ナタリー PowerPush - KNOCK OUT MONKEY

“神戸の暴れ猿”襲来! 今を詰め込んだ「reality & liberty」

昨年、シングル「HOPE」とミニアルバム「0 → Future」を続けざまにリリース。「SUMMER SONIC」「PUNKSPRING」「JOIN ALIVE」「RADIO CRAZY」などの大型フェスにも次々と出演するなど、大きく注目度を上げている神戸出身の4ピースバンド・KNOCK OUT MONKEYが8曲入りミニアルバム「reality & liberty」をリリースする。ナタリー初登場となる今回のインタビューでは、バンド結成の経緯、ラウド、エモ、ヒップホップ、レゲエなどを自在に取り入れた音楽性、そして今後の目標について語ってもらった。

取材・文 / 森朋之

「ここで爪痕を残したい」という気持ちで戦った2012年

──新作「reality & liberty」、楽しませてもらいました。自由度の高いサウンドが印象的で、自分が高校生だったらバンドをやりたくなるだろうな、と。

w-shun(Vo, G) お、ホントですか? そのひと言は大きいですよ。話が弾みそうだ(笑)。

「SUMMER SONIC 2012」幕張公演の模様。(C)SUMMER SONIC 2012 All Rights Reserved

──(笑)。昨年はCDリリース、大型フェスへの出演を含めて、KNOCK OUT MONKEYにとっては飛躍の1年だったと思うのですが。

w-shun 今まで見たことがない規模のステージにも立てたし、経験値はすごく上がったと思います。夏フェス、アンドリューW.K.のサポートアクトなんかも含めて、ただ出演するだけじゃなくて「ここで爪痕を残したい」という気持ちもすごくあったし、自分たちのメンタリティとしては戦ってる感じだったんですけどね。もちろん、そういうステージに立つことの責任も感じたし。

──アウェイのほうが燃えるタイプだったりします?

w-shun そうですね(笑)。超体育会系なんで。鬼のような数のライブをやってきたバンドやし……。

ナオミチ(Dr) 全員スポーツをやってたんですよ。

w-shun 俺とdEnkAは野球で、ナオミチと亜太はバスケをやってました。俺、高校球児ですからね、ガチで。

──兵庫県って、高校野球のレベルも高いですよね。

w-shun 甲子園も近くにありますからね。全国大会なんてぜんぜん無理だったんですけど、とにかく先生が熱い人で、「グラウンド100周!」みたいな(笑)。高校のときは野球が一番だったんですけど、卒業した瞬間に「よしバンドをやろう!」と思って。

あきらめの悪いヤツらで結成

──で、メンバーを探したと。どういう経緯で結成されたバンドなんですか?

w-shun もともとは違うバンドで活動してたんですよ。一緒に対バンすることも多かったし、打ち上げでしゃべったりすることもあって。全員同級生だから、話もすごく合ったし。ギター(dEnkA)だけは話せなかったんですけどね。見た目が怖くて。

dEnkA(G) ハハハハハ(笑)。

w-shun 飲んでるときのヤンチャぶりもすごかったんで。でも、3人ともすごくステージ映えしてたんですよ。時間が経つにつれてバンドをあきらめるヤツが多い中で、「それでもやりたい」っていうあきらめの悪いヤツらが残った感じですね。

ギターを持ったきっかけは野球部を辞めたこと

──同級生ということは、聴いてきた音楽も似てたりするんですか?

ナオミチ いや、バラバラです。僕はヴィジュアル系が好きだったんですよ。X JAPANのYOSHIKIさんにずっと憧れてたんですけど、まさか自分が演奏する側になるとは思ってなかったです。でも、YOSHIKIさんを知ったときの衝撃はずっと残ってるし、楽器をやったことがない人たちに「ドラム叩きたい」と思わせるようなドラマーになりたいな、と。

亜太(B) 僕はGLAYのJIROさんですね。「こういう大人になりたい!」って思って、親戚の人にJIROモデルのベースを買ってもらって。そこが始まりです。

──現在のプレイスタイルからはかなり遠いですよね。レッチリのフリーが好きって言われれば納得できるんだけど。

亜太 よく言われます。でも、レッチリってぜんぜん聴いたことないんですよ。今の弾き方って、このバンドを組んでから作ってきたんで。

──なるほど。dEnkAさんのルーツは?

dEnkA ギターを持ったきっかけは、野球部を辞めたことですね。

w-shun ハハハハハ!(笑)

dEnkA 中学2年から3年になるときの春休みに背番号を取られたんですよ。めちゃくちゃ練習して、筋トレもやりまくってたら、倒れちゃって。病院に行ったら「過労だから、練習をしばらく休みなさい」って言われたんですけど、3日休んだらズル休みやと思われて、俺より下手なヤツがレギュラーになったっていう。めっちゃ腹立って、すぐ辞めてやりました。しかも次の日に髪の毛をピンクにしたんですよ、坊主頭なのに。その頃に友達の家にあったギターを持ったのがきっかけですね。そっからは脱線の人生です(笑)。

w-shun 怒りと憤り。まさにレベルミュージックやな。

──(笑)。音楽に興味があったわけではなくて?

dEnkA ギターを弾くようになってから、古い洋楽を聴き始めたんですよね。70年代のLED ZEPPELINとか80年代のGUNS N' ROSESなんかを好きになって、ギターの練習もして。友達とはGLAYやL'Arc-en-Cielのコピーもやってました。ツェッペリンは誰もやってくれなかったので(笑)。

w-shun 僕はずっとhideさんが好きだったんです。野球のストレスを発散するために聴きまくってました(笑)。で、バンドを始める前にラウド、ミクスチャー系の音楽を聴いて、「なんだこれは?」って衝撃をくらって。歌詞の中で韻を踏む楽しさを知ったのも、そこからですね。

亜太 最初はぜんぜん知らなかったんです、そういう音楽のことを。それこそ「スラップ奏法ってなんじゃい?」っていう感じだったし、5弦ベースを買って指弾きしたのも、このバンドを始めてからだし。

ミニアルバム「reality & liberty」 / 2013年3月6日発売 / 1500円 / Magnifique / QCL-014
ミニアルバム「reality & liberty」
収録曲
  1. Beginning (skit)
  2. Scream & Shout
  3. Primal
  4. Blazin'
  5. Neverland
  6. ピエロの仮面
  7. TODAY
  8. Climber
KNOCK OUT MONKEY
(のっくあうともんきー)

神戸で結成されたw-shun(Vo, G)、dEnkA(G)、亜太(B)、ナオミチ(Dr)からなる4人組バンド。ラウドロック、レゲエ、ヒップホップ、メタル、エモといったさまざまなジャンルの要素を取り入れたキャッチーなサウンドと、感情むき出しに咆哮するボーカルが魅力。精力的にリリースを重ね、じわじわとロックファンの注目を集める。2012年にはアンドリューW.K.の来日公演でサポートアクトを務めたほか、「SUMMER SONIC」をはじめ数々の大型フェスに出演し、その名を広く知らしめた。2013年3月、ミニアルバム「reality & liberty」をリリース。