプルだからカバーしやすいなと。リフで押し切るタイプの真骨頂みたいな曲な反面、ボーカルはちょっと難しかったんですけどね(笑)。

──「Rock And Roll Is Dead」でのサビの歌い回しも独特ですし、どの曲もしっかり自分らしさが入ってますね。

そうですね。4曲ともタイプが違うから、いろんな歌い方ができたというか。シンプルな原曲の中にどれだけ自分らしいエモーショナルな部分を入れることができるか、いろいろ考えながらアレンジしていったんです。

──特に「Rock And Roll Is Dead」、「Born To Be Wild」(原曲はSteppenwolf)、「A Hard Day’s Night」(原曲はThe Beatles)には今説明した要素がたっぷり詰まってますが、「Sunday Morning」(原曲はMaroon 5)からはもっと違った要素も感じられます。

「Sunday Morning」はもともとすごく好きで、今回カバーした中では一番歌モノ寄り。J-POPが好きなのと同じくらい、洋楽でも歌モノが大好きで、逆に「Born To Be Wild」みたいなタイプのほうがあまり通ってないんですよ。

──そうだったんですね。じゃあ自分が通ってない方面の楽曲を演奏してみたらどうなるのかという挑戦でもあったと。一歩間違えれば4曲ともバラバラな方向のカバーになり得たわけですけど、トータル感が強く感じられましたよ。

4曲とも同じ機材でライブレコーディングしたことで、統一感が出たんじゃないですかね。それぞれこだわってスタジオレコーディングしたら、また違ったものになってたと思います。

1回やったことはもうやらなくてもいいのかな

──こういう、ちょっとした遊びができるようになったのも、自分の地盤がしっかり固まってきたからなんでしょうか?

そうですね。最近すごく思うのが、俺よりもいろんな曲を作れる人は本当にいっぱいいると思うんですけど、自分の歌の表現だったりギターの演奏だったり、その表現者としての幅っていうのは誰と比べるわけでもないけどすごく広がってるなと。今回の「太陽」とかカバー曲とかをやったおかげで、そこをさらに実感できた気がします。

──その成果は、この先に用意されている作品集でより色濃く表れているんでしょうか?

だと思います。変にまとまらずにいろんなことをやってみましたっていう、その楽しさがぎっしり詰まったおもちゃ箱みたいになればいいかなと。

──やっぱり「tremolo」を作ったことで、自分の中で確かなものをつかむことができたと。

そうなんですよね。そういう意味で言うと、1回やったことはもうやらなくてもいいのかなって、最近強く思うようになってきて。一度確かなものをつかんだら、どんどん新しいものを見つけていかないとやれることの幅が狭まっていくんじゃないかという気がするんです。新しいものを作る気概がないと、ほかの音楽をやってる人と差別化できないんじゃないかと強く思い始めてます。

小林太郎ワンマンツアー
Tour 2013 "SOL Y SOMBRA"
  • 2013年11月15日(金)福岡県 福岡Queblick
    OPEN 18:00 / START 18:30
  • 2013年11月23日(土・祝)宮城県 仙台PARK SQUARE
    OPEN 17:30 / START 18:00
  • 2013年11月29日(金)大阪府 OSAKA MUSE
    OPEN 18:00 / START 18:30
  • 2013年12月1日(日)愛知県 名古屋ell.FITS ALL
    OPEN 17:30 / START 18:00
  • 2013年12月5日(木)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
    OPEN 18:00 / START 19:00
  • 料金:全立見 前売3000円 / 当日3500円(ドリンク代別)
小林太郎(こばやしたろう)

静岡県浜松市生まれのロックシンガー。初音源として、2010年1月にインディーズ1stアルバム「Orkonpood」をタワーレコード限定でリリース。力強いボーカルと洋楽の影響を感じさせる重厚なサウンド、鋭い歌詞でリスナーから支持を得る。iTunesによる2010年にもっとも活躍が期待できる新人アーティスト「iTunes JAPAN SOUND OF 2010」にも選出され、2010年夏には「ARABAKI ROCK FEST」「SUMMER SONIC」など新人としては異例となる16本の大型フェスに出演。バンドでの活動を経て、2012年よりソロ活動を再開。同年7月に新レーベル「STANDING THERE, ROCKS」からメジャー1stミニアルバム「MILESTONE」をリリースした。翌2013年1月には早くもメジャー1stフルアルバム「tremolo」を発売。リリース日より関東近郊をまわる対バンショートツアー「小林太郎VS Short Tour」、3月から東名阪ワンマンツアー「TOUR2013 "tremolo"」を実施した。その後7月には1stシングル「鼓動」をリリースし、9月には2度目となる対バンショートツアーを東名阪にて開催。同年11月には新曲「太陽」をデジタルリリースし、全国5都市を回るライブツアー「Tour 2013 "SOL Y SOMBRA"」を行う。